この雨は こんな風に聴こえる 第5話「観察」
- 2020/07/02
- 11:28
強まってきたらしい 夜の窓外の雨音を背景(バック)に、黒木の居所の長手ソファの上で、宥海の睦みが徐々に熱さと濃さを増して行く。まずは彼女の唇奪取で第一関門をクリアという所だ。折をみてトレーナーの上方(アッパー)を脱ぎ、黒木の上体は裸だ。「恆(ひさし)さん・・」と宥海の呟き。黒木が軽く頷いて返したのを確かめる様に「もう少し、濃いのが欲しいわ・・」
「濃いのね、良いでしょう・・」黒木にも、その意味は何となしに分かっていた。「じゃあ、続きね・・」そう返したながらもう一度唇を合わせ、今度は舌を宥海の口内に 少し強引に挿し入れて行く。すかさず彼女は、入ってきた男の舌を吸いにかかった。「あは、意外・・」思ったより強い吸いに、彼は次第に酔わされていく様な気がした。少しの間、舌を挿し込んだ宥海の口内を掻き回す愉悦を味わう彼だった。
「さぁ、お返しよ・・」三度目の接吻(キス)に乗じて、今度は宥海の舌が、黒木の口内をまさぐり始める。「あぁ、よしよし。良い子だなぁ・・」宥める様に、今度は彼が 侵入した女の舌を愛でる様に吸ってやる。「好いぞ好いぞ。この感触・・」下方の帯熱さえ気にならなければ、このまま一晩中でもしていたい心地良さがあったのも事実。が、しかし・・
「困ったもんだ。どうしても 竿の抑えが利かんわ~・・」トレーナーの下方(アンダー)を着けてはいるものの、最早下方の怒張は一見して分かる位だろう。かと言って、やはり今夜は初対面。一足飛びに核心の行為までなだれ込む訳には行かない想いも、黒木の脳裏の一方を占め続けていた。「そろそろ・・」彼は思った。「胸辺りから徐々に攻めるとするか・・」
「宥海さん、それじゃ・・」重ね続けた口舌を一旦解いた黒木が呼びかけた。「分かるわ。首から下への旅に出たいんでしょ?」照度の落ちた 暗めの照明に、優れた微笑みが浮かび上がる。「正に、東洋の神秘アジアン・ビューティーだな・・」惚れ惚れと眺める黒木に、宥海がそう返した。
「そうです。ならば・・」そう言葉を継ぎながら、黒木は左手を 宥海のバス・ローブ襟元ほと滑り込ませた。ここはわざと、利き手の右を使わなかったのだ。まだブラも外さず、暫くはその上から胸の双丘を摩り上げ、高めて行く。程なく「あぁ・・」 「好いわ。続けてぇ・・」の喘ぎを交えた反応が 彼の耳に届き始めた。
頃合いをみて 黒木、今度は右手で宥海の襟元を開き、ブラを着けた双丘を露わにして行く。勿論初めは、ブラに遷(うつ)った「芳香」を愛でたいと思ったからだった。「あぁ、好い感じのカーヴだね・・」うっとりとした風情を見せ、宥海の上体に重なった黒木は その「胸の谷間」に鼻を埋ずめて行った。「よ~し、芳香、芳香!」少し露骨に「クンクン・・」と嗅ぎまわる。
「ふふ・・」鼻先を「胸の谷間」に押し付けてきた黒木の頭に両腕を回しながら、宥海は笑って反応した。そして「あたしの匂いって、そんなにいいの?」 聞いた黒木「うんうん。まだ微かに汗とかの湿気も交じって、俺的にはグーですね・・」一瞬顔を上げ、そう応じた。本当に、心から彼女の「芳香」を称えるつもりだったのだ。
「何か、変わってる気もするけど、まぁ良いわ・・」と宥海。まさか自分の体臭が相手の男の気に入られるとは想像外だったのだが、褒め称えられている事を思うと、決して悪い気はしないのも事実だった。そして「恆さん そろそろね・・」と何かを促す様な出方をした。胸のカーブへの愛撫をやめない彼には、その大体の意味が分った様だった。
「そろそろね。はい、じゃあ入ろうか・・」そう返した黒木、バス・ローブに忍ばせた右手を宥海の背後辺りで止めると、ブラのホックをブラインドの状態で外しにかかった。思いの他 簡単に外れると、次の瞬間 眩しい「胸の双丘」の真相が目に飛び込んできた。「素晴らしい!期待通りだぜ!」ブラ・カップこそ「C」位で強烈さはなくも、優れた流麗な曲線。乳輪も適度に目立つ、中庸の好ましいものだ。「うほ、理想のオッパイですわ~!」黒木 思わずニヤリとしながら、素直に感想を述べた。
「あは、恆さんは嘘がつけない性格らしいわね。今の言葉も素直に出た感じだもの・・」宥海も、笑顔で返す。完全に胸をはだけられながらも、そう不愉快ではないらしい。「さぁ、次へ進ませてもらおう!」呟きながら、もう一度左手で「双丘」を交互にもう一摩り。それを経て、もう一度谷間に顔を埋め、片側から乳頭に吸い付き始めた。
