母娘(ははこ)御膳 第41話「拘引」
- 2017/06/08
- 11:25
「よしっ、行こう!」夜半に近づく、花井邸の来客寝室のあり様を確かめた、結(ゆい)、宙(そら)の姉妹は、直ちに、大きな二階家の上階の、彼女たちの自室から、静かに階段を下って来客寝室に近づく。寝室が施錠されていない事は、母の妙(たえ)や周(あまね)、女医の小町、豊(ゆたか)らの出入りの折、確認済みだ。
「静かにね」 「ええ・・」妹の宙、慎重に寝室のドアを僅かに開け。中からは、妙と周、小町と豊が絡み合い、或いは重なり合ったまま、喘ぎ続ける声が聴こえた。妙、後ろから「碁盤攻め」の姿態(ポーズ)で周を迎え「ああっ・・ああっ・・好い!あ・・周、続けて!」 「はっ・・ふぅぅっ!は・・はいっ、まだ大丈夫です・・うぅぅ!」
その一方では、ベッドに臥した小町が、重なる豊に「はぁはぁ・・!、ゆ・・豊。ま・・前より、ずっと好いよ。さっきのキス・・もう一度頂戴!」 「はっ・・ふっ・・!、はいっ、かしこまりました。直ぐに!」上と下で、唇も下方も繋がっての、熱い正常位の抱擁。妙は浴衣、小町は白衣を着て、その下方がはだけての行為なので、傍目にも反って昂る様な。
「いや~、大きな声。一度や二度は、AVとかで見てるけど、実際のは凄いわ~・・」結は、心から感心してこう言った。宙「ホント。あたしたちも、昂ってる時はこうかしら?少しは気をつけた方がいいかな・・な~んて!」もう姉妹は、寝室に立ち入っているのだが、例の四人は、未だに気がついていない様だ。
結は、後背位で交わったままの、妙と周の背後に、そっと近づく。母との情交に没頭する彼は、背後に恩師がぴったりと付き纏っている事さえ気がつかない様だった。傍らの、もう一つのベッドでは、小町と豊の行為が進行中。こちらも、結を背にして横向きとなった「燕返し」の体位の為、気付いていない様にも思われた。それは、激しい喘ぎと吐息により、他の音がかき消されがちだとの、もう一つの理由もありはしたのだが。
「周、聞こえる?あたしよ」少し前までの教え子の、耳の辺りに吐息を吹きかける様にして、結が言う。「あ・・結さん」周、ようやく気づき、腰の動きを緩めて反応す。「あのね、母との好い事、これまでよ。直ぐに離れて!」その更に後ろでは、妹の宙が、半開のドアから顔を出し、ニヤニヤと薄笑いを浮かべながら眺めている。
周は、正直ホッとしていた。姉妹の母 妙への憧れは強くあったが、その一方で「そろそろ、終わらせたい」想いもありはしたからである。「分りました。ちょっとだけ、時間を下さい」こう返し「先生、結さんから中止要請がありました。俺、応じてもいいですか?」と尋ね。背後から、覆い被られていた妙は、少し上体を起こして、結と周の方へ顔を向ける。「あ~あ、好い所だったのに。ノックもせずに、仕方ないわねえ。まあ、いいでしょう」渋々応じ。周はこれを受け、妙の秘溝に繋いでいた男根を、ゆっくりと抜き離す。秘液と我慢液で濡れそぼってはいるが、まだ発射はしていない。浴衣の裾を捲られた、前かがみの妙の下方露出の様は、中々の眺めであった。
「も・し・も・し・亀よ~ 亀さんよ~・・♪」後ろから覗いていた宙が、図った様に歌い出す。「おい・・こら、笑わすなよ。この~・・」周は、思わず噴き出してしまった。前にいる妙以下全員も、失笑である。これで、小町と豊の行為も中断と相成った。「あーあ、豊、水入りになっちゃった」 「仕方がないです。まあ続きに期待しますよ」小町と豊の会話。そして「ああ、好いわね。周さんの亀さん、礼儀が良くて素敵だわ~!」宙がこう続けると、他の一同は又失笑を余儀なくされた。
「まあ待てよ」諭す様に、周が返す。「気持ちは分るけどさ、今は余り揺さぶらんで欲しいな~」すると、宙は「そうは行きますか。まだ熱い気持ちの内に、次の幕へいかなくちゃ。ね、姉さん!」と来た。結も「そうそう、今、その幕間の時なのよ。母さんには悪いけど、今度はあたしたちが、周を必要としてるの。さあ、それが分ったら、場所替えよ。もうすぐ移動だから、用意して!」 「分りました。いいでしょう!」ようやく気持ちが整った周、着衣を直すべく、控え室へ移動。「トレーナーのままで良い。後の服とかは、持ち帰れる様にして!」 「はい!」結の指図で、周は移動の準備に入る。暫く後・・
