この雨は こんな風に聴こえる 第13話「嗅覚」
- 2020/07/31
- 20:47
「凄ぇっ!こりゃ絶景だ!」冷製食材(ネタ)の盛り付けに勤しむ麗海(れいみ)の背後に、黒木は思わずしゃがみ込んだ。初め抱いた「何か余計な事を・・」の想いは、彼女の装いを一目見た瞬間、微塵に吹き飛んだ。そして、やや前傾したその姿勢の背後の下方から、その中身を覗き込む事に注力したのだ。大皿を飾りつけていた麗海の装いは、黒木の居所に着いた時のワイドパンツ・ルックから一変、黒基調のメイド風ミニコスにチェンジして...
この雨は こんな風に聴こえる 第12話「検討」
- 2020/07/27
- 20:32
この日の就活を区切り、金盛副都心近くの 伯父の不動産事務所に赴いたのは 5pm近かった。既に前振りはしてあったのだが、正装のままの黒木は伯父に、己の居所も入る高層マンションのモデル・ルームを麗海に案内する為の段取りをしていた。「彼女、名目は住むって事だよな?」 「そうです。それで住民票も移す様な事を言ってましたからね」 黒木は、そう返した。「まぁよ、N市内の住人で、住むのがメインで電話やネットの連絡程...
この雨は こんな風に聴こえる 第11話「仲介」
- 2020/07/23
- 21:14
「ビクッ!」まだカメラを収めたばかりの、己の肩バッグから視線の移動ができなかった黒木が、一瞬動揺したのも無理はなかった。バッグの中身を落ち着かせ、視線を声の方へ移動した彼は、再び少しく動揺した。眼前に現れた女は、確かに宥海とはやや趣を異にしていたからだ。「あぁ、ご免なさい。貴女が平 麗海(たいら・れいみ)さんですね」努めて落ち着いた返事をしたつもりだったが、対する麗海は 黒木の些かの動揺を悟ったかの...
この雨は こんな風に聴こえる 第10話「代理」
- 2020/07/19
- 21:34
「恆(ひさし)さん、ご免なさいね。今度の木曜、あたし そちらへ行けなくなっちゃった!」 「あぁ、そう・・そりゃ残念。折角期待したんだけど、じゃあもう少し先になりそうだね」 「ええ、その事。それでね・・」些か落胆しかかった黒木だったが、放送側の都合で会えなくなった平 宥海(たいら・ゆうみ)からの携帯連絡は、少しは望みを繋げる様な感じだった。この日は曇りだが、降雨はなかった。宥海は続けた。「でね、今度の木...
この雨は こんな風に聴こえる 第9話「夜雨(よさめ)」
- 2020/07/15
- 21:46
「あ、ああっ・・よ、良かったぁ・・」 「お・・俺も同じ。ホ、ホント・・好い感じだぁ・・」正常位に戻り、高め合って昇りきった宥海と黒木は、まだ重なり合ったまま心地良い余韻に浸っていた。最初につき ゴムを介しての行為とはいえ、思いの他深い頂の歓びであった。「もう暫く、このままでいよう・・」そう感じた黒木は、又 両の腕を組み敷いた宥海の背後に回すと、上から静かに唇を合わせた。「恆(ひさし)さん・・」少しお...
この雨は こんな風に聴こえる 第8話「昇温」
- 2020/07/11
- 21:29
「あっ、はぁっ・・!」 「う、うぅっ・・!」随分と濃い前戯れを経て、セミダブルベッドに臥して重なった宥海と黒木は、曲がりなりにも正常位での結合を果たした。薄いゴムを介してとはいえ、黒木は 堅さを守る己の竿で、宥海の優れた肉壁の感触が分る気がした。「よし、それじゃ・・」彼は慎重に腰の上下動を始めた。「ふっ、はっ・・!」組み敷いた宥海の口から時折発せられる小刻みな喘ぎに耳を傾けながら、その上に覆い重な...
この雨は こんな風に聴こえる 第7話「昂雨(こうう)」
- 2020/07/09
- 14:37
「あぁ、好いね。俺から見りゃ絶景だよ・・」セミダブルのベッドに仰向けに臥し、M字に開かれた脚の間で露わにされた宥海の股間を ネットリとした視線で観察し始めた黒木は、思わずそう呟いた。「ここまで 良くしてもらった。さぁ、これから少しお返しだ。悪い気はしないだろう・・」 M字開脚を更に押し開き、暗めの照明にボンヤリと浮かび上がった 朱に染まった小陰唇にそっと唇を合わせた。そこはかとなく立ち上る、些か甘酸...
この雨は こんな風に聴こえる 第6話「途上」
- 2020/07/05
- 20:32
「上手だな。どこで覚えた・・?うっ、うっ・・」薄暗く照明を落とした居間に、続く雨音をバックに 軽い呻きを伴う黒木の呟きが漂う。全裸となり座る彼の前に、バス・ロープを纏ったままの宥海がかがみ込み、下の「竿」に食らいついたのだ。まずはそそり立った亀頭を咥え込み、磨く様にねぶり上げて行く。次いでそれを解放すると、竿の軸の根元から先端へとじっくり舐め上げて行く。「好いぞ、宥海ちゃん、有難う・・あっ、あっ・...
この雨は こんな風に聴こえる 第5話「観察」
- 2020/07/02
- 11:28
強まってきたらしい 夜の窓外の雨音を背景(バック)に、黒木の居所の長手ソファの上で、宥海の睦みが徐々に熱さと濃さを増して行く。まずは彼女の唇奪取で第一関門をクリアという所だ。折をみてトレーナーの上方(アッパー)を脱ぎ、黒木の上体は裸だ。「恆(ひさし)さん・・」と宥海の呟き。黒木が軽く頷いて返したのを確かめる様に「もう少し、濃いのが欲しいわ・・」「濃いのね、良いでしょう・・」黒木にも、その意味は何となしに...