この雨は こんな風に聴こえる 第39話「加減」
- 2020/11/23
- 22:21
「もう一度、しゃぶって頂けませんか?」 ベッド上で 後ろから弟・存(たつる)の攻めを受け昂って行く麗海の眼前に膝立ちした黒木の脳裏には、こんな思いつきが過っていた。「今夜は、少し攻め気味に進めても良いかもな・・」
姉の宥海に対してもそうだったが、麗海にも彼は 接吻(キス)で始まる前戯から、概ね慎重に丁寧に扱い 事を進める様心がけていた。為に 時に宥海からは「もっと攻める感じでも良いわよ」などと注文をつけられたりもしたのだ。「そうか・・」この様を見ながら、彼は想った。「乱暴って訳じゃないが、もう少し上手く攻める感じがあっても良いって事だな・・」
「それならば・・」 冒頭の言葉を発し、それに喘ぐ麗海が応じる仕草を見せると、彼は露わな下方の竿(男根)を グッと麗海の眼前に、少し強引に近づけた。「あっ、ふぅぅっ・・ひ、恆(ひさし)お兄さんのお竿も素敵よ。今、叶えたげる・・」 黒木の強気を察したのだろうか。麗海も、食らいつく様に 竿を咥え込んだ。
「あっ、うぅぅっ・・い、好いよ。その感じで、続けて欲しい。あうっ・・!」 屹立した朝黒の竿が、美麗な口唇に吸い込まれる。「ジュパッ、ジュルル・・!」の愛撫音に交じり「ん、んん・・」の、籠った喘ぎも届いてくる。後方では依然、存が前後に腰を使っている様だ。
「恆お兄さん・・」 一瞬、竿を口内から解放した麗海が呟く。「うん、聞こえるよ‥」黒木が返すと 「存さんみたいに、二度目の昇りが見たいわ」 「あぁ、それね。できる様に努力してみるけど・・」 「やだ。自信がないの?」 「うーん、微妙だからね・・」 「そんな事言わないで、昇って欲しいわ。あっ、ふぅぅっ・・!」前後の衝動が、黒木の下方にまで伝わってきた。後ろの存が、明らかに動きを強めた様だ。
「麗海さん、聞こえる?」後ろから、存が声をかけてきた。「あぁっ、はい、何・・?」仕掛けられ 息を荒げながら、何とか返す。一旦 腰の動きを停めた存が続けた。「俺、このまま貴女の後ろが昇っちゃって良いかな?それとも、もう一度変位(チェンジ)してみる?」
「うーん、どうしようかしら?」荒かった息遣いの少し収まった麗海は、ちょっと迷っている様だった。「このまま、顔が見えない昂奮で昇っても良いけど、やっぱり・・」 存「やっぱりですか。で、どうなのかな?」 「うん。やっばりね、貴方の顔見ながら昇りたいな。できたら、あたしが下の方が良い。守られてる感じって好きなのよ」 「分かりやした。つまり、正常位って事ですな?」
麗海「そうそう。それでね・・」 存「はい・・」 「ついでに言えば、着衣(ウェア)が乱れ切ってるから、いっその事 貴方もあたしも全部脱いでって事にしない?」 「あぁ全裸(スッポンポン)ね。俺は良いよ。あの頃も、よくそうしてたし」 「ふふ・・あの頃って、ホストだった頃?」 「ええ、まぁね」 「あは、そいじゃ、技が楽しみだわ」 「まぁ、余り期待しないで欲しい。忘れちゃった事も多いしね・・」
「う~ん・・」二人のこの会話を傍らで聞いた黒木は、正直些かの失望と落胆を禁じ得なかった。麗海の この乱れた着衣にこそ、彼はそこはかとない昂奮を覚えていたのだ。恐らくは女に合わせるだろう 弟・存の志向を知っていた彼は、叶うなら二人共半脱ぎの状態で昇って欲しかったのだが。
「よーし、それでは・・」麗海と共に冷茶を呑み、一息入れた存が言った。麗海さんのご希望通り、仕上げに行きましょ。今度はね、ちょっとハードになるけど よろしいか?」 「ふふ、何となく分るよ」と、麗海が返して来る。「ちょっとね、あたしが海老サンみたいに曲がった感じになるんでしょ。そうすりゃ、貴方の腰を脚で締める事もできないしね・・」 「仰る通りです!」
「よしっ、そういう事なら・・」呟いた麗海は、己から存を促した。「さ、始めよ!」そして着衣を全て脱ぎ、進んでベッドに臥した。「あぁ、いやいや・・」それを見た兄弟は、似た様な感じを抱いていた。途中からしか覚えがないが「月の光に玉の肌 晒してしまえば気前良くなる」の下りそのものだったからだ。この夜は曇天。月光は拝めないが、麗海の生態は正にこの言葉通りだった。
