南へ・・ 第16話「質疑」
- 2017/07/22
- 21:44
「周(あまね)さん・・」星空の下、もうすぐ寝静まろうとしている、夜の漁村の片隅で、彼とその女友達 宙(そら)との、LINEでのやり取りが続く。宙「そうかなあ。豊(ゆたか)君と貴方が、美波(みなみ)先生に会ったとなると、ただの挨拶じゃ済まない気がするんだけどなあ・・」 周「そうか、そう感じるか。俺としちゃ、マジでただの挨拶のつもりだったんだが」 宙「・・けど、夕べの会食には、美波先生もいらしたんでしょ。そうなると、ちょっとねぇ・・」宙の文言は、徐々にだが追及の口調になって行く。
周「宙ちゃん、ちょっと悪かった。そりゃ、少しは『あっち系』の教えがあるにはあったんだけどな・・」 宙「・・でしょう、やっぱり。美波先生はお医者様を目指してる事もあるからさ。そんな『今日は!』程度じゃ済む訳ないと思ったわよ」 周「ああ、悪い悪い。そこんとこは謝る。怒ってるか?」 宙「ふふ・・少しだけね。まあ、貴方とあたしの間柄も、姉が乱入して来そうだから、大きな事は言えないわ。でも、あくまで『授業』て所は、外さないでね」 「ああ、約束する。心配はさせないよ」 「分った。詳しい事は、今度会ったときに訊くから。まあ、つもりはしておいて欲しいわ」 「いいでしょう。それより、後一日、心残りない様、京都を見て周って来いよ」 「有難う。貴方の報告、楽しみにしてるわ」 「OK。楽しんで聞ける様にしてやるよ」 「それじゃ、又!」 「ああ、気をつけて!」交信終了。
豊、笑いながら「阿久比さん、余りいいタイミングじゃなかったみたいですね」と言えば、周「心配有難う。いやまあ、何とかかわしといたから、気にするな。それより・・」 「はい・・」 「美波さん、今夜は離れにお出まし・・かな?」 「ああ、どうでしょう。ただね・・」 「うん、何かな?」 「俺の親や親類たちと、明らかに酒飲まれてましたから、今夜 ウチ泊まりは間違いないでしょうね」 「なる程。そうすると、泊まる場所が母屋か離れかって違いだな」 「そうですね。ですが最低でも、俺たちんとこへ雑談位はしに来られる・・かな?」
そう言った豊の、舌の根も乾かぬ内に、若者たちの部屋の外で「二人、起きてる?」の優れた声。「ああ、美波さん、起きてますよ。どうぞ!」周、豊、どちらからともなく、こう返し。引き戸が開かれ、手提げバッグを携えた、美波の麗姿が現れ。何と、この夜は白衣姿、ナース・キャップまで頂いている念の入れ様だ。
「ふふ、今晩は。今夜は、一種の往診に来たのよ」微笑みながら「未来の女医」が語りかける。「ああ、これは・・お世話になります」若者たち、こう返し。「どう、変わりないかしら?」 周「はい、お蔭様で、上も下も一応大丈夫そうですが。まあ、顔と頭以外はね」 それを聞いた豊「阿久比さん、『頭』は余分ですよ。もし、おかしかったら、難関のA大学に通る訳がありません。まあ『顔』はお互い様ですから、右に同じですがね」 周、苦笑して「そうか、そりゃ悪い。そいじゃ『頭』はない事にするか」 「了としましょう。・・で、今夜診て頂くとこは・・と」豊がこう返すと・・
美波「ふふ、今夜はね、君たちの感度が見たいのよ」 「はあ、感度ですか?」若者二人は、直ぐには合点が行かない様だ。彼女は続ける。「つまりね、あたしが君たちの身体を撫でたりとか刺激して、どの位感じるかが見たいのよ」 周「ふんん、何となく分って来ました。俺、余り摩(さす)られたりすると、感じちゃい易いんですよ」 「それ、どの辺りかしら?」 「そうですね~、ま、上半身が多い・・かな。腋(わき)とか脇腹・・とかかな。下の方だと太腿(ふともも)の裏側とか、股近くの鼠径(そけい)って言うんですか。その辺がよく感じますね」傍らで聞いていた豊も「ああ、それ・・俺も大体同じ風ですよ」と合せる。
「ふふ・・二人、有難う・・」美波、含み笑いでこう言い「実はね、周さん・・」 周「はい・・」 「今夜これから、あたしも訊きたい事があるの。普通にお話しじゃ、答え難い・・でしょ。だから、気持ち良くなる様、マッサージしながら聞いてあげるわ」 「そ・・そうですか。でも俺、上手くお答えできるかなあ?」 「まあ、やってみなきゃ分らないけど、多分大丈夫、できるでしょ」 「ああ、はい・・そう言う事なら・・」周は、曖昧に応じた。傍らで豊は、黙って様子見をする。
「さあ、じゃ寝床に横たわって・・」 「はい・・」促されて周、そこに臥す。「俺ももう、横になった方がいいですね?」豊が訊くと、美波「うん。勿論、そうして欲しいわ」それを受け、彼も軽く頷いて、周の隣の床に臥す。美波は、二人の間に膝を崩し座った。緩めに纏った白衣の下から、僅かにピンクがかったブラやキャミソール、それに、白ストッキングが認められる。ショーツは・・どんなだろう?
