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情事の時刻表 第28話「受診」

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女医・小町の呟く様な言葉通り、11/3~5の金曜祝日から日曜にかけての M県北紀地方は、暖かく穏やかな晴天が続いた。特に中日の 11/4土曜は、朝方の最低気温 10℃台半ば、日中の最高気温に至っては 20℃台半ばに迫る高い値で、日向では汗ばむ程だった。北紀中央病院では、院長と小町の指揮で、事前に予約を受けた漁業関係者十数名の 特別健診が行われた。

若衆たちは、身体測定と問診メイン、勿論 胸部X線検査はある。三十代後半以上の中高年組は、胸部に加え 胃部検査や「下の物」の絡む 大腸潜血検査なども加わる。9amから始まった健診は概ね順調に進み、正午過ぎにはほぼ全員を診終わった。補佐役の看護師・美波と少し遅めの昼食に入った小町は、海鮮丼と吸い物を食しながら話を進めた。

「それでね、美波。午後の事なんだけど」 「はい先生、午前と違って、大声じゃ言えない部分(パート)に突入って事ですね」笑いながら、美波が返す。これを受け、小町は続けた。「午後は 2pmから、特に選んだ男三人を詳しく診て行く予定よ。場所は、病院上階の特別病室ね。ここがメインの診察室で、隣の同じ病室を控室に充てるから。この件、院長からは了解を得てるので、その辺は、気にしなくて良いわ」 「分かりました。2pmスタートとなると、大体所要は 2H位かしらね。その頃には、胃の検査をした一ノ瀬さんと崎戸さんも、下剤の方が収まってる事でしょうね。後 若い三浦君は、特に問題なしでそのまま行けそうですし・・」

小町「有難う。それでね、美波・・」 「はい・・」彼女が返すと「貴女は明日午前、中条さんや初美さん、豊(ゆたか)君の行為に合流してもらうつもりだけど、もしもあたしの『診察中』にその気が起きたら 加わってもらって構わないからね」 「そうですか。それは有難うございます・・」そう返事をした美波だったが、内心では勿論「この好き者!」と揶揄する気持ちがあったのも事実だった。

小町と美波も、受診の男たち三人も昼食と休憩を終え、上階にある 特別病室向けの専用ロビーに集合したのは 2pm少し前だった。南を向いた開放的な空間で、眼下には入江と、その外の 太平洋へと繋がる外海「K灘」が臨まれた。波は、年に何度もない真っ平に静まった 所謂「ベタ凪ぎ」の状態だ。遥か沖合を、首都圏か中京圏から出たらしい 大型貨物船が西へと向かう。

「先生方、午後も宜しくお願いします!」後から上階ロビーに入った、白衣上下に身を固めた小町と美波の姿を認めた受診の男たちは、揃って立ち上がり 一礼した。最年長 四十代後半と思われる一ノ瀬 建(いちのせ・たつる)は、豊の父・豊野 樹(とよの・いつき)と同じ精悍な漁師。北紀漁協の役員という立場も 172~173cmのがっしりした体躯も近い雰囲気だ。樹と同じく、中小型漁船を保有する。

崎山 洋夢(さきやま・ひろむ)は、沖合にも出る中大型船の漁労長。齢の頃は三十路半ば。体躯は 三人中一番小柄で、身長は小町や美波にも及ばぬ 150cm強だが、強靭さでは他の誰にも引けを取らないものがある様だ。一番若い三浦 渚(みうら・なぎさ)は、体躯も大柄な175cm強。実は豊の通った地元小学校の先輩で、この年成人したばかり。県内の高校卒業後、家業の漁業と共に 地元漁協に就職したという事らしい。

「皆さん、午前中はご苦労様。一ノ瀬さんと崎山さんの胃腸検査結果は後日分かるけど、他の箇所は今の所異常なしだから自信を持ってね。・・でこれから、午前中できなかった所を診ようと思うの。もう少しだけ、協力をお願いね」 「分かりました。では、詳しくどうするかを伺いたいですね」一番年長の、一ノ瀬が訊いた。

