この雨は こんな風に聴こえる 第42話「推察」
- 2020/12/09
- 11:08
「これは・・」 後背位(バック)で交わっていた時の事。後ろから、宥海(ゆうみ)の黒髪をかき分け、露出した右耳に息を吹きかけながら、黒木が続けた。「俺の邪推かもだけど・・」 「ふっ・・い、良いわ。聞いてるから続けて。あ、あうっ・・」 「ご免ご免。余り腰動かさない方が良さそうね。少し止めるわ。それで・・」 「うんうん・・」
黒木、更に続けた。「少し前のあの夜、つまり麗海(かのじょ)に初めてモデル・ルームを案内した夜ね。その時初めて『事』に及んだって事だけど、どうも初めから処女って事隠して 俺と繋がる事を意図していたみたいなんですよ・・」 「ほう、ある意味狙ってたって事?」 「言ってしまえば、そういう事です・・」
宥海「ふぅん。ホントに狙ってたのは 貴方のおカネじゃなくて、貴方の『男』の方だったって訳なの?」 黒木は、宥海の背後から重ねていた上体を起こし、捲れたフレアのアンダーから覗く 優れた臀丘に手指を走らせながら こう返した。「浅く考えればそうなる。でも、何かね・・?」 「まだ何か、引っかかる事あるの?」 「それです。麗海(かのじょ)はね、貴女と俺の仲を完全に壊そうってまでは望んでない感じもするのね・・」
宥海「そうか。・・て事は、貴方とあたしが繋がれ結ばれるのは好いけど、そうなるまでに もう少し困らせようかってレベルの考えかしらね?」 黒木「断定はできないけど・・」と返しながら、宥海の「女」の中にセット中の 礼儀を保った竿を一度抜き離そうとして・・やめた。
「ダメよ、恆(ひさし)さん。体位替え(チェンジ)までは、繋いだままでいて欲しいの」 黒木「あぁ了解。俺もね、一度外そかなぁ・・なんて思いながら見てみて やめた方が良いと思ったの」 「そうでしょう。後ろから、もう一度動いて欲しいわ」 「OK,OK。一度深呼吸したら再開ですよ。でね・・」 「うん・・」 「麗海(かのじょ)はね、存(タツ)から盗った分と一緒に カネは近く必ず返すって言ってるから、それは赦してやってくれませんか?」
宥海「あたしは良いわ。被害者は貴方と存(たつる)さんよ。そういうお話なら、信じます」 黒木「有難と。続きがあるけど、そうだね・・それは昇った後にしようかな。うっ、うっ・・」 「あっ、はぁっ!そう、それが良いわよ。あっ、あっ・・!」女の背後に繋がれた、男の腰が再始動。喘ぎの合図で行為が再開された。
再び屈曲の大きい正常位に戻り、ほぼ二人同時の「登頂」が果たされると、暫し下方を繋いだまま、宥海と黒木は 又話し始めた。宥海の方頬を摩(さす)りながら 黒木が言った。「て事で、麗海さんの大体の気持ちって言うか つもりは掴んだつもりだけど、後はそれがいつまで続くかって事でして・・」
聞いた宥海は「そうか。いつかは止(や)むだろうけど、余り長引くのも良い事じゃないわね。特に貴方はそうでしょう」 黒木「まぁ、そうだね。半分は不注意だった俺も悪いんだけど、そう・・余り長引かせない様に、近く上手く区切りをつけないとっとは思う訳ですよ」 「あぁ分かる。で、これから又深いお話になりそうだから、下半身を離した方が良いんじゃなくって?」 「あぁ、それもご免。まだ繋がってる所だったな。でもゆっくり離すから、ちょっと待っててね・・」
一旦会話を区切ると、黒木は宥海に重なっていた上体を起こし、秘溝に繋いでいた竿を抜き離しにかかったのだが、その時又も 腰を宥海の両脚に捉えられ、動けなくなった。更に上体にも彼女の両腕が回され「分離」は困難になった。「やっぱりダメよ」彼女は言った。もう一度、一緒に高まって昇って欲しいわ・・」
「ハハ、ちと自信がないな。でも・・」仕掛けられた黒木は、こう呟いた。「つまり、繋がったままもう一度昇るって訳ね。これを言ったら怒られるかもだが・・」 宥海「良いよ、言ったって。今夜は怒らないから、続けて・・」 「はい、それはね・・『抜かずの二発』って事」 「ハハ、二発か。あたしね、TV局で準備(スタンバイ)中に、隣室で男の局員(スタッフ)達が そんな話をしてるの、聞いた事があるわ」
