2ntブログ

記事一覧

轍(わだち)~それから 第4話「再念」

IMG_2141.jpg
6月初旬の某日、中条 新(なかじょう しん)は、勤務先である、義弟が社長の内装関連企業の、取引先と営業企画上の打ち合わせの為、東隣の県 東濃地区へと向かった。勤務地のN市を昼頃出て、先方都合で車が使えないこの日は、JR中央西線での往復となった。

ほぼ順調に用件を終え、先方の希望もあって茶話会の後、多治見と言う駅から、夕方前の上り列車にて帰途に。この時、午後4時半過ぎの快速はかなり混んでおり、時間に余裕のある彼は、続行の4時45分発の各停を選んで乗車。ここからN市中央駅までは、ほぼ40分前後で、快速と各停でも所要時間差は、基本 約数分しか違わない。ただ、この選択が、その後の男の運命を、少しばかり変える事になるのだが。

列車は6両編成。前方の3両が、大阪辺りのJR快速列車でよく目にする、基本前向きで座るクロス・シートの車両。後半3両が、全国の地下鉄などで標準の、立ち席の多いロング・シート車両である。これは、同線の乗車実態が、下りは列車の前半、上りは後半が混雑し易い事とも関係があるらしい。この傾向を知っていた中条は、上り先頭車の中程に席を取った。余談ながら、この時は、この先頭車にのみトイレがあり、万一の小用を考えての着座でもあった。

県境の、やや深い渓谷をトンネルなどで抜けて約20分余後、中条らの地元 A県最初の街 K市の中心部にある、勝川(かちがわ)と言う駅に入る。プラットフォーム中程の乗車待ちは、かなりの人数だ。それを横目に、先頭車の停まる位置で一人待つ女の姿に、男は見覚えがあった。「あれは・・」
「もしかして、初美さん・・?」彼女の方も、気付いた様に見えた。

先頭車の右後ろ、丁度トイレの傍のドアから乗り込んだ女は、中条の座る方へ歩いて来る様子が、快いパンプスの響きからも分った。そして・・
「中条さん・・」 「おお、暫く!」 「隣、大丈夫?」 「ああ、どうぞ」 スレンダーで色白の、ハーフっぽい美貌。紛れもない、彼の甥の元恩師 伊野初美(いの・はつみ)。二人、並んで座る。

 「お久しぶりです」 「お元気そうで、何より」 「電車でお出かけなんて、珍しいんじゃない?」 「ええ。今日はね、先方の事務所が改装中で、駐車場が使えなかったんで、こうなった訳でして」 「でも、ハンドルの心配がないから、気楽でしょ」 「そう、それはね。所で、貴女もお仕事かな?」 「ええ。中央駅から20分位だから『ちょっとそこまで』て感じよね」
西進する列車の中で、二人は近況報告と、世間一般の雑談などして過ごす。この日の初美、上方は清楚めの白ブラウスに、下方は「ガウチョ」と呼ばれる余裕の大きい薄茶のパンツ姿。中条「夏らしいね」とその事に触れる。「早めに、季節感を取り入れたいのよね」と初美も応じ。

危険で不評な「駆け込み乗車」も今回はなく、午後5時半、列車はほぼ所定でN市中央駅へ。到着の折の動揺で、男の左手に女の右手が一瞬重なったのは、偶然とも思えなかった。二人は、示し合わせて駅構内の喫茶店で、短時間 茶をする事に。意外にも、この席で、中条が言い出そうとした事を、初美が言ったのだ。

半ば社交辞令のつもりだったが、中条は「初美さん。近く、又お会いしたいね」すると、女はこう返したのだ。
「中条さん。今日は偶然だったけど、あたしも前からお会いしたいと思ってたの。だから、貴方の連絡先を教えて欲しいの」
「好いでしょう。今、用意するから、ちょいと待ってね」彼は、居所と勤務先、携帯、それに少し離れた実家の電話番号を、メモで渡した。後の処理は、彼女に任せるつもりだったのだ。「控えたら、できれば、そのメモは破棄して欲しい。貴女の連絡先は、今は訊かんから」 「好いわ。都合が分ったら、必ず連絡する。貴方、去年の夏の事は、忘れてないわね」 「ああ、勿論ですとも」

その夏の出来事を少し。彼の甥 白鳥 健(しらとり・たける)とその親友 箕輪 徹(みのわ・とおる)が行っていた佐分利学院の特別林間学級からの帰途、その学舎 中山荘(ちゅうざんそう)を発つ直前、密室と化した講師の居室で、下着同然のミニコス姿で、初美が中条を揺さぶった時の事だ。凄まじい挑発に下方を熱くしながらも、男は辛うじてかわし、女に平服に戻るのを促し、その場を鎮めたのであったが、講師の居室の解錠時、その右手を女に握られた強い感触を、今も忘れてはいなかった。

「じゃあ近く、知らせますから宜しくね」 「はい、こちらこそ」小半時程で、この場は解散。それから、中条に伝えられ、了解した日時は、4日土曜の夜だった。

その同じ日、時間は少し遡るが、多くの生徒や職員の帰った、静けさの戻った佐分利学院の養護室には、熱く妖しい時間が流れる。

シャワーを使い、バス・タオルを纏って部屋に戻った高等科生 豊野 豊(とよの・ゆたか)は、すぐ異変に気付く。
そこにいたのは、先程とはうって変った風情の養護主任 本荘小町(ほんじょう・こまち)の艶姿であった。
実は、清楚な白衣の下に秘められていたのは、黒ずくめの下着一式。ベビー・ドールとでも言うのだろうか、短めのアンダーの上下、ストッキングも勿論黒。これは、訪ねた最初に分ったはずだが、よく見ていなかったのは迂闊だった。しかも、決め手の様な、ガーター・ベルトも抜かりなく着けているではないか。下方のショーツは、もしかすると露出刺激極大の、Tバックかもだ。

