母娘(ははこ)御膳 第23話「尾行」
- 2017/04/29
- 20:34
或いは、何ともまあ珍妙な光景かも知れない。二ヵ月程前、N城址下辺りの地下鉄列車内で生じた、Chikan沙汰の被害者だった少女が、今はストーカーよろしく、加害者だった若い男の背後をつけ回しているのだ。午後早く、JRのN市中央駅を発った区間快速列車は、高蔵寺までの約25kmを、二十数分で結ぶ。到着は、1:30pm少し前。降り口は進行方向右側。停止寸前に席を立った阿久比 周(あぐい あまね)は、両開戸が、チャイムの合図で逃げ...
母娘(ははこ)御膳 第22話「追及」
- 2017/04/27
- 20:24
それぞれの正月研修から帰宅した、花井 結(はない・ゆい)と宙(そら)の姉妹が、来客応対の合間に目撃した物。それは・・ 普段見る事のない、怪しげなガラス器だった。それも、ちょっと医療や介護の知識や心得があれば、何の為の器具か、容易に見当がつく代物であった。姉 結は言った。「・・たく、母さんたら、又あの病気が出たのかしらね」 「まあ、可能性は大きいわね。お客様方を見送ったら、一度追及しようかしら」妹 宙は...
母娘(ははこ)御膳 第21話「聖杯」
- 2017/04/25
- 14:27
「豊(ゆたか)・・」妙(たえ)は笑って、静かに言った。「好い事を訊いてくれたわ。聖水は、確かにその通りよ。で、今から二人も一緒に、ちょっと儀式をしようと思うの」 「儀式・・ですね。はい」周(あまね)と豊は、こう返して頷いた。「妙先生。て事は、あのガラス器を用意しないといけませんね」周が訊くと 「気付いてくれて、有難う。その通りよ」妙、こう返す。「かしこまりました。今、用意して来ます」 「お願いね。豊は、...
母娘(ははこ)御膳 第20話「未知」
- 2017/04/23
- 21:38
花井邸で続く「夜の年始」の、最初の頂(いただき)に昇り詰めた所で、花井 妙(はない・たえ)が二予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)と豊野 豊(とよの・ゆたか)に向け放った囁き・・それは。「つまりね、二人の『男』を、同時に感じたいの。もっと直(ダイレクト)に言えば、二人同時に『男』を奮い立たせて、あたしの『女』に繋がって欲しいのよ。そうすれば、三人一緒に、歓びの頂に昇る事ができるって訳よ」 「うわっ、マジす...
母娘(ははこ)御膳 第19話「交位」
- 2017/04/20
- 14:55
正月二日の遅く、広い花井邸の居間で、女社長 妙(たえ)と、予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)、そして豊野 豊(とよの・ゆたか)、三人の絡む「夜の年始」が続く。周は、妙から己の下方を高められて礼儀を正し、答礼の、彼女の下方への愛撫を一通り終えた所であった。三人とも、下半身は既に裸の状態だ。「周・・」妙は言った。「とても好い。さあ、続きはベッドでしたいわね。あたしを連れてって」 「はい先生。俺たちの寝室...
母娘(ははこ)御膳 第18話「夜礼」
- 2017/04/18
- 14:01
「ふふ・・二人、期待してたんでしょ?これから、夜のお年始の始まりよ。宜しくね」N城址から少し北東に入った、花井 妙(はない・たえ)の大きな家屋敷の居間で、訪れた予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)と、後輩の高等科生 豊野 豊(とよの・ゆたか)、それに彼女の三人による、年始 夜の部の幕が上がろうとしていた。妙は、妖しげにフレア・ワンピの裾を持ち上げ、黒のストッキングを纏う脚がよく見られる様、彼たちに仕向...
母娘(ははこ)御膳 第17話「年始」
- 2017/04/15
- 19:31
明けて新年、正月三が日は、多少曇る時はあっても、概ね晴天の穏やかな日々だった。気温も大きくは冷え込まず、日中などは10℃超えの、所謂「小春日和」と言っても良い位の好ましい気候。その様な中の二日午後、予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)と、豊野 豊(とよの・ゆたか)は、前後して、それぞれの実家から戻って来た。周は、夕方前の4pm過ぎ、豊は、そのほぼ一時間後の5pm頃、それぞれの居所に戻った。初め、豊は午前中にM...
母娘(ははこ)御膳 第16話「歳末」
- 2017/04/13
- 21:44
「宙(そら)!」年の瀬の、社長室に続く「隠し部屋」で、部屋の主 花井 妙(はない・たえ)は、予想もしなかった大胆な挙に出た次女 宙の事を本気で睨みつけ、激しく罵った。普段は、自然に出る「ちゃん」の後付けもない。彼女は、母の非常勤の部下である予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)の男精を横取りした上、それにつき、当然の所作となる、己が生まれ落ちた母の秘花を舐め回したからである。その時の妙には、宙の行為への...
母娘(ははこ)御膳 第15話「目撃」
- 2017/04/11
- 14:04
母の会社の上階、社長室奥の「隠し部屋」を訪れた、花井 宙(はない・そら)が目の当たりにしたものは、母の妙(たえ)と、非常勤の予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)の密会現場だった。一応服装を整えているとは言え、先刻まで、痴態を繰り広げていたのは明らかだった。「お二人・・」宙は言った。「隠したり、否定されても無駄ってものじゃないかしら。この音声を聞いてくれれば、分るわよ」そして、音声アプリケイションを再生...
母娘(ははこ)御膳 第14話「暴露」
- 2017/04/09
- 13:46
意外な幕切れを迎えた、若い二人 花井 宙(はない・そら)と、阿久比 周(あぐい・あまね)の最初の情交。無理はせず、ゆっくりと長めに眠り、翌朝遅めの目覚め。これもゆっくり目の、周手製の朝兼昼食を嗜み、宙の家まで見送ったのが、午後早く。「有難う。この続きがあるわ。覚えておいて」 「ああ、勿論。大事にしろよ」花井家を辞した後、居所で勉強に集中できない彼は、夕方まで、自転車でN市国際センターの資料閲覧室へ行き...