2ntブログ

記事一覧

轍(わだち)~それから 第13話「夜話」

av-31753.jpg
7月22日の金曜。日中は雨模様も、夕方からは上がり、曇り空に。前週の16日 土曜と似た空模様だ。
「健(たける)、お前も来るか?」白鳥家の夕食が終わり、食卓を共にした、伯父の中条から声かかる。この夜、健の親友 箕輪 徹(みのわ・とおる)がここを訪れて、共に食事。これから中条の居所で、その話を聞く事になっているのだ。「そうだね、俺も行きたいな。その方が好い」

十分程後、健の支度が終わるのを待って、三人は、中条の愛車 ニッサン・ウィングロードに乗り込み、彼の居所へ。「今夜は、徹が前に乗ってくれ」促されるままに、彼は前席、健が後席に座る。

到着は、午後8時過ぎ。二少年にはジンジャー・エールとミニチョコなどの菓子盛り合わせが振る舞われ、中条自身は、ウィスキー「ティーチャーズ」の水割りを嗜む。「悪いな、俺だけ酒だが。毎度だけど、まあ飲んだりしながら話そうや」 「ああ、伯父さん、お構いなく。お酒飲んでいいですよ」トレーナー上下姿で、ソファに収まる三人。菓子と飲み物が載るミニ・テーブルを囲んでの会話が始まった。

徹が切り出す。「この前の海の日(7/18)、健と(豊野)豊さんに会ったんですが、その時、気になる話が出たんです。(佐分利)学院の養護科の(本荘)小町先生が、俺と一度会いたいって話をされてるそうなんです。で、去年みたいな事があると、もう今は困るんで、一度伯父さんと相談させて頂きたくて、お時間を取って頂いたって事です。伯父さん、今夜は有難うございます」

中条「いやいや、徹君 気にしなくていい。必要な時は、俺はいつでも相談に乗るからな。今夜は、その時の事を知ってるから、健も来させたんだが、それは良かったかな?」 徹「勿論OKですよ。健にも知っておいて欲しいですから。この事は」

16日 土曜の夕方、学院の養護主任 小町との秘密教科を終えた豊は、師から「近く、一度箕輪君とも会いたいの。君から連絡しておいてくれないかしら」と頼まれたのである。これは、小町から直に徹宛てでは、前年夏の出来事もあるので、彼に警戒心を抱かれるのを避ける為でもあったらしいのだが。
これを受け、豊は徹に、小町の希望を伝えたのだが、彼は直ちに先輩への返信をせず、日数を猶予してもらっていた。その回答期限が、翌23日 土曜だったのである。

徹は続ける。「それで、豊さんも俺たちも、来月の盆前までは、強化学級でここを離れますから、盆より後にして欲しいって返事をしようと思うんです。本当は、小町先生とも、もう深い付き合いはしたくないんですけどね」 「なる程な。徹君としては、まだ小町先生に、会っても良いとか、いつが好いとかまでは、一切答えてないって事だな」 「そうですね。お言葉通りです」

「それじゃだな」中条は言った。「豊君は、小町先生宛ての窓口になってくれてる訳だ。お前たちも彼も、明後日からは強化学級に入る。だから、その学級が終わってから、又返事するってのが最善だろうな。明日、彼に一度、そう返事をしてみろよ」
「そうですね。それが一番いいんでしょうか」 「まあな。君の話を聞いてると、豊君は、小町先生と何かあった様な感じだな。健はどう思う?」

健「・・ですね。俺も何となくそう思うよ。ふと思ったんだけど、やっぱり、去年の特別林間学級の時の事が、少しある様な気がするのね」こう言って、前週の末 中条の所へ来た元講師 初美が語った通りの言葉を繰り返した。彼女の出入りは、彼たちにはまだ明かせない事だが。
中条「そうか。お前もそう思う訳ね。ただ、この事は、まだ豊君に明かせんのは分ってるな」 「はい、それは分っております」二少年は、淀みなく答えた。

中条「よし!徹君、面倒かもだが、豊君には、強化学級が終わってから改めて返事すると言う様に。小町先生からどう思われようと、気にせん事だよ。健にも言うが、今のお前たちに一番大事なのは、強化学級を無事に終わらせる事だろう。お前たちの高校受験なんて、すぐに来る。余分な事に気を取られていちゃ拙いよな。だから、その辺の事は強く言っていい。
豊君は、以前いじめの経験があるとかだが、それも恐れる必要はなかろう。何かあれば、俺や健の親父が動くからな。君の親御には、暫く内緒の方が好いだろうが」

