パノラマカーと変な犬 第57話「会艶」
- 2018/04/30
- 20:53
「さあ宙(そら)、ちょいと一風呂行って来ようか?」 「うん、そぅだね!」声をかけ合いながら、佐分利学院の講師 花井 結(はない・ゆい)とその妹・宙は着替えとかを携え、浴室へ向かった。暫くの間 出張所上階の居間(リヴィング)は、由香、由紀の木下姉妹と周(あまね)、中条の四人になる。時刻はまだ7:30pm前後。夜の帳(とばり)が降りはするも、まだ日中の光が暮れ残り、暗くなり始めたばかりの地方都市は、それなりの喧騒に包...
パノラマカーと変な犬 第56話「邂逅(かいこう)」
- 2018/04/28
- 21:36
世に「寸暇を惜しむ」という言葉があるが、この時の 由香と周(あまね)は中身こそ違え、この言葉を実践しようとしていたのかも知れない。由紀と中条が車を降り、エスカレーターで上階に向かったと見るや、前窓(フロント・ウィンドゥ)と前席の測窓(サイド・ウィンドゥ)に大小の日除け(シェード)を巡らし、周囲の視界を遮ってから、口舌による濃い挨拶、そして 更に深い愛撫へと進んでいた。由香「ふっ、はぁぁっ!周君、今の あた...
パノラマカーと変な犬 第55話「意表」
- 2018/04/26
- 15:09
由香、由紀の木下姉妹を伴い 周(あまね)の親元を訪ねた中条は、二階客間の隣室を借り、周の話に耳を傾ける。「伯父さん、実は・・」彼はこう言い、手にしたスマート・ホンの LINE文面を示す。「うん。お、これは・・」一読した中条は、一瞬 動揺したかに見えた。「周君、これ・・」 「ええ・・」 「ひょっとして、花井 結(はない・ゆい)姫に宙(そら)姫の姉妹、これからこっちへ向かうって事かよ?」 「そうとしか読めません...
パノラマカーと変な犬 第54話「二心」
- 2018/04/24
- 16:43
雲多く、時折日の射す 不安定な夏空の下を、名豊電鉄の特急列車「パノラマ・スーパー」は快調に走った。前端に展望席を設けて人気を攫(さら)った先代車両「パノラマカー」原型車の後を襲い、現在の特急列車の主戦となる これも人気車種だ。「パノラマカー」原型車は、数年前までに 惜しまれながら全量が引退したので、今はこの「パノラマ・スーパー」がパノラマカーの立場という事になる。そのせいか、最近行われた 内装メイン...
パノラマカーと変な犬 第53話「東進」
- 2018/04/22
- 22:05
「今日の夕飯、会社から料理が出る事になってな。だから、先に帰ったら 飯だけ炊いといてくれや」 「はい、かしこまりましてん!」LINEで、用件を由香に伝える中条。8/4の金曜から翌土曜の朝にかけては、彼の居所は至って平穏の内に過ぎた。夜から翌朝は、雨に降られはしたが。妹の専務 陽乃(ひろの)と 女子社員有志が用意してくれたのは、水餃子と野菜のうま煮など。幸い、降雨の直前にこれらを携え、自転車での帰宅が叶った...
パノラマカーと変な犬 第52話「功為」
- 2018/04/19
- 13:49
「信じられんわ・・」正に日付が変わらんとする、深夜の階下を眺めながら、中条は呟く。「あのアホな Kuso犬が、周りの住人たちに称えられとる。でき過ぎやて・・」 由香「ええやないですか。ご近所の皆さん、マルちゃんをこぞって褒めてはる・・」 由紀「そやね。あたしゃ彼、きっと良い子や思うてましてん・・」 初美「ホントにね。何だかだって言ったって、やっぱり立派な飼い犬よ」 甲高い咆哮が、薄暗い夜空に響き始めて...
パノラマカーと変な犬 第51話「針路」
- 2018/04/17
- 20:24
「由香ちゃん、それは・・」ソファの上に重なり合う直前、液晶TV画面置台の 小物引出しから幾つかの品物を取り出した中条は、再び臥して 彼女に重なる様指図して続けた。「今夜と明日夜が明けた土曜の話だが・・」 由香「はい・・」 「当日の朝飯は、俺がよく行く喫茶店でになる。その後で、名豊特急・・例の面白列車な・・で、東の方の吉田へ向かう。もう東隣の S県に近いとこだけどな。JR吉田駅で、路面電車の東田(あずまだ)...
パノラマカーと変な犬 第50話「鳴動」
- 2018/04/15
- 15:18
薄明りの射す寝室の ダブル・ベッドの上で進む、初美と中条の まったりとした濃い行為は、初めの正常位に戻っていた。図らずも同室となり、漂う喘ぎと呻きを聞きながら「行為」の現場に居合わせる事となった、由香、由紀の木下姉妹は、これ又「行為」が始められたと同じ、交わる大人の男女の下方、所謂「ハメ撮り」位置にうずくまり、熱く潤う交合部を、飽かず眺めていた。「う~ん、好い眺め!いつまでも見とりたいなぁ、これ・...
パノラマカーと変な犬 第49話「復習」
- 2018/04/13
- 21:57
「わはー!凄(すんご)い連結、それに一体感やな!」ねっとりとした視線で見守る・・というよりは観察を続ける 由香、由紀の木下姉妹の眼前で、初美と中条は「大人の合体」を果たした。彼一流の定石通り、正常位はスロー・ピストンでゆっくりと高め始める。そのあり様を、下半身傍の、所謂「ハメ撮り」位置から、男女の喘ぎを聴きながら、姉妹はじっくりと覗き込んでいた。「ホンマに、先生の『核心』と、伯父様のお竿(さお)、違和...
パノラマカーと変な犬 第48話「観察」
- 2018/04/11
- 21:17
「お姫様抱っこ」で初美を抱え上げ、中条は ゆっくりと寝室へ。もう何度か 彼女と夜を共にしたダブル・ベッドの上にそっと横たえると、笑顔でこう言ってきた。「ふふ・・今夜は何?あの姉妹が見てる前で、事に及ぶって寸法かしら?」 「ああ、俺はそのつもりだが、嫌かい?」 「ううん、別に気にしてないけど、あの娘(こ)たちは分かってるのかしら?」 「はい、多分 左様かと・・」中条は、わざと丁寧に返した。寝室のドアは...