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パノラマカーと変な犬 第53話「東進」

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「今日の夕飯、会社から料理が出る事になってな。だから、先に帰ったら 飯だけ炊いといてくれや」 「はい、かしこまりましてん!」LINEで、用件を由香に伝える中条。8/4の金曜から翌土曜の朝にかけては、彼の居所は至って平穏の内に過ぎた。夜から翌朝は、雨に降られはしたが。妹の専務 陽乃(ひろの)と 女子社員有志が用意してくれたのは、水餃子と野菜のうま煮など。幸い、降雨の直前にこれらを携え、自転車での帰宅が叶った。

「永(なが)ちゃんには悪いけど・・」時折 個人的に訪れる、会社で契約のある Sタクシーの乗務員 永野 光向けに用意しているエビス・ビールのレギュラー缶を二本開け、一方を由香に勧める。酒気が許されぬ由紀には、初美がリキュールを割る時 使う事のある、冷やしたペリエを用意。シャワーを使い「乾杯!」の一声と共に、少し速いペースで夕食が進んだ。

「いよいよ 明日ですね」ニッカリと笑みを浮かべ、由香が切り出した。「左様!由紀ちゃん共々、いよいよだな」中条も、姉妹両方を交互に見ながら返す。明くる土曜は、午前中から N市から少し離れた東方の「吉田」にある、周(あまね)の親元へと向かうのだ。勿論これは、主たる目的ではない。その夜、そこからほど近い 中条の勤務先の 保養所を兼ねた拠点へ行く方が、それである。

「さて、明日の夜 張り切らないかんから、今夜は大人しめに寝るかな・・」中条が言った。聞いた由香「それもいいけど、ちょいとだけ 練習しちゃいけません?『予行演習』て言うんですか?」と返し。その言葉に由紀も「あたしも、ちょいと不安なんです。そやから、伯父様と ちょいとで良いですさかい、練習みたいな事したいわぁ・・」 「ハハ、ちょいとだけかよ?参ったな。大昔にさ、俺が生まれるより前に、姉妹歌手で「こまどり姉妹」てのが人気だったらしいが、貴女たちは、こう言ったら何やが『困った姉妹』てとこかな?あ・・いやいや、気にすんなよ。こりゃ 冗談だからさ・・」

「まあ!そこまでズケズケ仰るんですか?」ほんの少し、ムッとした風情で 由香が反応。由紀も「あたし、そないに困った事 したかいな~?」と、首を傾げる。「ああ・・オイオイ!気を悪くしたら、ご免な。ただ、そんなに深く考える事じゃねぇからさ・・」意外・・というか、心外な反応になりそうな所を、男は避けようと、懸命にフォローしたつもりだった。

「伯父様、大丈夫よ・・」由香に、笑顔が戻った。「あたしたちも、そないに気にしてまへん。そやけど、久しぶりで 周君の『男』と会えるのを、由紀もあたしも楽しみにしとるんです。それは、分かって欲しいわぁ!」 「はい、伯父様。あたしも『右に同じ』でしてん・・」由紀も、合わせて来る。「ああ、そういう楽しみな。分かる分かる。俺はそういう楽しみを、壊しゃせんから大丈夫だて・・」何とか、気まずい状況を脱した中条であった。

少し後、TV画面をチェックすべく、ソファに臥した男の下方が「やっぱり」剥がされ、露わにされる。「ふふ・・」右手で下草をまさぐり、男根(コック)の礼儀を糾さんと、由香は手指を滑らせる。「伯父様、下の非礼は許しませんよ・・」 「もう一つ、玉袋もね!」これは、由紀の言葉だ。「お竿同様、堅くなって欲しいんですぅ・・」そう言いながら、陰嚢に手指を伸ばして来る。様子から、姉妹は二人共 バスローブの下は、何も着けぬ裸らしい。

中条「ああ・・うぅぅっ!二人とも、ここへ来てから一段と上手になったな。しか~し!」 由香「はいっ、お聞きしましょう。上手って褒めてくれはったのは嬉しいけど、続く『しか~し!』は何でしょう?」 由紀「あたしにも、聞かせて下さぁ~い!」と合わせる。「わ・・分かった。今、答えるからな」 「はい、お願いします!」姉妹は穏やかに、しかし 確実に男を追い込んで行く。更に由香は、この夜初めて 中条の男根を 上から乳房で挟んで高める技に出た。俗に言われる「パイズリ」だ。これで男は、ほぼ冷静さを保つ余裕を失った様だった。

