この雨は こんな風に聴こえる 第34話「前提」
- 2020/10/29
- 23:58
「うん、思った通りの絶景だ。この明るい朱(あけ)の谷間、堪らんなぁ!」照明を落とした居間で、露わになった麗海(れいみ)の股間をしげしげと覗き込んだ黒木は、改めて感銘と昂揚を覚えた様だった。初めてという訳ではないが、やはり秘溝を覗くのは、ぞくッとする様な昂奮を感じるのも事実だった。弟の存(たつる)は依然、麗海の胸の双丘を左、そして右と交互に摩り、微かな愛撫音を発して吸ったりしている。「よしっ、俺も この『...
この雨は こんな風に聴こえる 第33話「開花」
- 2020/10/26
- 22:54
雨は一旦上がったのだろうか。街灯りも暗めに見える夜の片隅、高層住居の一室で、女と兄弟の 濃い前戯が進んでいた。右と左から はだけられた白い胸の双丘への愛撫を区切った黒木は、依然としてネットリと摩(さす)りを入れ続ける弟・存(たつる)に 囁く様に言った。「忘れた俺も悪かった。存(タツ)は確か、胸フェチだったな・・?」 「ほぅ、兄者がそんな事を覚えとるとはな。俺、そんな事言ったっけ?」 「おいおい、しっかり...
この雨は こんな風に聴こえる 第32話「侵行」
- 2020/10/20
- 21:44
「いよっ、待ってました!」期待値を上げ気味だった黒木は、思わずそう声を上げてしまった。飲み物の用意を整え、既にソファに収まっていた兄弟の眼前に、ゆっくりしたモデル・ウォークの風情で現れた麗海(れいみ)は、黒木の願望を見透かしたかの様な 黒基調のフレア・ミニコスの装い。両の脚も、ニーハイで抜かりなく決め、ノー・スリーヴのアッパーと共に、彼の情念を昂らせるに相応しい演出だった。軽いウェーヴの 長いブルネ...
この雨は こんな風に聴こえる 第31話「比較」
- 2020/10/14
- 23:35
「ささ、急がんと・・!」浴室の麗海(れいみ)から突然声をかけられた存(たつる)は、兄・黒木 恆(くろき・ひさし)の眼前で 臆せず脱衣を始めた。夏の淡色アッパーの下は何も着けておらず、ジーンズの下はボクサー・ブリーフ一枚。薄い靴下を脱ぐと、労せずして生まれたままの姿に「ま、弟とはいえ、野郎の裸じゃ仕様がないんだが・・」半ば呆れて、兄は呟いた。「なぁ 兄者・・」全裸になった存が、声をかけてきた。「何だ?急ぐ...
この雨は こんな風に聴こえる 第30話「場所」
- 2020/10/09
- 22:13
多くの企業が株主総会の時期を迎える 6月後半は、未だ定職に就けない黒木を除いては、皆それぞれに忙しい様だった。彼の本命たる女流気象予報士・宥海(ゆうみ)との往来も 土休日の日中に一度や二度会う機会がありはしたが「夜の方」は暫く間が空く事になった。これは彼女の妹・麗海(れいみ)にしても似た様な状況だったが、こちらはなるべく弟・存(たつる)に関心が向かう様仕向け、極力自らは直に取り合わぬ様心がけた。「上手い具...
この雨は こんな風に聴こえる 第29話「一計」
- 2020/10/05
- 22:19
9pmを過ぎ、そろそろ夕食後の二次会といった趣の個人やカップル、グループなどの客で賑わい始めた 落ち着いたジャズ・スポットの片隅で、黒木兄弟の 些か芳しからぬ計画話が進んだ。二人が対座する席の 少し離れたカウンター席では、巽(たつみ)弁護士と副店長格の談笑が続いたが、新しい客の入店に対応すべく、彼は度々巽の前を離れる様になった。「さてと・・」黒木が切り出した。「少し混んできたし、巽先生とももう少し話が...
この雨は こんな風に聴こえる 第28話「討議」
- 2020/10/01
- 22:17
6月三度目の土曜のこの日は、気象情報は降雨も、朝晩などはかなり長い止み間があったりで ムラの様なものも感じる一日だった。この日、黒木は完全に休日。前夜一泊した宥海(ゆうみ)を、朝食の後、N,G,T,V出局の為 途中まで見送ると、昼食を含めた買い物を経て、掃除などの雑用をこなすべく一度帰宅。午後は宥海から借りた気象予報士試験の資料などで一勉強の後、これまで撮り貯めた鉄道や風景、歴史建築のウェブ写真整理などに時...