南へ・・ 第5話「訪問」
- 2017/06/29
- 16:16
「阿久比(あぐい)さん。それ、何となく、分りますよ」春先でも緑深い山間を、JRの臨時特急「紀伊83号」が、ややペースを下げ、しかし力強く進む。時折、梅の花が見られる沿線の車窓。その車中、窓側に座る周(あまね)に、隣席の豊(ゆたか)が、さり気なく声をかけた。周はニヤリとして「ハハ、今、俺の感じてる事か?」 豊「そうです。山峡(やまかい)と来りゃ、男なら考える事は大概一緒ですからね。笑」 「まあ、そうだな。今の俺...
南へ・・ 第4話「南下」
- 2017/06/27
- 21:43
「お早う!」3月18日の土曜朝、7am過ぎの、N市営地下鉄2号線 港町方面行の後方に乗った周(あまね)は、やや下方から甲高い声をかけられた。声の主は、既に一つ前の駅から先乗し、着座していた宙(そら)である。二人共、似た様な濃色パーカーにロング・パンツ、周の方はジーンズだ。靴も、ありふれたウォーキングである。手回り品は、宙が小さ目のキャリー・バッグと小物を入れた、洒落たバック・パック、周のは登山にも使えそうな、...
南へ・・ 第3話「導標」
- 2017/06/25
- 14:22
「結局・・」己の寝室で、共に同じ大学へ進む事となった女友だち 宙(そら)の上に重なり上体を抱き、下方を一つにして、腰の動作をゆっくり続ける周(あまね)は、頭の片隅でこんな事を考えていた。「俺んちは、ヤリ部屋になるって事か?」そうは言ってもこの夜は、危険が懸念される日につき、ゴム着用だったから、まだ大人しい方だったのだが。暫くの間、荒い喘ぎと吐息を伴う行為を経て、周「宙ちゃん・・」声かけ。宙「あ・・ふぅ...
南へ・・ 第2話「前夜」
- 2017/06/23
- 13:52
後輩 豊(ゆたか)の実家への行程を三日後に控えた夜、周(あまね) 馴染みのネット・カフェにて、彼と宙(そら)との戯れが続く。彼女は、一通りの前戯を経て、下方をはだけて連れ出した、周の男根と陰嚢に、舌技を交えた、濃い何度目かの口唇愛撫(フェラチオ)を仕掛けて行く。「宙ちゃん・・」呻きながら、周が言う。「今夜も又、イカせたいのか?」一時、男根から唇を離した宙は「勿論、そのつもりよ。この間も、その前のクリスマス...
南へ・・ 第1話「案出」
- 2017/06/21
- 15:02
「おい、豊(ゆたか)、ちょっといいか?」 豊「はい、阿久比(あぐい)さん、何かありました?」 3/11の土曜、近所で落ち合って、馴染みの店で昼食の後、周(あまね)の居所で、トレーナー上下姿の彼と後輩の豊は、コーラを嗜みながら、ノートPC画面に見入っていた。閲覧していたのは、地元JR社のHPである。周「来週は出かけるから、そろそろ決めんといかんな。南の方面へのフリー切符を見てんだが、丁度良さそうなのがあったわ」 「...
次回 拙連載についての予告 @17-6's
- 2017/06/19
- 21:15
2017=平成29年も、早折り返し点に差し掛かり、例年なら、雨がちの梅雨の時季に突入しているはずですが、今年は梅雨前線が沖縄・奄美辺りで停まってしまい、中々降雨がありません。日中などは、オーバー30℃の真夏日もしばしばで、このままだと渇水やら農業への影響が思いやられる所ですが、気象情報によると、ようやく今週半ばから、雨の多い梅雨本番に入りそうとの由。むしろ一安心かも知れません。作家 柳田邦男さんの著書に「雨...
母娘(ははこ)御膳 字余り
- 2017/06/16
- 20:36
度々の書き出しになるかもですが、お蔭様で、拙第三回連載も、無事ひとまずの終了に漕ぎ着ける事ができた次第。ご一読下さった各位には、この場をお借りし、一言御礼申し上げます。前二作より、少しずつ登場人物の人間関係を見直し、今回は、一浪の末 最後には志望上位の私立大入学を果たす受験生 阿久比 周(あぐい・あまね)が、受験準備をすべく通う予備校への通学途上、地下鉄列車内で邪心を起こし、たまたま乗り合わせた当初...
母娘(ははこ)御膳 第44話「階段」
- 2017/06/14
- 19:23
3/26の日曜、雨の朝。ここ暫くでも特によく眠れた周(あまね)には、夢を見たかどうかも分らなかった。ただ、妖艶な薄物を纏った、結(ゆい)、宙(そら)の姉妹と、熱い夜を共にした事は「正夢」と言って良かった。朝、目を覚ますと、降り続く雨音と共に、遠くで犬の咆哮が聴こえた。「お早う!」 「お早うごさいます!」まだ昨夜の続きの薄物を纏い、ショーツも脱いだままの姉妹と、ゆっくり目の朝の挨拶を交わす。「まだ雨よ。出かけ...
母娘(ははこ)御膳 第43話「訣別」
- 2017/06/12
- 19:39
「ふふ・・お熱い交合ね・・」先刻より降り出した雨音も聞こえる、夜更けに近い、周(あまね)の居所寝室で繰り広げられる、彼と姉の結(ゆい)の、喘ぎと吐息の入り混じる、激しい行為を眺めながら、薄笑いを浮かべる妹の宙(そら)は、こう呟いた。「姉さん・・」宙の呟きは続く。「周さんに、そんなつもりはないだろうけど、せいぜい支配され、調教されて、奴隷に堕ちない様 気をつける事ね。ふふ・・多分、大丈夫だとは思うけど」そ...
母娘(ははこ)御膳 第42話「退位」
- 2017/06/10
- 19:45
「周(あまね)・・」薄暗い寝室のベッドに臥す彼の耳に、低い呼び声が聴こえる。「はい・・」 「目隠しをとりなさい」姉、妹のどちらかは分らぬ、姉妹からの指図を受け、アイマスクを外した彼が、眼上に見たもの。それは・・「ふふ・・好い眺めでしょう。これ、貴方が望んでた事でしょう・・」大ぶりの、美麗な四つの臀丘が、周の視界を覆い尽くしていた。絹(シルク)の様な象牙色の肌と、秘溝に程良く食い込んだTバック・ショーツ...