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交感旅情 第11話「桜道」

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「皆、待ってたぜ!」とでも言いたげに、東北電力・上野尻(かみのじり)発電所脇の桜の木々は、見頃の頂(ピーク)をやや過ぎたとは言え、まだまだ見事な花を誇っていた。ともすれば、興を削ぐ事ある緑の新芽も、まだ殆ど見られない。JR上野尻駅から、徒歩約10分強で達する事ができた。花の密度濃い見所は、特に混み合っている様だ。

「やっぱり、大そうな人出だな」 「・・ですね」周(あまね)と中条は、思わず呟く。「初ちゃん・・」彼は声をかけた。「はい、何かしら?」初美が返すと「俺たちゃ、この左手の築堤の下辺りで、蒸機を迎える。一時間ちょっと位あるから、貴女は宙(そら)ちゃんと、ゆっくり花見て来るか?」 「良いわね。そうしようかしら・・」

町道の左手、線路の築堤の下に、何本かの三脚がセットされているのだが、丁度その中程辺りに、一列横隊に置かれた箇所があり、更には何と、三脚二本分位が空けられた形になっている。持ち主たちは、周囲の撮影ポイントを確かめに行っているのだろう。後方には撮影者がなく、まるで「お前たちの撮影位置はここだ。分るだろ・・」とでも言っている様な風情。中条は言った。「周君、何か運命っぽい感じもするな。俺はここで撮るつもりだが、君は?」

対する周「伯父さん、同意です。自分も、慣れない土地ですし、まずは隣でやろうと思います」 「分った。じゃ、ここで決まりって事で。もしもよ、後ろや周囲で何か言われりゃ、その時考えりゃ良いって事で・・」 「はい、分りました・・」二人が三脚を構えると、完全な一列横隊になった。沿線の桜花も、文句なし。来た時から感じられた、撮り鉄たちの本気度が、更に高揚される気がする。

「初ちゃん、宙ちゃん」中条が続ける。「はい・・」 「俺たちが撮る間、暫く発電所の方の花を見に行ってると良い。あちらは、もっと見応えがありそうだからな」 「分りました。有難う・・」 「蒸機の列車は、正午過ぎに通る。上野尻駅までの帰りは、時間があるから、俺たちがそっちへ行く様にするわ」 「はい、お願いします」初美と宙はそう返し、別行動に・・

中条の言葉通り、ダム状の堰堤(えんてい)と発電所建物を間近に見る辺りの花は、特に見事だった。「名もないのに、こんなナイスな場所があるなんて、素敵ね」そう言い合ったりしながら、女二人は、暫し阿賀野川沿いに歩き、ゆっくりと花見に耽(ふけ)った。暫く後・・

発電所建物から少し離れた河畔に、古いベンチを見つけ、小憩。「都市部と違って、のんびりと観られるのが良いわ」 「ホント。だんだんと、軋(きし)んだ気持ちが柔らかくなる様ですわ」宙がこう返すと、初美は「ねぇ、ちょっと訊いていい?」 「ええ、いいですよ」宙は、笑顔で応じた。

初美は続ける。「昨夜、往きの夜行バスのトイレが長かった気がするんだけど、何かあったの?」 「あ、いやいや。ちょっとね、軽い乗り物酔いみたいな症状が出たんで、行ってただけの事。周さんが心配して、途中から様子見に来てくれましたけど・・」 「ホントに、乗り物酔いだったの?」 「そうですよ・・」

俄(にわ)かには、信じ難い初美であった。「違うでしょ。貴女は初めから、周君を伴ってトイレに立ってたわよ。二人して、中へ入ったってのは、ただの『連れション』レベルで済む話じゃないでしょ。何をしてたか、全てを聞き出したいものだわ!」内心でこう思いながら「そしたらね・・」と言った。

「はい・・」宙が返すと、初美は「余り関係ないかもだけどさ、去年の暮れ、社長室横の控室で、あたしとした『いい事』、又やってみない?」と言うと、宙は「ふふ・・それって『レスビアン・パートⅡ』ですわね。今日は、その時と違って野外ですから、衆目ってのがありますけど、そちらは大丈夫かしら?」と返すも、視線の方は妖しくなり始めていた。「あの時の、(初美)主任との高め合い、正直 とても好い感じだった。又、味わえるなら・・」との想いに駆られたのも事実だった。

