「結局・・」己の寝室で、共に同じ大学へ進む事となった女友だち 宙(そら)の上に重なり上体を抱き、下方を一つにして、腰の動作をゆっくり続ける周(あまね)は、頭の片隅でこんな事を考えていた。「俺んちは、ヤリ部屋になるって事か?」そうは言ってもこの夜は、危険が懸念される日につき、ゴム着用だったから、まだ大人しい方だったのだが。
暫くの間、荒い喘ぎと吐息を伴う行為を経て、周「宙ちゃん・・」声かけ。宙「あ・・ふぅ・・、はい、何かしら?」 「体位、替えなくて良いか?」 「ふぅん、そうね、よくある流れだけど。今度は貴方が仰向けになって、上にあたしが跨る感じで良いかしら?その後で、貴方が後ろに来たいんでしょ?」 「ハハ、見事だ。俺の目論み、よ~く見通せる様になったな」 「ふふ・・だって周さん、顔に書いてあるんだもん!」宙、こう言って笑う。
「ハハ、そうか。まあ、余り慣れなくても良いけどな。じゃ、入れ替わろうか」 「うん、いいよ」この会話を合図に、下方が裸の周がベッドに臥し、その上に、これも半裸の宙が跨り、腰を落として、天仰ぐ男根を吸い込んで行く。騎乗位の一つ「時雨茶臼(しぐれちゃうす)」を経て暫く後、今度は周が上体を起こして、一度腰を浮かした宙が、背を向けてその上に腰を落とし、三度繋がる「絞り芙蓉(ふよう)」と呼ばれる背面座位に替え。時折昂(たかぶ)るタイミングが合わず「ご免ご免、やり直し良いかな?」などと苦笑いを交えながら、高め合って行く。
「ふふ・・周さん」喘ぎを交えて宙が言う。「貴方ホントに、後ろから仕掛けるの、好きだね」 「ああ、ご免な。言われてみりゃ、そうかも知れない」熱い吐息で周が返すと、二人は笑い合った。「ねえ、次は立ちバックじゃないの?」 「おお図星!今夜は、よく当てるな!」半分は、本当に驚く周。
対する宙「段々とね、貴方が何考えてるか、何となく分る様になって来るんだ。行為の時もね」 「ハハ・・それは何かな?俺の考えてる事が、単純だって事だよな」 「まあ、今夜の事はね。勿論、当たり外れはあるわよ」 「ああ、分るよ。そうなる事も、あるね」
周が一度ベッドに臥してから二十分程後、一度立ち上がった宙が、ベッドに手をついて上体をかがめ、臀丘を突き出す形に。後ろに周を控えさせ、尻を摩(さす)ったり、後背位(バック)で繋がり易くする為だ。応じる周「もう一度、高めた方が良いよね」そう声をかけると、宙は無言で縦に頷いた。
「周さん・・」 「はい」 「亀さんを、あたしの『女』に返して」 「よしっ、今、返すからちょっと待ってな」周はそう言い、まずは覚えて間もない「指マン」を少し。陰核(クリトリス)を一摩り、次いで陰唇周りと菊花(肛門)の順で指を走らせ、合わせ目に二本の指を浅く埋め、更に唇を合せて「ジュルジュル・・」の音を伴い舐め上げると「ふっ!はぁっ!ふうう~ん!」鋭い喘ぎを伴い、熱く反応した。
「そろそろ返そうな」 「ふ・・んん。は・・早く・・ね」 「うん」ゴムを着たまま、再び礼儀を正した男根が、後ろから宙の膣に返される。「ふっ!はっ!はぁ~ん!」又も大きな喘ぎと共に、後背位「後ろやぐら」で連結が果たされる。「周さん、さっきより強めに・・お願い!あっ!あっ!」 「お・・OK。待ってろ!」周は、宙の腰を両の手で支え、アンダーを捲る事なく、後ろから様子を見ながら、大波の様にゆっくり、しかし強めに腰を動かす。慣れた正常位とは異なる感じで、子宮口と亀頭の先端が繋がる「ポルチオ性感」の歓びが、開発されて行く。