小町は言った「ふふ、これを見たら、これからどうなるか、分るよね」 「はい。ああ、何となく。でも先生、僕は一度もこんな風な事は経験してませんで・・」豊、返す。
小町「いやいや、それで好いのよ。一つずつ、あたしが教えてあげるわ。豊君、童貞なんだ。丁度良かった」こう言った後「今日はこれから、あたしの事を、名前で呼んで。その代り、君の事は『俺』って言って好いからね」
豊「分りました。小町さん、宜しくお願いします!」 小町「さあ、分ったら早速復習よ。ここに座って、始めましょう」
二人は、奥の広めのベッドに並んで座り、互いの背後に腕を回して、唇を重ねる。先日より長い時間をかけ、舌も使った濃厚なやり方で。

抱擁の途中から、ベッドに臥しての行為に移る。仰向けの小町に、豊が徐々に身体を預ける。「さあ豊、あたしの上に来るの。もっと、もっと重なって」 「はい。こんな感じで好いのかなあ?」そう語り合いながら、豊の身体は、小町の上にほぼ重なる。
「そう、それで好いのよ。今、あたしの想いを伝えるわ」二度目の口づけを経て、小町は、豊の腰に下肢を回し、強く組み付けにかかる。教え子を、蟹挟みにしようと言うのだ。
豊「ああ、強い力ですね。俺、貴女と一つになってく様な気がしますぅ・・」こう言うと小町「そうでしょう。今からあたしたち、本当に一つになるのよ」と返し、暫くは、喘ぎと吐息が交錯する、熱い愛撫が続く。

暫くして豊「小町さん、お疲れじゃないですか?暫くの間、俺が下になりましょう」声をかけると、小町「あたしは好いわ。でも、その気持ちが嬉しい。中学の頃、君はよく下級生をいじめてた様だけど、今日の事を学ぶと、もうそれはできなくなるわよ」
豊「はい、そうなる様に努めます。じゃ、まだ俺が上で好いですか?」 小町「そうよ。もう少し続けて」
やがて、下着の肩ストラップがずらされ、初めて見る胸の双丘が現れる。豊、赤子の昔を思い起こす様に、佳い色の乳輪に唇を寄せ、愛でる。
「ああ、この感じ好いですねえ。いつまでも、触っていたいです」 「ここは、懐かしい場所よ。君が小さかった頃、毎日、お母様のここにいた訳よ」 「なる程。そう言う事ですね」豊は、その言葉を反芻する様に、指と舌で、乳房へのソフトな愛撫を続ける。

小町「ああ、好いわ。豊、初めてにしては上出来よ。さ、ここで入れ替わろうか」 「はい、分りました」豊、仰向けになり、小町を迎える。今度は、露わになった彼の上体を、小町のしなやかな指先が駆け回り、印程度の乳輪に、舌を這わせて行く。
「ああ、感じるぅ・・」思いの他、強い刺激に、豊が声を上げる。「そうか、結構敏感なんだね」感心した様に小町、豊の首筋から肩、腋、両腕、腹周りへと指と舌を走らせる。彼はその度、低い喘ぎを繰り返し発した。そして・・・
(つづく 本稿はフィクションであります)。

今回の壁紙 JR中央西線 金山駅北詰 名古屋市中区 2015=H27,7 撮影 筆者
松岡直也さんの今回楽曲「ネコのあくび」下記タイトルです。
Neko no Akubi

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hakase32

Author:hakase32
愛知県在住の後半生男です。恐れながら、主に18歳以上限定内容を記して参ります。

お手数ですが、拙各稿を初めからお読み下さる場合は、下方にあります月間アーカイブ他のご利用をお願い致します。
他ブログを含め、拙記事の無断転用及び引用は ご遠慮下さい。

下記ランキングに参加しております。
クリックをお願いできれば幸いです。

官能小説ランキング

アクセスカウンター

愛と官能の美学

Shyrockさんの R18読み物集。他の作者各位も多数リンクされています。入口は、下記タイトルです。

赤星直也のエロ小説

赤星直也さんの R18読み物集。入口は、下記タイトルです。

未知の星

赤星直也さんの R18読み物集もう一つ。他の各位の作品も収録されます。

Mikiko's Room

Mikikoさんの、カテゴリー豊富な R18読み物集。独自視点の旅日記も好感です。

Adult Novels Search

R18 読み物の検索サイトです。

ブロとも一覧

拙バナーです

知人様より、優れたバナーを賜りました。必要時はご利用を Produced by Shyrock

もう一つの 拙バナーです

知人様ご厚意により、拙バナー追加編も賜りました。必要時はご利用を。 Produced by Shyrock

清き一票を(笑)

下記ランキングに参加しております。

日本ブログ村バナー


にほんブログ村 →できますれば、こちらも応援を・・

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

月別アーカイブ

これまでの拙連載「想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密(2016=H28,9~10)」と「轍(わだち)~それから(2016=H28,11~2017=H29,2)」  「母娘(ははこ)御膳(2017=H29,3~6)」  「南へ・・(2017=H29,6~8)」 「交感旅情(2017=H29,9~12)」 「パノラマカーと変な犬(2018=H30,1~5)」  「ちょっと入淫(2018=H30,6~10)」 「情事の時刻表(2018=H30,11~2019=R1,6)」 「レディオ・アンカーの幻影(2019=R1,11~2020=R2,5)」 「この雨は こんな風に聴こえる(2020=R2,6~2021=R3,3)」も お読み頂けます。