「チュバッ、チュウチュウ・・」続く雨音に乗せ、微かな愛撫の音と「あ・・はぁ。こ・・これも、好いわぁ・・」切れ切れの 宥海の喘ぎ交じりの呟きが混然一体で聞こえてきた。優れた造形の「双丘」肌の感触も上々、摩る黒木も 暫し下方の勃興を忘れて酔い痴れる程だったが、愛撫の途中で トレーナー・アンダー越しのこの勃起が否応なく宥海の視界に入った。「も少ししたら・・」高められ、静かに喘ぎながらも彼女は思った。「今度は、あたしが攻める番よ・・」
宥海の「男の履歴」は決して多くはない。初体験はこの夜から数年前、当事通った大学のゼミで師だった准教授の男だった。容貌とかはほぼ黒木と同レベル。既に環境関連の論文も表していて、黒木よりは「格上」だったろう。その准教から偶然 夜の男女の事共も指導の機会があり、為に処女も召し上げられるに至った。当初は戸惑うも、月日の経過は 次第に彼女に「一つの経過に過ぎなかった」事として冷静に受け入れさせる様になって行ったのだった。
そういう訳で、この夜の黒木に対しても 割合落ち着いて対する事ができたのかも知れなかった。一渡り 胸の双丘を愛された宥海は言った。「そしたらね、今度は暫く 席を替わってくれないかしら?」 聞いた黒木は「おぉ、席替えですか。懐かしい・・なぁ!」
「ふふ、そうでしょう。もしかして、小学校の頃のそれを思い出してたの?」 「そうです。新しい席じゃ、どんな女生徒が隣りなんかなぁ・・なんて記憶を思い出したりしてね・・」一度立ち上がった宥海に促されて腰を沈めた黒木に向け、その左隣に陣取るとこう言った。
「さっきの 胸(おっぱい)へのマッサージ、とても素敵だったわ。きっと続きをくれるだろうけど、その前にあたしからお返しよ」 黒木「うん、有難いお返しですね。分かります・・」そう言い、一瞬腰を浮かせてトレーナー・アンダーを下ろそうとする両の手を、宥海が制した。「待って!そこから先は、任せて・・」 「分かりやした。じゃあ、宜しくです!」聞いた男も、女の意図を直ぐに察した様だ。
頷き返した宥海は、中腰のままの 黒木の腰骨の辺りに引っかかったトレーナー・アンダーを下まで下ろすと、両の脚先を抜かせて傍らへ。次いで 最後まで下方を覆っていたグレー系のボクサー・ブリーフも剥ぎ取って行く。これも両足先を抜け、結局 黒木は全裸にされるに至った。「いや~参った。俺、アッパーは着たまま深く濃いとこへ行きたかったんですがね」 「まぁ仕方がないじゃないの。今夜はこういう事よ。それより・・」 「はい・・」 「素敵なお竿をしてるわね・・」 「あぁ、俺のアレとは初対面だったかな?褒めて下さり感謝です。熱さは・・」そう言葉を継ぐより早く、宥海の白い手指は 黒木の「竿」に回されていた。
「あの・・宥海さん・・」昂らされ、惑いながらも、黒木は辛うじて言葉を継いだ。そして「まだ、本気でマッサージしないでね。余り愛されると、俺、マジで粗相しちゃいそうだから・・」 それを女は、笑顔で聞き入れる。そして「暴発が心配って事・・でしょ。まぁ良いじゃないの。白っぽい元気なの、あたしの目の前でシュ~ッ!て発射して欲しいわ・・」 「いやいや、何か嫌らしいな・・」流石の黒木も、宥海の出方に些かついて行けなくなりそうな風情だった。この間にも、白くなよやかな女の手指は、礼儀を正す竿と硬度を増す陰嚢の間を交互に摩りながら往来し。暫くして・・
「?」曝け出された 黒木の竿と陰嚢を摩り 柔らかく攻め続けていた宥海の両手指の動きが止まった。「さて・・」彼は想った。「次に来るのは、何だろ?」 野暮ったいとは思いながら、彼は彼女に「次は、何でしょう・・?」そっと訊いた。「やっぱり・・」という風情で、宥海は笑みを浮かべながら返してきた。「そんな事、訊いて欲しくないわ。それはほら、貴方が一番望んでる事の一つよ・・」 「やっぱり、訊くんじゃなかったってか・・?」 まぁ「思っていても・・」という所か。続く雨音に乗せる様に「ウッ・・!」という軽く短い男の呻きが発せられたのは、その直後だった。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 春原未来
今回の「音」リンク 「エンドレス・レイン(Endless Rain)」 by X JAPAN(下記タイトルです)
Endless Rain