黒木「そうですか。ああいうとこって、各部屋の防音が行き届いてるかなっとも思ったんだけど、そうでもない訳ね?」 宥海「まぁ、部局(セクション)によって差があるかもだけど、その時あたしが使った部屋は そんな風だったの。その部屋の男達って、結構盛り上がってた記憶があるわね」 「ハハ、そうか。するってぇと、会話も結構通った訳ね?」 「そうそう。籠(こも)った低めの声だけど、話の内容も結構分かってね。『抜かずの三発』とかさ・・」 「わッ ハハハッ!そりゃ露骨だな。隣を女性が使ってるって、分かってなかったんだな?」 「そう。まず気が付いてなかったんじゃないかな?」
「じゃあ、ご希望に沿ってもう一度。ん、うう・・」 「お願いね。あぁ・・い、好いわぁ・・」明らかに射精の覚えがあるも、宥海と黒木は 繋いだ下方を抜き離す事なくもう一度高まり始めた。腰は強めの上下動。少しでも弱めると「ダメッ、ダメッ!」と、宥海が下から両の美脚を腰に組付け、強い力で締めあげて来るので 動かぬ訳には行かないのだ。「恆さん、分かってるでしょ?」組み敷かれ、喘ぎながらも宥海は言葉を継いで来る。「ただ動くだけじゃダメ。お竿を あたしの肉壁や粘膜に同化させるの。そしてあたしの『感触』を、お竿に覚えさせるのよ。この感触は、一生よ・・!」
黒木「あぁ、了解!誓いますよぉ、勿論!」 一度は昇った身だったが、女にここまで「拘束」されると、流石に回復も早かった。宥海の上体を抱きすくめ、適度の接吻(キス)や口唇愛撫(ペッティング)を交えながら「これは又、イケそうだ・・」先刻よりゆっくりした昂りは、再び黒木に自信をもたらそうとしていた。そして・・
「あっ、あっ、昇るゥ~!」 「うっ、ふうっ!お、俺も~ッ!」日付を跨ぎ、初めより少し時間をかけて 二人は又「登頂」を果たした。「ふぅッ・・二度目になると、大満足だね・・」臥したままの宥海、下から優れた笑顔。黒木「ホント、幸せだなぁ・・」そう返し、父や伯父から聞いた 歌手・加山雄三の、鼻の下を指でなぞる仕草をして見せた。「これ、古い冗談ね・・」
宥海「ふふ、昔あったらしいね。あたしも 両親から聞いた事があるわ。貴方が実行したのも、何かの因縁かしらね?」 「有難と、そうかもね。良い気分だから、ゆっくり離れた方が良い・・かな?」 「そうそう・・あたしも好い余韻だから、もう少し上にいてね」 「了解です・・」➡ 「登頂」から小半時、二人はそのまま繋がっていた。
「さてと・・」少しおいて、黒木が呟いた。「今夜中に話しといた方が良い事もあるし・・」 宥海「何となく、そうかなって思ったわ。でも・・」 「はい・・」 「その前に『儀式』があるでしょ?」 「・・ですね」短く返すと、黒木は「今度こそ」上体を起こし、長く秘溝に「接続」していた竿を 慎重に抜き離した。秘液を纏い、まだ礼儀を守っている。
二度に亘る発射の男精量は、流石(さすが)に多めだった。「分かるでしょ?」宥海の促しに応じ、口舌で掬い取っては 宥海の口内に流し込む。彼女も麗海も、この「口移し」を異常に好んだ。 数回に亘る「儀式」を経て、黒木は宥海の「上下の口」をウェット・ティシュで拭き清めてやった。
「さぁ、シャワー前に・・」 締めの冷茶を振舞いながら、黒木が言った。宥海は長手ソファ上で、相変わらず M字に脚を開き、先程まで男精にまみれていた 露わな股間を見せつけている。「まぁ良い。これも余韻の内だ」一方でそう思いながら、黒木は宥海と対面で座った。彼も又 竿をアンダーに収める事なく 露出していた。わざと見せ合っているのだ。
黒木は続けた。「さっきの話、いつまでも引きずってる訳にも行かんしね。近い内に一応でもケリをつけようと思うんだ」 宥海「その考えは良いわ。そうすりゃ、あたしの気分も安定するしね」 「その通り!しかし その為に、ちと実行せんといかん事があるって事ですよ」 「なる程ね、それで?」 「その事ぞ。貴女には ちと抵抗があるかもだが、聞いてくれますかな?」こう切り出すと、できるだけ話を短めにしよう・・と黒木は思った。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の壁紙 雨の JR東海道線・枇杷島駅の模様をもう一枚。愛知県清須市付近 2018=H30,11 撮影 筆者
今回の「音」リンク 「パープル・レイン(Purple Rain)」 by Prince (下記タイトル。故人・ご冥福をお祈り致します)
Purple Rain