周「豊、悪いが、今夜これからは、俺たち別行動らしいわ。お前は、妙、小町の両先生から、濃い指導をしてもらえ。俺は、例の姉妹から、有難いお知らせがあるみたいだから、それ聞きに行くわ」 豊「分りました!阿久比さん、ご幸運と良いお知らせに恵まれる事を祈ります」 「有難う、お前モナー!」 「さあ、行くわよ!」トレーナー上下姿の姉妹に前後を固められ、同じ装いの周は、慌ただしく花井邸を離れた。
玄関から前庭を通り、外に出ると、直ぐに妙の会社と法人契約がある、Sタクシーが現れた。JR中央駅近くの、本社に関わる仕事もこなす、永野 光(ながの・ひかる)と言う、馴染みの男が運転手だ。豊の後輩、健(たける)の伯父 中条と同年輩か。
永野「今晩は!おー、阿久比さん、暫く!」 周「お晩です。いやー、永野さん、お久です~!」 「大学お決まりだそうですね。おめでとうこざいます!」 「有難うございます。いやー、ご心配かけました!」暫くは、進学の話題が続く。そして、永野「ご用は聞いております。お乗りになってお待ち下さい」 「了解です。俺、前が良いのかな?」周が訊くと、急に歯切れが悪くなり「そうですねー、それでお願いできると・・」と、やや物言いが静かになる永野であった。
手回り品をトランクに預け、前席で待っていると、程なく(小町に施錠などを託した)姉妹が現れる。やはり、それぞれ一定の手回り品があり、永野に預けてから後席に乗り込み。「お待たせ!永野さん、お願いします!」 「かしこまりました。では・・」車寄せに停まっていたタクシーは、静かに夜の街へ出て行った。
「行先は、どこでしょう?」訝る様に、周が訊くと、永野は更に静かに「ご免なさい。実は貴方のお住まいなんです・・」と返し。「やっぱり・・」内心では思うも、周は口には上らせなかった。地下鉄なら一駅の、花井邸から周の居所の間。タクシーでも、かかって二メーター目であり、数分で着いた。生暖かい東寄りの風、間もなく、雨になりそうだ。
「有難うございました!」 「永野さんも、お気をつけて!」タクシーを降りると、周は、サインで精算した姉妹から、居所への先導を促される。セキュリティをクリアし、EVで上階にある部屋へと向かう。2LDKの一室が、セミ・ダブルベッドのある寝室。もう一室が、PCなどのある勉強部屋。それから食堂兼居間と、浴室、トイレ、洗面台にヴェランダと言う、小家族向けマンションに似た構造。落ち着くと、姉妹に冷茶を振る舞い、手回り品を勉強部屋で預かる。衣類を収めるクロゼットもあり、姉妹のそれも、一応全部収まった。
「さてと、周・・」結は言った。「ちょっと準備が必要なの。少しの間、シャワー行っといでよ」 「はい。ああ、そうなんですか?それなら・・」恩師の言葉に従い、周は浴室へ。その間に・・「あたしたちも、着替えようかしら」 「そうね・・」姉妹は長い黒髪を下ろし、用意して来た、ほぼ揃いの、下着調のミニコスへと変身す。少し前、宙が周を揺さぶった、妖精調のそれだ。アンダーに二ーハイを合せ、ショーツは勿論「T」である。立鏡を使い、互いにざっとチェックして、準備完了。もう一つ・・途中まで、周に目隠しをするアイマスクがあるのも確かめる。
そろそろ、彼が浴室を出る頃だ。結は、その手前で気付かれぬ様待ち受ける。シャワーを終えた、下着にバス・ローブ姿の周の背後から、結が近づき、その顔にアイマスクを被せ、視界を奪う。「あっ、何ですか?これ・・」 「ご免ね。ちょっとだけ、我慢して」結、周を後ろから寝室へと誘導。待ち構える宙と共に、ベッドに横たえる。「そのままで、じっとしていて」仰向けに臥した、周の顔上に、背中合わせに姉妹が跨る。そして「宙ちゃん、いい?あたしと同じタイミングで、ゆっくりしゃがんで、彼の顔をお尻で覆うのよ。分るね」 「OK。面白そうだね」姉妹は、ニヤリと笑い合い、ゆっくりと、若者の顔めがけて腰を落として行ったのだった。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 上原瑞穂
久石 譲さんの今回楽曲「ハイランダー(Highlander)」下記タイトルです。