この雨は こんな風に聴こえる 第31話「比較」
- 2020/10/14
- 23:35
「ささ、急がんと・・!」浴室の麗海(れいみ)から突然声をかけられた存(たつる)は、兄・黒木 恆(くろき・ひさし)の眼前で 臆せず脱衣を始めた。夏の淡色アッパーの下は何も着けておらず、ジーンズの下はボクサー・ブリーフ一枚。薄い靴下を脱ぐと、労せずして生まれたままの姿に「ま、弟とはいえ、野郎の裸じゃ仕様がないんだが・・」半ば呆れて、兄は呟いた。
「なぁ 兄者・・」全裸になった存が、声をかけてきた。「何だ?急ぐんだろ?」黒木が返すと 「いや、ちっとの間なら良い。兄者と俺の、竿(男根)をちょっと比べたいなと思ってさ・・」 「そんな仕様もない事やって、どうすんだよ。そんなのはこれまで、さんざ眺めてきて分かってるだろ?」些か HENTAI的ともいえる弟の出方に、今度は兄の方が訝(いぶか)り出した。
「いや、そこを何とか願いたいって事で・・」すっかり勃起した竿を 右手で支えて黒木の方に向けながら、存が言った。「これからシャワー行くと、必ず麗海さんに訊かれると思うんだ。『貴方のとお兄さんのと、どっちが素敵かな?』なんてな!」 「あはっ!そんな事で、俺のが見たいって言う訳か?」 「そういう事です」 「仕様がねぇな。分かったよ・・」そう返しながら、黒木は渋々とジーンズのジッパーを下ろした。
「おい、これで良いのか?」まだ完全には勃起していない竿を 存のそれと差し向いに晒すと、黒木はこう言った。「兄者、有難と。うん、これで麗海さんに説明がつくわ・・」 「ホント 下らんが、まぁ許す。くれぐれも、このネタで滑るなよ!」 「分った。お任せあれ!」こう言って、存が急いで浴室に入るのと、黒木が一旦露出した竿を収めたのがほぼ同時。
「麗海さん、お・待・た・せ!」軽く陳謝の一礼を経て、存がシャワーに合流。「ううん、気にしてない。反って期待値が溜まったりしてね。それにしても、存さんのお竿、今夜も素敵に大きいね!お玉袋も膨らんでるみたいで」 「ハハ、有難と。実は貴女の事想像したら、素敵だから昼間から膨らんじゃって困ったよ・・」 「素直で良いじゃん。これからもっと良くなってよ」 「もっと良く・・分かります。期待してますよ」 二人、笑い合いながら互いに身体洗い(ボディ・ウォッシュ)に勤しむ。その合間に麗海は、清められた存の竿と陰嚢を 手指で一亘り摩った後、口舌を滑らせてくれた。「あっ、あっ、麗海さん、す・・素敵!」大いなる発射の衝動を、存は辛うじて凌いだ。
麗海「存さん、あたしね、ちょっと髪(ヘア)洗いたいから 適当に出て良いよ」 存「了解。何なら兄者呼ぼうか?」 「いや、少しおいてからが良いな。 髪洗いが済めば 入ってもらっても良いよ。何なら、あたしから合図するからさ」 「OK。兄者にそう言っとくよ」 「お願いね・・」シャワーを区切った存が、先に脱衣場へ。
「兄者、お先!」 「あ、いやいや。彼女、機嫌良さそうだな」 「まぁね。今、髪を洗い出したから、俺が区切りで先に出たってとこ」 「あぁ、分かった。髪洗いが済んだら、今度は俺を呼ぶつもりだな?」 「その通り!・・だと思う」歯切れ良く返事・・と思いきや、存は途中から言葉を濁した様だった。
「ハハ、存(タツ)。自分が呼ばれたから、俺もって思ったのか?」 「あぁご免。その通りでね。でも、俺が呼ばれたからって兄者も・・はないかもだよね」 「フン!ま、それもありかもだな。ムカつくのも事実だが、まぁこれも許す!」 「ハハ 悪いな。有難と・・」 まだ浴室の麗海から、黒木に向け声がかかったのは このやり取りの直後。「いや意外っていうのか?」 又も 黒木が訝る様に呟くと、存「ま、そう悪い風に取るなかれ。彼女は結局、俺達兄弟に分け隔てがなかったという訳じゃないかな?」 「うーん、そうか。そういう風にもそりゃ取れるわな・・」弟の微妙な言い回しに、結局は得心を余儀なくされる黒木であった。
