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轍(わだち)~それから 第12話「記憶」

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7月16日の土曜。佐分利学院の中等科生 健(たける)の元恩師 伊野初美(いの・はつみ)と、伯父たる中条 新(なかじょう・しん)の、熱い逢瀬も二限目に入っていた。民放TVの報道番組をチェックしながらの、ソファにての睦みが続く。

「新さん」手指を絡ませながら、バス・ローブを纏う初美が言った。「今のキス、良かったわ。もう一度くれるかしら?」 「OK。もう少し熱くて濃いのが好いかな?」下着上下の中条はこう返し、初美の背後に腕を回して、舌も使った先程より濃い口づけを、数十秒に亘って致す。

「ああ、これも好い。今夜は、この前みたいなエッチな出方はなしよ。もう少し、本気で愛し合いたいの」 「好いでしょう。ただね、一つだけ試したい事があるんだけど、よろしいか?」 「はい、何かしら?」 「それはね・・」中条は、一寸ソファを離れると、ノート・パソコンの乗った机の引き出しを開け、初美も見覚えのある、字筆を持ち出して来た。「それは・・」

女は、その筆に見覚えがあった。それは前年の夏の、G県下 中山荘(ちゅうざんそう)での特別林間学級の折、教え子の健が、穂先の劣化を理由に、彼女に提出したものだった。情熱の「夜の補習」の折、彼の師だった女は、教え子たちに、その使い方を教えた。筆を使った、女の胸や下方への早過ぎる愛撫の事共をだ。そして、彼女自身も、新しい歓びを、まだ小6だった二少年によって開発され、もたらされたのである。

「ああ・・」女は、喘ぐ様な声を上げる。「あの時の感触が、昨日の様に蘇るわ。新さん、同じ事をしようと思ってるんでしょ。正直に仰い」 「ああ、ほぼ同じと思ってもらって好いでしょうな。まあ、分ってくれてると思うし、スケベも承知やけど、俺は絶対、粗っぽい出方はせんよ」 「うんうん。それはあたしも分ってるわよ。さあ、そろそろベッドへ移ろうかしら」二人、言葉を交わしてベッドに臥す。

中条「初ちゃん。この前の続きから行こうや。初め、俺の上から仕掛けてくれんかな?」 初美「それは嫌よ。まず、新さんがあたしに重なって、上からキスをくれなきゃ」 「アハハ、そうか。じゃ、まずそれで行こうか」中条、こう言うと、仰向けの初美に重なり、先程と同じ、舌も使った濃い口づけを致す。初美の香料、某メーカー★番が、香しく漂い、中条をも酔わす。

上下を入れ替わり、臥した中条の上から、初美が愛撫を加えて行く。男の弱みは、小ぶりな乳輪周りと脇腹だ。女も、もう分っていて、強い刺激が長く続く様、舌と唇で乳輪を、手指で脇腹を細かくさすって行く。「ああ・・、んんん・・、か・・感じるぅ」波の様な刺激に見舞われ、中条は心穏やかではなくなって行く。「ふふ、これだけで行けそうね。試そうかしら・・」初美、些か薄気味悪い、美しい笑みを浮かべ、舌と手指を動かして行く。

「初ちゃん」中条、声かけ。「はい、何かしら?」 「そろそろ、後ろ向いてくれんかな?」 「好いけど、この前は貴方が下だったでしょ。受け身ばかりで狡いわよ。今度は、あたしを下にして。それならいいわよ」 初美、こう応じ。「仕方がねえ。じゃ、それで行くか」再び、初美が仰向けに臥して脚を曲げ、所謂「69」の要領で、中条が後ろを向いて重なる。四十八手中の「椋鳥(むくどり)」と呼ばれる姿態(ポーズ)だ。

互いに、下方のショーツとトランクスを脱がせ、それぞれの「自身」に、舌と指を使い愛撫を加える。中条は、初美の秘花と下草に口唇愛撫(クンニリングス)を施しながら、菊花(肛門)を、筆を使って刺激して行く。「ああ・・、うぅぅ、好い、好いわぁ・・」初美、喘ぎ反応す。前年の夏の、あの「夜の補習」の興奮が、女に再びもたらされる一時であった。

引き続き、筆先で、菊花の襞をなぞる様にさすって行く。中条の「自身」も咥え込まれ、陰嚢にはなよやかな手指が取りついて蠢(うごめ)く。「うう・・、好い動き・・感じるぅ・・」彼も呻く様に応える。臀丘への愛撫も交え、暫しの間「椋鳥」の姿態で、高め合って行く。次いで男は女に、彼の顔上に跨る様求める。応じる初美。中条の顔面に跨る「顔面騎乗」、四十八手中の「石清水(いわしみず)」と呼ばれる姿態で、女の秘花を高め、喘ぎを引き出す。下から両の手を伸ばし、乳房をも一通り愛で。急上昇する、秘花の温度と湿度。

「新さん」初美が声かけ。「はい、何だろう?」 「パス・ローブを脱ぐわ。今夜は、生まれたままに近い姿でしたいの。その代り、貴方の好きな物を着けてるから」バス・ローブの下には、黒のガーター・ベルトと柄のある黒ストッキングが控える。恐らくは、初めて見る下着だろう。「好いねぇ・・」男も、思わず頷く。

「さあ、もう一度だけ、高めるわよ。新さん、仰向けになったげる」中条、これを受け、臥した初美の脚を開き、筆を使った下方への愛撫を続ける。「蟻の門渡り」と言われる、秘花と菊花の間をメインに走らせて行く。「うう・・、んんん・・、好いわ。続けて・・」教え子たちに開発された歓びに再び見舞われ、初美は長いブルネットを揺らし、喘ぎながら蠢き続ける。