「あぁぁ!はぁぁ!い・・好いわぁ!」 「あっ!あっ!有難と。暫く、このままがいいな」 「お・・お願いね」暫く続く、熱い立ちバックの交合。「宙ちゃん、このまま行くか?」 「あ・・あたしは良いわ。周さん、さあ、仕上げて。絶頂も、い・・一緒だよ」 「あ・・ああ、信じてくれ。お・・俺は、あ・・あ・・貴女を、置いてきゃせんよ。うぅぅ・・」二人は、初め考えていた正常位に戻る事をやめ、このまま後背位(バック)で昇り詰める事にした。臀丘に下腹の当たる、乾いた「パン、パン!」なる音。続く、喘ぎと吐息。暫くして、絶頂。
「あ・・ああ、良かった」 「今夜も、有難うな。俺も良かったよ」 周は暫く、宙の後ろに留まり、背後から、胸の双丘をメインに上体を丁寧に愛撫してやった。少し前、下級生 健(たける)の伯父 中条と、男女の話をした時「行為の後の、後戯も大事だぞ」の旨を、聞かされていたからだ。
周「宙ちゃん、安心しろよ。俺は、後ろにいるからさ」 宙「周さん、分るよ。まだ亀さん、あたしの『女』の中だもんね」 「そろそろ、離れようかな・・」 「ダメッ!まだよ。もう少し、繋がっていて」 「あいよ。分りやした」勃起を維持し、結合を続けるのは、ちょっと気力が要る事だったが。
絶頂から十分程後「そろそろ、離れていいよ」宙が言い。「そうか、それじゃ・・」彼女の言葉を確かめて、周は、後ろからの連結を解く。熱を帯びた礼儀正しい男根が、同じく帯熱した秘溝から抜き離され、合わせ目から、量を増した秘液が光って流れ下るのが見える。プリーツ٠ミニのアンダーの裾を整えてやり、そこから覗く、月の様な臀丘を暫し愛でる。後ろから覗く、このアングルが、周の好みなのだ。
「ふふ・・そうやって覗き込んでる時が、一番エッチよ」宙、笑って言う。「ご免、ご免。しゃがんで見上げるこの角度が、俺は一番昂奮する訳で」周、苦笑して返す。秘溝を濡れティッシュで清め、ゴムに溜まった男精を披露してやる。「さすが・・」宙、頷く。「最初と同じ位、濃いわ。今夜は残念。安全日だったら・・」 「宙ちゃん。大丈夫だ」周、フォローしてやる。「近くきっと、ゴムなしでできるさ。今夜の感動は・・」
行為に耽(ふけ)っている内に、日付が変わろうとしていた。「シャワー使って、寝るか」 「ええ・・二人一緒がいいわ」宙の願いを聞き入れ、二人一緒にシャワーの後「お休み!」日付が変わった直後、就寝。その3月15日水曜午後は、バイトの出勤日。宙は結局、朝、昼の二食を周と共にし、彼の出勤間際の3pm頃に帰宅した。その翌16日木曜、二人は日中、宙の母 妙(たえ)の社業補助の為、その本社で日中顔を合わせた折、出発する18日土曜朝、JR中央駅近くで早めに集合、朝食を共にしてから、各々の行先へ発つ約束をした。
その土曜、曇り日の朝。前夜、少し早めに帰宅した周は、7amに起床。直ちに、宙、豊とLINEで出かける打ち合わせをする。手回り品は、既に前日のバイト前に揃えており、先方への土産や切符と共に、持って出るばかりにしてあった。まだ朝晩は肌寒く、パーカーの上衣も必要そうだ。薄手のセーターにジーンズ、ウォーキング靴、手回り品はバック・パックの装いで、彼は早めに居所を発つ。三日間留守にする為、戸締りと火元の確認も、普段より入念にしたつもりだ。
「さて・・」EVで階下に降り、居所の玄関を出た周は、一路 市営地下鉄2号線の最寄駅を目指す。「今日は土曜だったな。いつも程の混雑はない・・かな」 「豊の親許へは、昼前に着くだろう。彼(あいつ)、今日はどの辺を案内してくれる事やら」前評判の高い、海の幸と共に、未知の土地への期待と不安が、花開いて行く。若者が旅する時の、目標物の様に・・
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 本田 岬
東京スカ・パラダイス・オーケストラの今回楽曲「ストローク・オブ・フェイト(Stroke of Fate)」下記タイトルです。
Stroke of Fate