南へ・・ 第28話「繋点(けいてん)」
- 2017/08/16
- 14:43
「挑発だ。又、始まった・・」大学入学の夜、女友達とも恋人とも言える、宙(そら)と共に、自室で過ごしていた周(あまね)の元へ、突如送られて来た、想いでの女性(ひと) 美波(みなみ)からのLINE。一時は返信を躊躇(ためら)うも、その事を目撃されてしまっては仕方がなかった。或いは無様かもだが、女友達の眼前で、あの二夜を過ごした女性への返信をする破目になったのであった。周が、どの様な姿態(ポーズ)をとれば動揺するかを知...
南へ・・ 第27話「残波」
- 2017/08/14
- 11:59
豊(ゆたか)の故郷たる佳き海が、次第に視界から消えて行く。海沿いを少しずつ離れた、帰路のJR紀勢東線は、短いトンネルを数ヵ所抜けると、険しい登りを緩める為の、大きなΩ(オメガ)型の配線を辿る。登り坂の為、流石(さすが)にスピードはやや鈍るが、ストレスを感じないレベルのペースを維持しつつ、上り特急「紀伊84号」は、南以外の全方向を向きながら、カーヴをクリアし、荷坂越(にさかごえ)の頂を目指す。60km/Hを下回る緩い...
南へ・・ 第26話「回帰」
- 2017/08/12
- 13:13
雲多めも、概ね穏やかな晴天に恵まれた、海辺の三日間が終わりに近づいた。豊野家へ帰ってシャワーを使い、上衣にジーンズの装いに戻り、魚メインの、遅めの昼食を済ませた、周(あまね)と豊(ゆたか)は、N市への戻りに向け、手回り品を纏(まと)め始めた。区切りがつくと、二人の荷物は、母屋の玄関脇の、唯一の洋室 応接間に集められた。周は、様子を見ていた豊の父 樹(いつき)と、暫し会話。「お父さん、三日間有難うございまし...
南へ・・ 第25話「転回」
- 2017/08/10
- 20:45
時刻は、徐々に昼へと近づいていた。先に、かつて入院の折、世話した事で近しくなった豊(ゆたか)と交わり、この日最初の絶頂へと昇った美波(みなみ)が、少しの間をおいて、今度は周(あまね)と重なり、二度目の頂きを目指す。正常位の熱い交わり。彼女の喘ぎと、彼の呻きが交錯し、後ろで見守る豊の位置からは、蠢(うごめ)く二人の交合部の有様が明らかに見られ。「ああ、ああ、熱いわ!周、続けて!」喘ぎながらの美波の言葉に「了...
南へ・・ 第24話「潮位」
- 2017/08/07
- 14:45
「ああ、はぁぁ~、よ・・良かった・・」 「ふっ、うぅぅ~。お・・俺も。あ・・有難うございます~・・」四十八手に言う「仏壇返し」に近い後背位で繋がり、高め合って来た、美波(みなみ)と豊(ゆたか)は、ほぼ同時に絶頂に達し、繋がりを保ったまま、まだその昂奮の中にいた。「豊・・」美波が言った。「はい・・」彼が返すと「まだよ。まだそのまま、繋がっていて。もう少し、この歓びの中にいたいの。ああ、好いわね。お尻抱え...