「さあ新さん、そろそろよ」初美、再び中条に重なる様促す。「OK。今日は、ゴムはなしかな?」 「風情のない事を訊かないの!あたしは今、安全期よ」 「分った。その言葉を信じよう」中条はこう返し、曲げ開かれた女の下方に腰を沈め、ゆっくりと「彼自身」を秘花に繋いで行く。

「うう・・、はぁぁ・・、好い、好いわぁ・・!」喘ぎと、攻め寄せる肉壁の感触と共に、連結。ゴムなしの、直に繋がる歓びを感じつつ、男の背と腰には、女の腕と脚がいつも通り絡みつけられ、強い力で、動きを求められる。男は応じ、昂ぶりを制しながら、慎重でゆっくりした「スロー・ピストン」で徐々に高めて行く。

「んん・・、うぁぁ・・、新さん」初美、喘ぎ声かけ。 「はい、何かな?」 「貴方は狡いわよ。わざとゆっくりしてるんでしょう」 「ご免ご免。そう感じたかな?でも、悪気はなしよ」 「まあ好いわ。どう?直に繋がる歓びは」 「ああ、勿論素晴らしいよ。叶えば、このまま、いつまでも一つでいたいな」 「ふふ、『できるだけ長く』ならできるかもよ」 「ああ、そうなる様にせんと・・」男と女は、上と下でこう会話しながら、行為を進めて行く。

「初ちゃん」中条が声かけ。「はい、何?」 「ちょっと、体位を変えよう。勿論、貴女好みの、向き合う姿態(ポーズ)だからね」 「ええ、それなら」請ける中条、ベッド上に起き上がり、初美が上に跨る。向き合って、腰を沈め、座位で再びゆっくり連結。これは、四十八手中の「獅子舞」だ。男が、下から仕掛ける様に下方を動かし、女も腰を上下動させて合わせる。「中々好いわ。見つめ合えるのもね」初美は、素直にそう反応する。

暫くして中条。「悪いね。一度だけ後ろからしちゃダメか?」 「仕様がないわね」初美、これに応じてベッド上に四足で陣取り、中条が後ろに控え、その秘花に「彼自身」を返す。「うぁぁ・・、んん・・、これも好い!」中条、これを確かめ前後動に入る。「鵯(ひよどり)越え」と呼ばれる後背位である。十分程動いた後「新さん」初美が呼ぶ。「はい、何?」 「やっぱりね、顔を見ながら高まりたいわ」

「好いでしょう」もう、最後の高まりだ。中条、初美の望みを容れ、その上に重なる。この日、何度目だろうか。「彼自身」が秘花に返される。再び、男の背後に腕と脚を絡み付ける女。この夜最高の喘ぎと吐息での高め合いを経て、男と女は頂へと行き着く。
「ああ、ああ、好い・・好いわぁ!」 「うんうん、そうだね。良かったね」 「暫く、このままでいて。すぐ離れちゃダメよ」 「うんうん。逃げやせん。安心おし」上と下で、歓喜の余韻に浸る。ゴムなしの、直の繋がりだけに、一入(ひとしお)だ。

暫く後「離れていいわ」 「そうしよう」中条、応じて「彼自身」を、繋いでいた初美の秘花から静かに離す。胴軸は秘液で濡れそぼり、男の下草まで湿らせていた。やがて秘花から、中に熱く放たれた男精が、ゆっくりと流れ現れ。気付いた初美「分ってるでしょう。貴方の口で掬ってもあたしに頂戴」 「信じられん。でも、まあいい」中条は、求め通りに秘花に唇と舌をあてがうと、男精を掬って、初美に口移しして行く。全てを流し込み、口づけを交わして終了だ。「ああ、このキスが好いのよ」初美、呟く。

「貴女に、こんな趣味があるとはなぁ」中条、驚愕しながらも、笑って許す。「さあ、シャワー行こうか」 「ええ、今度も一緒よ」
二人、又同時にシャワーを使い、並んで就寝。今夜も、好い夢が見られれば良いが・・。

翌7月17日の日曜。この朝も曇り。夢の余韻に浸っていたかった二人だが、突如打ち消される。理由はそう、向い家屋上に現れた「あいつ」だ。
日曜朝は、中条の居所辺りも、犬連れの散歩者が多い。その内の「一人と一匹」が、件の屋上から、放屁の様な「Kuso犬」咆哮の標的となったのである。「あ~あ、情緒も何もねぇな」中条、嘆く様に呟く。「お早う、聞こえたか?」 「ああ お早う。随分けたたましい犬ね」初美も応じる。

中条、床を出て「本当にまあ、夢も希望も何もねえ奴っちゃ。おいKuso犬、静まれや!何曜日か分ってるのか?」 「新さん、今、何て言ったの?」 「ご免、何でもねえよ」笑顔でごまかす中条であった。「いやはや、それにしても、淑女に拙いものを見られてしまったわ」

まあしかし、初美の、以下の言葉が彼を救ってくれたのも事実だ。「今日は、ここで朝食にしましょう」こう言うと、冷蔵庫にあった卵を茹でにかかった。「好いでしょう」中条も応じ、コーヒーを入れに。香しい空気と共に、手作りの朝食準備が進む。
(つづく 本稿はフィクションであります)。

今回の人物壁紙 明日香キララ
松岡直也さんの今回楽曲「イヴニング・タイド(Evening Tide)」下記タイトルです。
Evening Tide

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