「そ、それは・・」中条は、呻きながら 辛うじて言葉を発した。「もう分かるだろう。あ・・明日のこ・・事だよ。あ、ううう・・!」 由香「ああ、明日の事ですね。周君の下半身に関係ある事かしらね?」 「ハハハ・・まあ、そんなとこと思うてくれりゃ、間違いねぇだろうて」 「ふふ・・そうか、やっぱり期待して良さそうな感じでんな。そいで・・」彼の男根に、言ってしまえば「ネチネチ」と刺激を加え続けながら、由香は一種「言葉攻め」の様な攻勢に出る。

「あっあっ、す・・凄い快感は事実やが・・」熱い攻めの標的となりながらも、男は 辛うじて凌ぎきった。妹の由紀も従えた、凄まじい攻勢だが、あくまでも 昇るのは、明日でなければならないのだ。彼は言った。「由香ちゃん・・」 「はい、何?」彼女が返すと 「貴女の高い技と、熱い想いはよく分かった。しか~し!」 「はい、続けて」 「やっぱりさ、絶頂は明日に延ばしてぇんだな。俺は・・」 

由香「う~ん、さよですかぁ。残念だわ残念だわ。伯父様のお竿っていつも堅めやし、今夜イッたって、一晩で回復するんじゃって思うたのよね。いやぁ、思わぬ寸止め、残念ですう・・」 「いやそれ、あたしも同感です。今夜、一度はイかはる思うたんですが~・・」由紀もそう言って、惜しがった。姉妹二人がかりで、男根の先端から「我慢汁」が滲むレベルまで追い込みはしたのだが。

中条「まあ、今夜は悪いなぁ・・てのは分かってるよ。そやが、周君も加わる 明晩に絶頂を持って来たい訳でさ。そこはどうか、分かってくれねぇかなぁ?」由香「まあ、そないな事なら理解しまひょ。由紀も、そんなんでええか?」由紀「ええも悪いも、そないに理解するっきゃなさそうやな。まぁええわ。周さんも来はる、明晩って事で・・」

かなり熱い 姉妹の「優しい攻勢」をどうにか凌いだ中条は、ひとまず姉妹を寝室へと促す事に。だが 妹の由紀は直ぐには従わず、暫くは彼に重なって、一緒に TV 画面をチェック。小一時間を過ごした後 寝室へ。明けて 8/5の土曜は、未明に雨が上がり 朝は少しゆっくり目に起床す。ほぼ恒例の、向かい家の飼い犬「マル」の、決して聡明とは言えない 朝のパフォーマンスに目を遣りながらも、寝室の手入れなどを進める。

夏の平装に着替えて落ち着くと、この朝も 三人は 中条馴染みの喫茶店で朝食。店主には、あくまでも N城趾の周りを散歩中に偶然出会った事にしてあった。その後 9am過ぎには出掛ける用意を整え、手荷物も携えて、ボツボツと N市中央駅へ向けて、市営地下鉄に乗り込み出発した。

JR中央駅の、ほぼ直下に、名豊電鉄の中央下駅がある。上下二線だけの線路に、プラットホームが三面。これで、多くの方面へ向かう列車乗降を 色分けした並び位置の区分だけで捌く。初めて訪れた人は、まず迷う事だろう。「ホンマに分かり難いでんね。ちゃんと、ホームが分かれとる 近参電鉄の中央駅とは、天地程違いまっせ!」姉妹はこの様に 本気で驚いていた。

吉田へ向かう特急列車は、10:03amに出発する。全6両編成で、前2両が 座席指定で席料の要る特別車、その後4両が 運賃だけで乗れる一般車だ。数分前に、地下プラットホーム出ていると、特急列車の車両「パノラマ・スーパー」が時刻通り姿を現した。先頭1号車が、中条が最前列全部を押さえた展望席、吉田行きの最後部、反対方向で先頭の6号車は、今は展望席はないが、前方視界は一定配慮されている様だ。

「見晴らしよろしですね。地上に出たら、楽しみ~!」進行方向左側に座る姉妹はそう言い、顔を輝かす。「うんうん、直ぐに上がるから、期待してろよ~」右側に控える中条も応じる。「それにしても・・」由紀は感嘆した様に「色々違うとこへ行く 沢山の列車を同じプラットホームから出すのって凄(すんご)いですね。関西じゃ考えられへん事ですわ~!」 「無理もない事・・」と中条も思った。確かにこれは、尋常ではないのかも知れない。更に、地上へ出て暫くの所で吹奏する、音楽警笛ミュージック・ホーンも。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 名古屋オート・トレンド 2018 会場にて。2018=H30,2 名古屋市港区 画像提供 A・DENKA様 有難うございます。
中村由利子さんの今回楽曲「ザ・レイン・ハズ・ゴーン(The REain has Gone)」下記タイトルです。
The Rain has Gone

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