「素敵ですね。綺麗な肌だ・・」と、存は慣れた感じで 麗海の裸体を称える。「ふふ、有難と。これから、好い夢が見られそうだわ」 「そうなる様、俺も心掛けます。頑張りじゃなくて、心がけね・・」 「うんうん、分かるわ・・」 重なり合った裸体二つ、まずは改めての接吻。次第に舌技も使った濃いものに移り、次いで首回りから腋む、胸の双丘にかけての愛撫を復習だ。
「さて・・」この様を観察していた黒木は呟いた。「再びの交合ができたら、俺は後に回って 麗海さんの菊花(肛門)の感じを味わわせてもらおうかな。勿論乱暴なのじゃないが、ここに筆やら綿棒を用意してある。これで存(タツ)と繋がって昂ってる間、じっくりとおいじりさせてもらおうって事さね・・」
些かの兄の嫉妬をも招く 存の巧みな愛撫は上体から下方に移り、麗海の再びの喘ぎも高まってきた。そして「存さん、繋がろ・・」 呟く様に、行為を促してきた。存も分かっていて、再び麗海の上に戻ると「じゃあ、這入ります・・」の一言に続き、両の美脚を大きく抱え込むと 屈曲の大きい正常位で 又連結。「あっ、はぁぁっ!」一際大きい喘ぎで、仕上げの動きへと進んだ。
「よしよし、もっと良く見えるぞ・・」 二人の交合を確かめた黒木は、後方への移動を図る。勿論又「ハメ撮り」の位置から結合部の様子を観察するためだ。そして 少しおいて、麗海の美肛に筆や綿棒で仕掛けられたら理想・・とも思ったのだ。全裸の様にも思われたが、黒いメッシュのニーハイだけは脱がなかったのが、些かの救いと言えなくもなかった。
薄暗い照明の届き難い結合部を ペンライトで照らすと、件の美肛とその上で力強く上下動を繰り広げる、弟の竿の動きがよく視界に入った。「うんうん、好いぞ好いぞ。二人、なるべくゆっくり昇ってくれな。俺、少しでも長く この結合を見ていたいんや・・」これが、黒木の芳しからぬ願望であった。
或いは、この結合は 10分間程度で終わって・・と言うより果ててしまうかも知れない。「少し早めが良いよな・・」手早く、手元に筆と綿棒を用意、頃合いを見て美肛に仕掛けようと 様子を見始めた。その時・・「ちょっと存さん、停めてくれるかしら?」意外に冷静な、麗海の声が聞こえた。
「恆お兄さん、ダメよ・・」 鋭さを伴った落ち着いた声で、麗海が続けた。「存さんと繋がってる時に、あたしの菊花(おしりあな)に仕掛けようとしたでしょ。それダメ。今夜は、あたしにお竿を頂戴」 「あぁ、それね。まぁ、そうしようか・・」余り気の進まない事ではあったが、黒木は応じる事に。
「今夜はね、菊花への攻めはダメ。それに、お兄さんから『しゃぶって欲しい』て言ったんだからね。あたしにしゃぶらせる以上は、もう一度 ちゃんと昇ってもらうわ」 「了解。まぁ良いでしょう・・」 麗海の竿を咥えさせる事自体 無上の喜びのはずだが、美肛に手を出せない事が、どうも黒木には心残りの様だ。
「その事は分かってるわよ」麗海は言った。「でも、今夜はダメ。今夜はね、恆お兄さんのお竿にお仕置きをするの。このお竿は、あたしの処女を奪った『悪い虫』よ。だからあたしが納得するまでお仕置きって事。それはね、貴方がもう一度昇れば良いのよ」 黒木「あぁもう一度ね。よろしい、何とかしましょう!」 「約束よ」
かくして、少しハードな正常位で麗海と存は昇って行った。麗海の口元に黒木が絡み、その竿を美唇が咥え込む。甲高さを増す喘ぎと、上下で繋がる兄弟の 籠った様な呻きが交錯し、ゆっくりと しかし確実に頂へと昇って行った。暗い窓外は、雨の止み間が続いている様だ。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の壁紙 雨の JR名古屋駅南詰の画像もう一枚 2020=R2,9 撮影、筆者
今回の「音」リンク 「東京は雨の夜 (Rainy Night in Tokyo)」 by Michael Franks (下記タイトルです)
Rainy Night in Tokyo