頷いた小町は「はい、それじゃぁ そのお話をして行くわね。早い話、皆さんの『男の機能』を診たいって事ですよ」 「なる程ね。我々の『男の機能』をご覧になる・・ですか」三人の漁業関係者たちは、小町の発した言葉の意味が、直ぐには呑み込めない様だった。が、少しおいて 尤も小柄な崎山が反応した。「先生・・失礼ですが、それはですね・・私らが、直に先生と交わって その『機能』を診て頂くって事でしょうか?」

小町「話がし難いのはご免なさいね。実は、そういう事です。一ノ瀬さん、崎山さんと三浦君があたしと寝て『男の機能』を表してもらうって事ですよ」 「おお、何と!」何度も荒海に出たりして、度胸では誰にも負けぬ男たちだったが、女医のこの言葉には動揺し、どよめいたものだった。

「まぁまぁ、落ち着いて・・」色めき立った男たちをなだめる様に、女医が言った。そして「まずは、交代でシャワー使って用意しましょうよ。核心のとこは、皆さんのシャワーが終わってから話すからさ。さぁ、順番にどうぞ。何なら、隣のを使っても良いわよ」と続けると、彼たちは「有難うございます。それじゃ・・」と応じ、一ノ瀬が隣室へ。崎山と三浦は同じ部屋のシャワーを交替で使った。10分余り後。

「さぁ、用意は良いわね・・」「はい、OKです」短い会話を経て、特別病室応接用長手ソファーの真ん中に収まった女医の右に一ノ瀬、左に崎山が座り、彼女の眼前に 若い三浦が立つ。「先生、まずは改めてのご挨拶ですね・・」既婚で経験値の高い一ノ瀬が、小町の長いほぼストレートの黒髪を軽くスウッとかき分けると、耳元で囁く様に言った。「ふふふ、建(たつる)さん、好い感じ。そういう事よ・・」下の名で呼ばれる返事を得た一ノ瀬は、少し強引な感じで 小町の唇を奪いにかかった。

「あぁ上手、素敵よ・・」小町、呟く様に返し、二度、三度と一ノ瀬と唇を合わせる。前後して、一ノ瀬と崎山の両の手指が、まず彼女の上体周りに柔らかな攻めを開始する。直ぐに白衣を脱がす様な、無粋な出方はしない。白衣越しに手指どうしを絡ませ、次いで上腕を摩って行く。右からの一ノ瀬、左からの崎山、ほぼ同じペースと強さで じっくりと高めて行く。一ノ瀬の顔が小町から離れると、入れ替わりに崎山が その唇を奪いに来た。

「二人・・と、とても好いわぁ・・」まだ前戯の入口に過ぎぬ段階で、女医は早くも愉悦に酔い始めた風情だった。接吻(キス)は、未婚の崎山の方が上手い様に 彼女には感じられた。「さぁ渚、貴方も挨拶だ」重ねていた唇を解くと、崎山は眼前に立つ三浦を促した。彼たちの背後では、美波が微かに笑みを浮かべながら 行為の行方を見守る気配である。

「先生、自分も宜しくお願いします・・」しゃがみ込むと、小町と三浦の顔は ほぼ同じ位置で向かい合った。頷きの返事を得ると、彼も先輩方に続き 女医の唇に己のを合わせて行く。「あぁ・・」三人の男たちと唇を交わした彼女は、もう上気している様にも見えた。「先生、とても素敵だ・・」一ノ瀬が囁く様に言い、他の二人も「確かに・・」と合わせた。

この間にも、小町の左右・・そして眼前から 男たちの計 6本の手が、彼女の身体に回され、ネットリと這い回る様な動きをみせていた。一ノ瀬と崎山は、着衣のまま 小町の胸の双丘への攻勢を始めた様だ。「あぁ、あぁ、皆 上手。渚君もよ。あぁぁ!」この様子を見た一ノ瀬は、眼前にいる 他の二人に声をかけた。「次、行くか?」崎山も三浦も、頷き返した。「よしゃ!」短く確信の言葉を発した彼は、女医の白衣の裾に左手を忍ばせ、太股を目指した。反対側の崎山も、同様の動きを見せる。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 友田彩也香
今回の「音」リンク 「サウス・ビーチ(South Beach)」 by野呂一生(下記タイトル)
South Beach

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