「さあ、周さん・・」 「はい、美波さん・・」 「そろそろ、始めようか・・」 「はい、お願いします・・」これを合図に、美波は周の上に重なり、唇を合せて行く。舌も使った、濃厚なキスだ。数十秒も続けた後、耳たぶを、首筋を、口唇愛撫。その間、両の手指は 周の腋下に滑り込む。「ああ、か・・感じる。うぅぅ・・」最初の呻きが上がる。「み・・美波さん、ゆ・・ゆっくり、お・・お願いしますぅ!お・・俺は・・俺は・・ほ・・ホントに、そ・・そこは、か・・感じ易いんですぅ、うぅぅ・・」 「もう少し、頑張って欲しいわ。豊より、貴方の方が先輩なんだから、こっちの方も、良い見本になって欲しいのよ・・」 「あ・・は、はい!そ・・そう言う事なら、が・・頑張ります!ふ・・ふぅぅ・・」着ていた浴衣の上方を大胆にはだかれ、脇腹から上体全部を撫で摩られる周 もう「呻く」から「喘ぐ」レベルの、声の上げ方であった。
「さて、周さん・・」 「はい・・」 「熱くなったとこで、ちょっと待っててくれるかしら?今度は少し、豊を昂(たかぶ)らせようと思うの」 「ふふ・・それ、面白いですね。こいつの反応がどうなるか?俺も楽しみだ・・」 聞いた豊「嫌だなあ阿久比さん、俺の呻きとか、お聞きになりたいんですか?」 周「ああ、いやいや・・どうしてもって訳じゃないよ。しかしなあ豊!」 「はい!」 「気持ち良くなりゃ、自然と声が出る。そうじゃないか?」 「ああ・・そうなるかな。まあ、仕方ないですね」豊、苦笑し諦めた様に返す。そして、観念した様に「美波さん、宜しくお願いします!」
これを聞き、美波は頷いて、今度は豊に重なり、周と同様に、唇を交わし。それから、先に顎下に口唇で仕掛ける。ここが、豊の上体で一番感じ易い所なのだ。次いで耳たぶや首筋へと進む。両手指の方は、脇腹をメインに刺激して行く。「ああっ、ふっ!ふっ!か・・感じるぅ!」摩られた彼は、周以上に鋭く反応す。
「流石(さすが)だなあ。漁師の倅(せがれ)は・・」見ていた周、こう呟(つぶや)く。美波は、思い出の患者、そしてある意味「教え子」に、一種独特の愛情込めた、濃厚な愛撫を施して行く。口唇や手指が、敏感箇所に届く度(たび)、豊は「うっ!うっ!」と、小刻みに身体を震わせ、短い呻きで応える。周と合せ、小一時間、この甘美なマッサージが続いた。
「さあ、周さんに豊君・・」美波は続ける。「あたしばっかり触ってても何だから、そろそろ貴方たちの期待にも応えようかしらね。まず、こっちからね。ああ、豊君、ちょっと応援してくれる?」 「はい、いいですよ」熱くなり始めた豊が応じ、美波の白衣の胸元を開いて行く。「ブラ、ずらしていいですか?」 「ふふ・・どうしようかしらね」美波はこう言い、若者二人に向け「その前に、あたしからも訊きたい事があるんだけど・・」
周「はい、何でしょう?もう、こうなったら、大抵の事はお答えするつもりですよ!」すっかりスケベ心を全開にし、美波に向かってこう返し。「ハハ、あたしの胸やお尻が見られるとなると、途端に元気になるのね。まあいいわ。じゃあ、あたしの質問に答えてね」 「はい、そりゃもう、お答えしますよ~!」二人は、ついそう返してしまった。聞いた美波「じゃ、訊くわよ。今日、七里御浜の方へ行った時、君たちは素敵な出会いをしたでしょう。それも、とびきり綺麗なお姉さんたちとさ」 「うわっ!どうして分るんですか?」飛び上がらんばかりに驚く、周と豊であった。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 雨音レイラ
東京スカ・パラダイス・オーケストラの今回楽曲「サファイアの星(Charaさんとの共演)」下記タイトルです。
サファイアの星