「多分、大丈夫だと思うわ」初美が言った。「もう11:30am近いでしょう。公園の人たちは、皆、正午過ぎに通る SLの列車に気を取られて、離れてるここの事は気がつかないでしょうね。勿論、最後の一線は超えないけどね」 「いいでしょう。じゃ、座って始めましょうか・・」女二人は、川面(かわも)を向いたベンチに、並んで着座した。

宙は言った。「『主任』はやめて、お名前で呼んだ方がいいかしら?」 「そう来なくっちゃ嫌よ。それじゃ・・」ベンチ上の女二人は、グッと近づき、隣どうしに。そして・・「初美さん、好きです・・」宙の一言を合図に、睦(むつ)み合い始めた。まずは、濃い目の口づけから・・

「ん・・、ん・・、くふっ・・い・・好いわぁ」 「あ・・あたしも、と・・とても好い感じですぅ・・」数分間に亘り、互いの背後に腕を回し、舌技も交えた、濃厚な口唇愛撫を。「もう暫く、マッサージしよ!」 「はい、いいですよ・・」軽いウェーブある、長めのブルネットと、同様の黒髪に、白くなよやかな、互いの手指が絡みつく。次いでその手指は、長い髪の奥に控える、耳周りを駆け巡り、そこから頬(ほほ)や首筋へと降りて行く。多くの桜は散り始め。時折来るそよ風に、落花が舞う事もある。

「宙ちゃん・・」初美が声かけ。「はい・・」宙が返すと「随分、触り方が上手くなったわね。あたし、ちょっと熱くなっちゃった」 「ホントに?これちょっと、訊いたら怒られるかしらね?」 「ううん、隠す事なんかないわ、ホントの事、仰(おっしゃ)いよ」 「分りました。つまり・・」深呼吸を置いて、宙は続ける。

「つまり、下半身が熱くなっちゃったって事かしら?」 「ハハ、まあ、それもあるわね」初美は返した。すると「下方は拙いけど、胸周りはどうかしら?」宙はこう言いながら、初美のブラウスに右手を差し込んで来た。「嫌ね。何するの?」と内心では思いながら、初美は、宙のその行為を許した。

「宙ちゃんも、大胆になったわね。周君とのお付き合いで変わったのかしら?」の初美の問いに、宙は「まあ、それもあるかもですね。でも、もう一つ分って頂きたい事がありまして・・」 「何かしら、それは?」更に訊かれると、宙は「それは・・」と続ける。

「あたしは、姉と違って、子供の頃は、亡き父の仕事が忙しくなり始めた時季だったので、母の乳房(おっぱい)に、余り親しむ機会が持てなかったのです。それで、申し訳ないとは思いながら、こんな事をしてる訳で・・」 「分った。お母様とのその事は、仕方がないわね。でもいいわ。これから暫く、あたしの胸を駆け巡っていいから・・」 「有難うございます。もう少し、進めますね・・」宙はそう言い、初美のブラウスの前ボタンを、ほぼ全部外した。

「ああ・・」胸の双丘を愛撫された初美、喘ぎを発す。「うん、好い感じ。次は・・」呟(つぶや)きながら、宙は初美のブラを下にずらし始める。ブラカップ「C」と「D」の間位の、形と乳輪の色良い双丘が、遂に露わになる。「初美さん、無理は分るけど・・」 「はい、何?」 「貴女の乳房(おっぱい)、ちょっとで良いから、吸わせて欲しいんです」聞いた初美は、流石(さすが)に動揺した。

「それは嫌、ダメ!」強い拒絶をすべきも、その時の彼女には、何故か拒む気力が見当たらなかった。これを見た宙は、間を置かず、初美の「胸の双丘」に両の手指を駆け巡らせた後、顔を埋め、次いで左右の乳房を交互に「チュウチュウ・・」と音を立て吸い始めた。「ああ・・好いわ。続けて」 「はい、勿論・・」静かに、しかし熱く、女による女への愛撫が続く。辺りは時折、散る桜の花吹雪が舞う。後少しで、正午・・
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 本田莉子
葉加瀬太郎さんの今回楽曲「エトピリカ(Etupirka」)下記タイトルです。
Etupiruka

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