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交感旅情 第9話「本音」

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4/29の土曜祝日「昭和の日」、新潟地方は、穏やかな晴天に恵まれた。朝方は少し肌寒くも、日中ともなれば、20℃に達する陽気となり、上衣にしても、薄手のもので十分であった。前夜、N市を発った、夜行高速バスで、早朝 この地に入った花井 宙(はない・そら)、阿久比 周(あぐい・あまね)、伊野初美(いの・はつみ)、中条 新(なかじょう・しん)の四人は、JR新潟駅前で朝食後、少し離れた信濃川沿いを、この地の名園 白山公園辺りまで、暫く散策する事とした。

新潟駅前から、信濃河畔近くの万代シティ・バスセンターまでは、一人100円で、当地 新興交通の路線バスが利用できる。朝早くから、結構頻発していて、四人は、程なく発車の 西郊へ向かう便に乗って数分後に前述のバス・センターへ。ここから信濃河畔までは、徒歩でも直ぐである。下方が、宙のみデニムのゆったり目スカートの他は、全員似た様なデニムの長パンツやジーンズ、そしてウォーキング靴などの、普段着姿である。

既に桜の見頃を終わり、新芽も吹き始める時季だったが、新潟市中心部は、丁度チューリップの見頃。重文でもある万代橋(ばんだいばし)の上にも植え込みが続き、色とりどりの可憐な花が、初美と宙を感嘆させた。「素敵ね、ここは記念撮影だわ!」挨拶を交わした、既婚らしい地元女性の協力を得て、周と中条も入った、川下の竜都大橋を背景に、2カットを撮ってもらう。

長さ300m代前半と思われる、万代橋を渡り終えると、直ぐの所に、首都圏有数の都市ホテルが、新潟館を構える。そこの脇から、川上へ向かって暫し歩く。地元民や旅行者多数も早くから繰り出し、一部は自転車で往来する。陽光の下、信濃河畔は快適だったが・・

川上へと向かう遊歩道で、中条と並んで前を歩きながら、周はこの未明の出来事を思い出していた。バス階下のトイレでの、宙との熱い行為。今、振り返ると、狭い便座に控え、両脚を曲げ開いた彼女は、その下方に何も着けない「ノーパン状態」だった。

「つまり・・」周は想像した。「トイレに行く前に、彼女(アイツ)は、自席でショーツを脱いでたって事だ。恐らく、俺の事を想像して気分が高まり、彼女の『女』から、少し粘る秘液も浸み出した事だろう。しまったな・・」そして、想像を続ける。「かなりの性臭だったろう。まあ、結果論かもだが、行為から戻った折、彼女に匂いをかがせる様、こっそり言ってやれば良かったかな・・」 

更に続け「まあ、人生に『たら、れば』はない様にすべきって、俺の親たちも (白鳥) 健(しらとり・たける)の伯父さん(つまり中条)も言ってる。仕方がない。又機会はあるだろうけど、巡って来た時を上手く使えないのが、今の俺の欠点・・かな。でも困った。さっきの想像で、男根(コック)が勃起してしまったわ。伯父さんや宙ちゃん、初美先生に気付かれん様にせんと・・」

一方の中条も、余り芳しからぬ想像をしていた。「うんうん。初ちゃんの下方は、美顔と魅惑の長い栗色(ロング・ブルネット)にも負けぬ、三十路とは思えん美しさだ。程良い濃さの下草、朱に輝く陰核(クリトリス)、それに続く、カントと呼ばれる、魅惑の陰唇。そして、荒れ知らずの菊花(肛門)。今夜も、又見(まみ)えられると思うと、喜ばしいわ。しか~し・・!」

そして続ける。「周君の恋人・・は分ってるが、あの宙姫の、下方に咲く花畑も、是非愛(め)でたい気がするな。初ちゃんの前で、邪(よこしま)は分ってるが。いいか、一回りも若いって事は、そりゃ『アソコ』の美貌も『乞うご期待』レベルだろう。良かねぇのは分ってる。しか~し・・!」

中条の想像、更に続く。「これはあくまで、聞いた所だが・・」 「宙姫の処女を召し上げたのは、他ならぬ周君だそうじゃんか。そこでだ!去年だったか・・彼(ヤツ)の後輩 豊野 豊(とよの・ゆたか)君と、本荘小町(ほんじょう・こまち)先生が一緒だった時、G県の佐分利学院研修所でやった交換(スワップ)を、三人に持ちかければ、或いは上手く行くかもな」こう思い、左隣の周と、後続の女二人を見まわして、笑顔を送った。

