轍(わだち)~それから 第35話「特講」
- 2017/01/31
- 15:38
山間の宵闇を切り裂く、鋭い警音・・それは紛れもなく、中山荘(ちゅうざんそう)の傍らを行く、JR中央西線の貨物列車を率いる電気機関車 EF64(1000代)機が発したものだった。送風機の動作を伴う、重い走行音が、ゆっくりと四人の下方、山奥の方へ向け通り過ぎて行く。「豊(ゆたか)・・」思い詰めた様に、初美が声をかけ。「はい・・」彼が返す。「さあ、来て・・」 「はい、ですが・・」 「何?」 「ちょっと、待って下さいませ...
轍(わだち)~それから 第34話「交為」
- 2017/01/29
- 15:40
「交換(スワップ)だよ。豊(ゆたか)君・・」思い出の場所 佐分利学院の研修寮 中山荘(ちゅうざんそう)にての入浴中、絶句した高等科生 豊野(とよの)豊に、下級生の伯父 中条 新(なかじょう・しん)が返した言葉だった。彼は続ける。「君はこれまで、小町先生から一度や二度は、深い事を教わって来た様な話を、俺は聞いた。今夜は、それが初美(元)先生に替わるって事だろうな」 「マジですか?ここへ来たホントの目的は、それな...
轍(わだち)~それから 第33話「再訪」
- 2017/01/27
- 13:45
8月22日の月曜、不安定な天候が一時落ち着き、晴れ間も覗く空模様。ただ、日中の暑さは相変わらずだった。総合予備校 佐分利学院は盆明けの教科で、生徒の伯父 中条 新(なかじょう・しん)や、元講師 伊野初美(いの・はつみ)の勤務先も、それぞれに多忙な日々であった。その月曜の夜、勤務を終え、甥や親族、他の従業員たちとの夕食を済ませた中条の許に、携帯着信。学院の養護主任 本荘小町(ほんじょう・こまち)からだった。...
轍(わだち)~それから 第32話「吐露」
- 2017/01/25
- 19:18
「今日も元気だ、アホ同士・・」熱い一夜から覚めた、中条の一言。アホ同士とは勿論、斜め向かい家の屋上に現れたKuso犬と、階下を通った散歩人の連れた飼い犬の、けたたましいやり合いである。「あんな奴らに限って、悪運が強くてさ、バカ長生きしやがるんだよな・・」その頃には、隣で寝ていた初美も起き出して来て「お早う!今朝も賑やかね」と声かけ。「ああ、お早う。まあいつもの事さ。うるせぇのは分ってるんだが、相手が四...
轍(わだち)~それから 第31話「復調」
- 2017/01/23
- 14:59
土曜の夜、ソファで寛ぐはずが、あの興奮に見舞われる中条であった。下着を降ろされ、露出された下方には、共に過ごす初美の手が伸ばされ、濃厚な手コキを経て、口唇愛撫(フェラチオ)。これで、彼の「自身」はこの日二度目の「起立」。礼儀を正した先端の鈴口からは、前ぶれ液が「正常に」分泌される事に。「ふふ、新(しん)さん。とても好い感じよ。暫く続けて・・」並んで座る男から、お返しの、胸の双丘への愛撫を受けながら、女...
轍(わだち)~それから 第30話「計略」
- 2017/01/21
- 11:27
「まあ暫く、飲んだりして話でもしようか」金山副都心での買い物の後、市営地下鉄で居所に戻った中条は、同行の初美にこう言う。「ええ、そうするわ。さっきはちょっと、恥かしかったけど」 「余り気にせん事だよ。まあ、風呂でも・・」 「有難う」女が入浴の間に、男は、ウチ飲み兼夕食の準備。チーズの類や野菜スティックはいつもの通り。地下鉄を降り、帰りの道中、スマホで注文したシーフードの宅配ピザは、少し小さ目の「M...
轍(わだち)~それから 第29話「催涙」
- 2017/01/19
- 12:14
シャワーを使い、養護室奥の部屋に戻った中条を待ち受けていたもの・・それは、彼が懸念した通りの光景だった。広めのベッドに臥した、明らかに気分が優れぬ表情の、初美の脚は曲げ開かれ、下肢は婦人科医が使う、乗せ台の上。下方は、勿論露わである。更に、横に控える小町の手には、少し前、彼女と夜を共にした時と同じ、ステンレスの膣鏡(クスコ)が握られていた。「さあ、新(しん)さん」薄笑いを浮かべながら、小町が言う。「彼...
轍(わだち)~それから 第28話「企図」
- 2017/01/17
- 19:29
「分った。何とかする。今、2時過ぎやから、3時に中央駅の時計台んとこでいいか?OKだな。よし、じゃ、後で・・」盆休み入りをを翌日に控えた午後、健(たける)、徹の二少年と話し合っていた中条のスマート・ホンがSMSを捕捉したのは、その話も終わりかけた頃だった。送り主は、初美である。「二人、悪いな。ちょっと聞いてくれ」 「はいっ、聞きましょう」二少年の返事を受け、中条、続ける。「今、初美(元)先生から連絡があって...
轍(わだち)~それから 第27話「疎通」
- 2017/01/15
- 14:27
8月に入って二週目の10日、強化学級を順調に終えた、佐分利学院の生徒たちは夕方、無事高層校舎へと戻って来た。それぞれ乗って来た車から、荷物や手回り品を降ろし、所定位置に収めたり、生徒たちの手元に戻った事を確認の後、簡単な終礼と、盆明けの教科の説明を受け、解散。その途中、教科に使った備品の片づけをしていた中等科生 白鳥 健(しらとり・たける)は、親友の同級生 箕輪 徹(みのわ・とおる)の様子が気になった。...
轍(わだち)~それから 第26話「共有」
- 2017/01/13
- 14:52
二度目の「夜の養護室」。初美の問診が続く。真紅のショーツを被った中条は、彼女を抱き上げ寝室へ。ベッドに、まずは仰向けで寝かせる。「さあ先生、問診の続きをお願いできますかな?」 「ふふ、そうね。その為には、早くあたしの上に来て欲しいわ」 「はいはい。もう少しお待ちを。ああ、貴女の白衣姿、好い眺めやわー」 「ちょっとォ、じろじろ見るの、適当にしてよ。だから貴方は、痴れ者って言われるのよ!」勿論、これは...