轍(わだち)~それから 第10話「艶習」
- 2016/12/10
- 20:08
「ねえ、豊(ゆたか)。一度、上と下で入れ替わろうか」 「いいんですか?でも、それも面白そうですね。俺は歓迎です」こんな会話と共に、総合予備校 佐分利(さぶり)学院の高層校舎上階にある、土曜日午後の養護室には、再びの熱く妖しい空気が漂い始めていた。奥の部屋の広いベッドで、熱い口づけを合図に始まった、養護教諭 本荘小町(ほんじょう・こまち)と高等科生 豊野 豊の、大声では言えない秘密の教科は、これで二限目と...
轍(わだち)~それから 第9話「伝言」
- 2016/12/08
- 15:41
7月、梅雨空が続く時季。それでも、時折の晴れ間や曇り空の日もあり、総合予備校 佐分利学院に通う学生・生徒たちは、学校と学院の勉強や、合間を縫っての部活、それに町内の草サッカー・クラブ活動などをどうにかこなしていた。そんな中の11日月曜、学院の教科を終えた三少年、中等科の箕輪 徹(みのわ・とおる)と白鳥 健(しらとり・たける)に、高等科の豊野 豊(とよの・ゆたか)が、学院一階のロビーに集まる。豊が言った。「...
轍(わだち)~それから 第8話「雨情」
- 2016/12/06
- 12:16
熱く妖しい微風が、今度は中条 新(なかじょう・しん)の居所に吹き始めた様だ。甥の元恩師 伊野初美(いの・はつみ)と過ごす、初めての夜。既に多くを語っての前戯を経て、お互いの気持ちは、上限近くまで昂(たかぶ)って来ている。初美を上に跨がせ、その下方を愛撫していた中条。再び体位を入れ替える直前、途中までその脚に残ったTバック・ショーツを脱がし、己の頭に被る。「一言、言っていいかしら?」女の言葉。「痴れ者!」...
轍(わだち)~それから 第7話「儀式」
- 2016/12/04
- 19:41
「これは・・」風呂から戻った中条を待ち受けていたもの・・。それは前年の夏、佐分利学院の特別林間学級最後の日に目の当たりにした、あの光景と同じものだった。「今晩は。『あの時』へようこそ・・」減光され、薄暗くなったリヴィングには、彼の甥 健(たける)やその親友 徹が憧れた「大人の妖精」が降臨していた。全てが純白の、ミニ・コスチュームに装いを変えた、初美の艶姿である。「ふふ、その時の貴方の反応、薄々感じて...
轍(わだち)~それから 第6話「逢瀬」
- 2016/12/02
- 15:22
(佐分利)学院の養護室で、秘密の濡れ場が演じられた同じ6月4日の土曜は、梅雨入りが近い事を思わせる、雲の間から時折晴れ間の空模様だった。中条 新(なかじょう・しん)は、いつも通り、午前6時半前に、例の事が原因で目を覚ます。「あ~あ、今朝もおっ始まったわ・・」居室のほぼ向かい、鉄筋四階建て某商家の屋上で、例の飼い犬が、他の犬を連れ散歩中の通行人を見つけ、過剰反応気味に吠えたてているのだ。「・・たく、口から...