「周君」 「はい・・」 「何だ?昨夜の車中で、良い夢でも見たんか?」 「ああ、いやいや。夢自体は認めますが、そんなに良かったかなあってレベルでして・・」 「そうか。俺ははっきり覚えてねぇな。まあ見出すと、余り芳しくねぇのばかりでさ」 「成る程ね。むしろそう言う事の方が、夢になり易いんですかね」 「意外と、そうかも知れんな」

後方では、初美と宙が「この辺りの桜って、四月半ば少し前らしいですね」 「さっきの方も、そう仰ってたわね。この辺は、新潟屈指の花の名所ですって」 「そうですか。桜が終わったのは残念だけど。まあいいわ。ホント、チューリップが素敵ですから」 「そう、それが今の良い所よね。もう少しで公園・・かな」

歩く事小半時。新潟陸上競技場近くの信号交差点に差しかかった時、左折を待つ、イエロー・カラーの乗用車と交錯した。と、その時・・「あっ・・周君に、中条の伯父様・・」運転席から、高めのクリアな声が飛んだ。「!」 「あっ、おー、由香さんに由紀さん!」周が応じる。中条が「おいおい、噂に聞く、美人姉妹かよ?」 「そうです。姉の由香さんが運転してますね」周が返した。

横断待ちにかかった、メーカーで言うエア・イエローを纏った、レンタルのトヨタ・シエンタに乗っていたのは、前月に、周と豊が紀州の地でバッタリ出くわした、木下由香(きのした・ゆか)、由紀(ゆき)の姉妹だった。「ちょっと、Uターンして来ますね」 「ああ、悪いな。お願いするわ」

少し先の交差点で方向を変えた車は、歩道で待つ四人の傍らに横づけされる。運転の姉 由香は言った。「昨日午後の飛行機で、伊丹を発って、夕方から新潟に居るんです。さっき、前夜の宿を出て、これから山間の今日の宿に向かう所なの」 「お二人、お初です。そうか、今夜は同宿だな。宜しくです」四人を代表し、中条が返す。

由香は続ける「どうでしょう。よかったら、皆さんも一緒に乗って行かれる?今度の車は、七人まで乗れるんです」 「何たる用意の良さ!」中条は思った。が、しかし・・「ああ、いやいや。新潟駅ロッカーに荷物を預けてるもんで、我々は、予定通り JRで行きますわ。それよりねえ、由香ちゃん」 「はい・・」 「もしかすると、俺も運転する必要があるかもだから、営業所に届けといた方が良くね?場所は新潟空港かい?」

由香「ええ、昨日の夕方前、空港で借りたんです。好いですね。ここからは10分位だから、そうしましょうか。じゃあ皆さん、乗って下さい!」 「了解、宜しくお願いします!」総勢六人が乗り込み、車は一旦、新潟空港近所のレンタカー基地へ。そこで、周と中条が運転予定届けの後、新潟駅へと戻ったのが、8:10am過ぎ。

中条は言った「じゃ、我々は、これから8:25amの会津方面行快速に乗るから。ここから咲花の宿までは、一時間強あれば着くだろう。10am頃までは居るから、できたらお茶位しようか?」 「そうですね、まず、それ目標にしましょう。実は、あたしたちも SLの列車を追跡しようと思うんです」 「田舎の汽車だと思って、甘く見ねぇ様にな。思った以上に速い事があるぞ!」 「分りました。用心して行きましょう!皆さんもご安全に、又後で!」 「はい、有難う。気をつけてどうぞ!」

磐越道と R49で向かう木下姉妹と一旦別れ、中条以下計四人は、預け荷物を戻すと、JR新潟駅プラット・フォームへと向かう。ここは現在、上越新幹線との乗換え改善の為、在来線の高架移行を進めており、今度の列車は、少し離れた8番フォームから出発する。東京五輪及び障害五輪の時期に合わせて完成見込みとかで、多少の不便さは、それまでの辛抱だろう。駅舎を向いて、行き止まりのプラット・フォームには、程なく三両編成のディーゼル気動車の列車が現れた。結構な乗車人数。これからいよいよ、「磐越」と呼ばれる、新潟山間への行程が始まる。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 JR新潟駅 万代口周辺 新潟市中央区 2014=H26,4 撮影 筆者
葉加瀬太郎さんの今回楽曲「The Cozy Bench」下記タイトルです。
The Cozy Bench

物語中の、JRフリー券「えちごツーデーパス」の本物資料、下記 JR東日本新潟支社 HP内「おトクなきっぷ」欄に記載。
JR東日本 新潟支社

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