徹「はい、有難うございます。これ、ちょっと勇気が要りますよね」 「そうだな。だけど、そうしたやり取りは好い経験だから、逃げるなよ。そう言う事に取り組んでこなす事が、人を成長させる訳よ。・・て俺、余り大口利けねえけどな。なあ健」中条、苦笑す。
「まあ、そんなだよね。伯父さん、父さんはとも角、母さんからは結構言われてるし」健も、苦笑しながら応じ。
徹「ハハ、どこのお家も似てますね。俺んちも、母さんの方が強そうです」 「おお、君んちもか!」三人揃っての苦笑になった。

中条「さてと、遅くなってもいかんから、二人はシャワー行って来いよ。寝床は、俺のベッドを使って良い。野郎同士でダブルは嫌か?」 健「いやいや、俺たちは抵抗ないけど、どこで寝るの?」 徹も心配して「伯父さん、大丈夫ですか?」

「いや何、俺は長いソファに、補助椅子を噛ませば代用ベッドになるから、そこで寝られる。夜中にTVを横になって見ながら、気がつきゃ朝って事が、ままあってな」中条、こう応じると、すかさず健が「伯父さん、TVだけじゃないよね!」笑いながら、茶々を入れる。

中条「何やお前?俺が何か良からぬ画像でも見てるってのか?言ってみ!」糾すと、健は「人呼んで、AV~・・!」笑って言う。
中条「こらこら、親友とは言っても、暴露するつもりか?」 「いや~、事実だから仕方がないでしょう」健、こう応じ。
さすがに、徹も笑い出した。「見ちゃいけないだろうから、想像するだけですがね」 「いや徹、希望を捨てるな。後一押しで、見られるかも知れんぞ」健、又も笑いながら一言。

中条、これを聞いて「仕様がねぇなあ。じゃ、一本だけだぞ。用意しとくから、シャワー行って来いよ」 「はい、有難うございます。すぐ行って来ます!」二少年、喜び勇んで浴室へ。見送る中条。「いやはや・・スケベの子はスケベ・・か」用意の後、彼も入れ替わりに浴室へ。

三人で「それじゃ何かい。豊さん、めでたく童貞卒業ってか?」 「いやいや、そりゃまだ想像だから、伏せとけよ」 「ああ、分りやした」などと面白おかしく語ったりしながら、看護師のコスプレ・ヒロインが病院で濡れ場を繰り広げるストーリーをチェックしたりした後「お休み!」「お疲れ様でした!」日付が変わる寸前に、就寝。まあ、少年たち同士と伯父も、それぞれに「秘密」があるのだから、大声では語れない所あるも事実。
さて、変な夢を見なければ良いが。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 水谷心音
松岡直也さんの今回楽曲「メイプル・ウィンド(Maple Wind)」下記タイトルです。
Maple Wind

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hakase32

Author:hakase32
愛知県在住の後半生男です。恐れながら、主に18歳以上限定内容を記して参ります。

お手数ですが、拙各稿を初めからお読み下さる場合は、下方にあります月間アーカイブ他のご利用をお願い致します。
他ブログを含め、拙記事の無断転用及び引用は ご遠慮下さい。

下記ランキングに参加しております。
クリックをお願いできれば幸いです。

官能小説ランキング

アクセスカウンター

愛と官能の美学

Shyrockさんの R18読み物集。他の作者各位も多数リンクされています。入口は、下記タイトルです。

赤星直也のエロ小説

赤星直也さんの R18読み物集。入口は、下記タイトルです。

未知の星

赤星直也さんの R18読み物集もう一つ。他の各位の作品も収録されます。

Mikiko's Room

Mikikoさんの、カテゴリー豊富な R18読み物集。独自視点の旅日記も好感です。

Adult Novels Search

R18 読み物の検索サイトです。

ブロとも一覧

拙バナーです

知人様より、優れたバナーを賜りました。必要時はご利用を Produced by Shyrock

もう一つの 拙バナーです

知人様ご厚意により、拙バナー追加編も賜りました。必要時はご利用を。 Produced by Shyrock

清き一票を(笑)

下記ランキングに参加しております。

日本ブログ村バナー


にほんブログ村 →できますれば、こちらも応援を・・

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

月別アーカイブ

これまでの拙連載「想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密(2016=H28,9~10)」と「轍(わだち)~それから(2016=H28,11~2017=H29,2)」  「母娘(ははこ)御膳(2017=H29,3~6)」  「南へ・・(2017=H29,6~8)」 「交感旅情(2017=H29,9~12)」 「パノラマカーと変な犬(2018=H30,1~5)」  「ちょっと入淫(2018=H30,6~10)」 「情事の時刻表(2018=H30,11~2019=R1,6)」 「レディオ・アンカーの幻影(2019=R1,11~2020=R2,5)」 「この雨は こんな風に聴こえる(2020=R2,6~2021=R3,3)」も お読み頂けます。