「ハハ、俺に続いて全裸だな。まぁ、頑張って!」背後から弟にドヤされながら、今度は黒木が浴室へ。麗海の髪洗いは終わった直後。「うん、エロいな・・」脱いだ下着の匂いと共に、黒木は女の洗い髪(勿論ロング!)が好きだった。今 眼前にまします麗海の裸像は、正に彼にとっての至高の女姿だった。それは誠に、彼女の姉・宥海に生涯を捧げんとする決意まで揺るがしかねない程魅力的だったのだ。
「いやいや、麗海さん、素敵だね・・」顔色を窺いながら控え目に声をかけると、麗海「恆(おにい)さんも、洗い髪が好きなの?」 「うん、とても好きですよ。香りも好いし・・何かね、下手に触ろうとすると怒られそう。その緊張感が、又良かったりするんだよね」 「ふふ、そうか。あたしは別に、少し位なら触られても良いんだけどね。何かな?姉と一緒にお風呂入った時、そんな事があったの?」
黒木「あ、うん。そういう事も一度や二度あったけど、何かね・・宥海(おねえ)さんは、初めから何か触られたくなさそうな雰囲気だったから、俺はそうしなかったという事で・・」 麗海「ああ、なる程ね。姉は確かに、少し手を出し難い雰囲気を作っちゃうとこがあるのかも。でも、あたしは違うわ」そう言葉を区切ると、「さぁ恆さん、向き合って身体(ボディ)洗いっこしようよ」と続けた。
麗海にとっては 随分長いシャワー・タイムとなった訳だが、彼女の胸の双丘や程好い下草の下方に 心おきなく手指を伸ばせたのは良かった。更に言えば、弟もそうだったが 彼も又、礼儀を正した竿や陰嚢に なよやかな手指と口舌のの程好い攻めを受け、弟以上に暴発の懸念に晒された事、そして「存さんは大きいとこ、恆さんは堅いとこが好きよ」の反応も、好感であった。
「あ、ああっ!麗海さん、上手・・は良いけど、俺、発射しそうだ。うぅぅっ!」手指の攻めの後、口舌に替えての愛撫(フェラチオ)を賜った黒木も又、弟に続き 射精の衝動を辛うじて抑え切った。「浴室の行為も素敵・・だが、やはり頂上はベッドで極めたいんだ」との強い想いが、辛うじて彼を押し留めたという事だろう。
「じゃ、ゆっくりね・・」まだ暫くかかるだうとの気持ちから、出際に黒木が声をかけると、麗海も「ううん、あたしも出るよ。随分長くなったから」 「確かにね。のぼせたりしてもいかんし・・」 「そうそう・・」笑い合いながら、浴室を後に。ひとまずバス・ローブを引っかけて居間に戻ると、存が風呂上りの酒気を用意してくれていた。「兄者の秘蔵の酒、もらったぞ」 「ああ、それで良い。折角の機会だから、麗海さんにも振舞ってやれや」 黒木にとり「来賓用」のマーテル。兄弟はロック、麗海はソーダ割りだ。
「麗海(かのじょ)、きっと着替えてるんだな?」一旦は消していた TVを再び点け、遅い民放報道番組を何となくチェックする。この後の気象情報には、宥海が出演するはずだ。「所で存(タツ)・・」黒木が言った。「はい、何ぞ?」存が返すと 「さっきの前戯は俺達全員、全裸だった。だから今度は・・」 「あぁ分かる。兄者は彼女を、半脱ぎで攻めたいってんだろ?」 「ハハ、まぁそんなとこだ。何ならショーツだけなしの『ノーパン』でも良いな」
存「フム。そうするとつまり、アンダーは短めのミニが良いんだな」 黒木「そう、それベスト!何と言っても捲(めく)り易いし剥(む)きやすいしな。さて、そろそろかな?」 「ハハ、何ともまぁ、マニアックな事で・・」 他愛もない兄弟のやり取りが途切れた所で「ご兄弟、お・待・た・せ・・」の優れた声一つ。黒木兄弟にとり、一種至高の光景が展開しようとしていた。存はすかさず、まだ栓をしていたソーダ水のボトルを開けにかかった。だるい感じで断続していた降雨は、どうやら止んだ様だ。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 鳳かなめ
今回の「音」リンク 「雨音」 by 星野 源 (下記タイトルです)
Amaoto