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パノラマカーと変な犬 第58話「発露」

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結(ゆい)と宙(そら)に由香、由紀の木下姉妹・・総勢四人の女が、入浴後のリヴィングで身づくろいを兼ねて寛いでいる間、周(あまね)と中条は入浴している。「温泉とは行かんが、やっぱり好いなぁ」 「・・ですよね。まあ気持ちの問題でしょうが・・」互いの背を流し合ったり、狭いながらも入れ替わりで浴槽を使ったりしている。女たちに倣った訳ではないが、洗髪もした。「所で・・」周が言った。「うん、何やろ?」中条が返すと「伯父さんは、初美先生と過ごされる時、お風呂で『その場面』に遭遇されたとかはないんですか?」本当は良くないかもだが・・という感じで、慎重に訊く。

中条は、一呼吸の沈黙を経て「それは何、風呂性交(バス・セックス)の事か?」 「そうです。あまり良いお尋ねじゃないかも。それだったら、申し訳ないです・・」 「ああ、何・・別に構わんよ。そうだな、あれってよく芸能雑誌なんかに載るらしいんだよな。俺はそう、一度や二度は興味本位で試した事あるけど、習慣にはならなんだ。初ちゃんは、彼女の好きな 全裸で行為できるんで、理解してくれたんだが・・」 「有難うございます。つまり、余り深くはならなかったんですね」 「そういう事。まあ分かると思うが、行為中に『あの声』が不用意に上がる事があって、具合が悪いんだよな。だから、それへの用心もあって 嵌るレベルにはならなんだって事だよ」

周「分かりました。改めて感謝です」 中条「君は何、近く 宙姫と試すつもりなの?」 「ええ、自分もウェブの雑誌で読んだんですが、一度位なら面白そうだなって思ったもんですから。それに 宙も一度位ならって言ってくれてますし・・」 「そうかね。俺は反対はせんが、実行するなら窓閉めとか、風呂場の防音をしてからする事な」 「はい、有難うございます。まだ考え中ですから、何とも言えませんが」 「まあ、無理はせん事やな」女たちの時より幾分早めに、簡単な片付けを経て 二人は浴室を出た。

まだ 8:30pm前。居間(リヴィング)に戻ると、女四人は全員バスローブを纏い、TV番組をチェックしていた。ソファは、補助席を噛ませて四人用長手に 宙と 一つ空けて由香、由紀の姉妹が座り、一人用の一方に結が収まり、もう一方が空けられ。「これは・・」戻った周と中条には、これからの展開が、薄ぼんやりと脳裏に描かれた様な気がした。

「淑女の皆さん、お・待・た・せ・・」居間に戻った中条は、結に耳打ちする様に、静かに言った。傍らの周も、軽く頭を下げる。「こちらこそ、待ってました!」女たちを代表して、結が返す。他の三人も、笑顔で黙礼。そして「お席、もうお分かりですね」由香が、笑顔で言った。「ああ、はい。何となく・・」男たちは生返事し、女たちに目で促されるまま、周は長手席の中程、中条は、一人用の一方に収まる。

中条が、水筒で持って来たブランデーを 冷蔵庫の氷とミネラル・ウォーターで割って 結、由香と周に見舞い、酒気NGの 宙と由紀にはジンジャー・エールが振舞われる。この日二度目の乾杯を経て、中条が挨拶。「皆さん、今日は有難う。まだ夜も早い。見たい番組もあるだろうし、その辺りは適当にって事で、宜しく・・」 

「はい、有難うございます!」全員が返した後、結が言った。「ふふ、伯父様期待の行事(イヴェント)が、これから開幕・・でしょ?」 聞いた中条「お~、面白(おも)ろそう。何の事ですか?」 結「ふふ・・おとぼけかしら?でも、本音でしょ?」 「ああ、はい。まぁね、本音と言や本音・・かな?」

中条の返事が終わりきる前に、結は「さ、やるわよ!」 若い女たちを促し、一斉にバスローブの帯を解き始めた。見守る男は 上の空で、既に記した落語家 笑福亭鶴光の持ち歌の一節「そ~ろりそ~ろりと 帯を解く~♪」を思わず口ずさみそうになり 「やめろ、馬鹿野郎!」と、内心で己を叱咤したものだ。

「んふっ、如何・・?」下着調のコスを纏った、美女四人の艶姿が 周と中条を捉えた。結はミント・グリーン、宙はライト・ピンクの色調の他は、木下姉妹に近い フレアのミニコスだ。下肢も抜かりなくニー・ハイで決め、更に結は、同色のガーター・ベルトを着けている。「いやこれ、とても好いなぁ~」称える周も中条も、すっかりニヤケ顔だ。

「さあ、ちょいと TVを消して頂こうかしら。これから、あたしたちが挑発するから、周と伯父様は 是非昂奮して欲しいわ」自信ある笑みを浮かべ、結はこう言った。「面白(おもろ)そうですね。お二人の反応見て、進めるって事ですね」由香が返し、由紀と宙も頷いて同意。「そうそう。これから夜が深まるの。あたしたちも、それに合わせて濃くなるって事よ」

「何が始まるんだ?」一旦 席を立った女たちの後の長手席に 並んで移動した周と中条の胸に、ふっと疑念が起こった。女四人は、横一列に整列。所謂 ライン・ダンスのレビューの様だ。その時・・近隣からかもしれないが、ミュージカル「コーラス・ライン」の主題曲が 漂う様に流れて来た。一瞬笑みを見せた結「行くわよ!」と鋭く号令。他の三人も、こっくり頷いて続く。

ほんの数分間だったが、夢の様なライン・ダンスが整然と繰り広げられた。途中には チア・ダンスでも見られるハイ・キックなどの際どい場面も散りばめられ、極小の下着を纏った股間も、幾度か目を奪った。拍手と歓声を送りながらも「これは全員、下着は『T』だな」と一方で興奮し 辛うじて射精の衝動を抑える、周と中条であった。

数分を経て、微かに聴こえたミュージカル楽曲が終わると、一同は又 元の席へ。由香「さあ周君、ゆっくりと核心目指して行きまひょね」こう言って、まず隣に座る周の唇を奪う。彼も快く応じ、まずは由香と唇、そして舌の奪い合いを。次いで、もう一方の隣席の宙、その向こうの由紀とも、順に同じ行為を続けて行く。由香の胸回りの下着、ブラが剥ぎ取られ、周の手が 彼女の「胸の双丘」を求めて、身体の上を這い回り始めた。

「さあ、あたしも参加しよ!」一呼吸置き、由紀も 由香、宙と周の交わりに絡んで行く。向かって右に由香、中央に周、左が由紀で、宙は 周の開いた膝の間に入り込み、下方の一物を捉えるべく、構え始める。「よしっ・・」周が、由紀と二度目の接吻(キス)に入ったのと同時に、彼の浴衣の裾を捲り上げ、現れた下着(ボクサー・パンツ)を剥いで 下半身を露わにする。

「この一物は、あたしのもの。誰にも渡すもんですかっ!?」宙は、周の股間から離れる事なく、下方に伸ばした手指で 彼の男根をゆっくりと摩(さす)り上げる。「あ、い・・好い、うぅぅ・・」喘ぎながらも、快楽に身を任せようとする 周が快感に酔っている様子を理解する 宙であった。

一方の中条、ここまで 若い男女のやり取りを見ていた所を、結の不意打ちに遭う。「伯父様・・」彼女は言った。「はい、ご免な。何か集中できんでな・・」中条が返すと 「周が、若い娘(コ)たちに囲まれて 一生懸命応えてるのに、貴方だけ傍観なんて狡いわよ。今夜は、しっかり昇って欲しいわね!」 中条「ああ、有難と。いやいや、そんな気は全くなかったんだ。さあ、俺たちも始めるって事で・・」 「当然ですわ。そう来なくっちゃ!」「了解!では宜しく・・」 「ふふ、こちらこそ・・」

これを受け、中条も結と唇、そして舌の奪い合いにかかる。「ん、んんん・・」互いに声を圧し殺しながら、熱く高まって行く。口舌の 初めての挨拶が区切られると、男は 女講師の胸周りに手指を走らせ「CとDの中間」位のブラ・パートを下にずらして、現れた胸の双丘の感触を味わって行く。「うん・・」男は得心した様に言った。「綺麗な肌。期待通りだぜ!結ちゃん・・好いぞ。とても好い感じだ」「あたしもよ。初めてじゃないみたい。あ、あん・・」互いの愛撫技を称え合い、長い登りにかかって行く。それと前後し 中条は、納戸の押入れ棚に、夜の行為に役立つある器具を見つけていたのだが、それは 次回触れたい。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 あやね遥菜
中村由利子さんの今回楽曲「樹」下記タイトルです。

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