交感旅情 第46話「潮香(ちょうか)」
- 2017/12/07
- 15:26
昂奮の一夜明けた 5/1の月曜。一行六人は、早めに目を覚ます。前夜の交歓が区切られたのは、もう日付の変わる間際。初めの予定通り、木下由香・由紀の姉妹が二人部屋のアッパー・ツイン、中条たちが、四人用に仕上げられた隣接する大部屋のエグゼクティヴで休むも、全員熟睡が叶った様なのは好ましい事だった。洗顔などを経て、6:30amからの、下階での朝食を早めに済ませ、7am少し過ぎには、フロントで荷預かりを頼み、チェック・アウトの上、出かける事に。
中条たち四人が使っていた、JRのフリー切符は二日間有効の為、もうこの日は使えず。よって旅の「足」は、木下姉妹が乗るレンタカー、トヨタ・シエンタが頼りだ。前日と同じ席割。中条の運転で、JR新潟駅南口から、R7を少し南東方向へ進み、新潟亀田ICから、途中まで開通している 日本海東北道に乗り、北方の景勝地「笹川流れ」を目指す。郊外の住宅地と田園を横目に、一時間足らずで、新潟県北部の主要都市 村上。少し大きな 荒川の手前で一般道に降り、川を渡り、少し進んで 日本海沿いを行く R345へと流れる。
この間の車中、やはり前夜の事で 会話が進んだ。切り出しは 初美。「ホント、驚いちゃったわ。宙(そら)ちゃんに、あんな秘密の趣味があったなんて・・」 聞いた宙は「ああ、いやいや・・ちょっと効き過ぎた様で、ご免なさい。余り攻める気はなかったんですけど、何かね、あたし自身や前後の事が分らなくなっちゃって、ああいう事をした訳でして・・」と応じ。
初美「ふふ・・まあいいわ。そんなに夢中になれる事があるって、幸せな事だわ。ついでに、あたしもちょっとだけ気持ち良くなれたしね」 「あ、ホントですか?いやぁ、場所が場所でしたから、事が終わって『お休みなさい!』のご挨拶で休む時、ちょっとだけ『しまったなぁ!』とも思ったんですけど・・」 「ああ、余り気にしなくてもいいわよ。確かにね、初めの内は、ちょっと抵抗があったけど、段々と慣れて行ったとこもあってね。まあ、今は素敵な思い出よ」 「有難うございます。そう言って下さると、嬉しいなぁ・・」これは、前夜と前々夜、行為途中で、宙が、細筆(トレーサー)で 初美の菊花(肛門)に仕掛けた愛撫の事である。
由香、由紀の姉妹も反応する。姉 由香が言った。「宙ちゃん、確かにあのお摩(さす)りは魅力やわ。仕掛けられると、何や気持ち良うなって、あたしも癖になりそうやった。聞いたとこやと『肛門性感』て あるらしくてさ。あの最中『ああ、これかいな?』なんて思うたりしてな・・」これに妹 由紀も「うんうん、何となく分るわ。あたしも、ちょっと 宙ちゃんに、そんなんされたからな。でもやっぱり、深入りは怖いかな?なんて思うたりしてね・・」と、率直に返す。そして「でも宙ちゃん、そんな気にせんでええよ。中々好い感じやったから・・」と笑いかけ。宙は「二人も、有難う。そう思ってくれると、嬉しいわ・・」と応じた。
前席で、それらの会話を聞いていた周(あまね)は「ハハ・・」と軽く笑って言った。「伯父さん。自分たちも、昂奮して好い感じだったですが、宙の『技』のお蔭で、随分救われた様なとこがありそうですね」 聞いた中条「ああ、それは俺も感じてたよ。初ちゃんがさ・・初めの内『宙ちゃん、何するの?」なんて身構えてたけど、一度摩られて 時間が経つと、段々慣れて 好い感じになって行った様だな。まあ、そういう技も、又よしって事じゃねぇか?」 「・・でしょうね。そう思った方が、自分たちにも良いかもですね」会話が区切られると、男二人は 前を向いたまま笑い合った。
そうこうする内に、村上市街の手前までで日本海東北道は途切れ、車は海沿いの国道を、北上して行く。景勝地「笹川流れ」は R345に入って、約30分弱の所だ。雨上がりの曇り空、海は、やや波が高かった。桑川と言う集落の近くに、この後寄る予定の、由香・由紀の父 木下鉄之進(きのした・てつのしん)が社長を務める 会社の保養所がある。「後で、ちょっとの間 休憩させてもらうからな」二階屋の建物を指差し、前を向いたまま、中条が言った。
景勝地 笹川流れは、日本海沿いに、個性ある岩場などの魅力的な海岸が、約 10kmに亘って続く。一番の見所は、保養所のある 桑川の近辺だ。そこから少し北の、今川と言われる集落の辺りに、眼下に JR羽越線を臨む高台がある。国道沿いの公設海水浴場は、まだ時季前につき閉鎖中だが、一部の駐車場が使える様になっていた。8:30am少し前、中条は、その一角に車を停めた。丁度、眼前の公衆トイレも使える。
彼は言った。「皆、ご苦労だった。ここで、半時ばかり、海とかを見て一服したい。俺と周君は、ちょっと列車の撮影をする。淑女の皆さんは、一緒に来てもらってもよし、車に留まってくれてもOKだ」 対する女たち「折角 遠くまで来たんだから、あたしたちも、一緒に見に行くわ」全員同時に、高台へと登る事に。
車の施錠と手ブレーキを確認し、国道からそれて、徒歩で数分程 上りの農道を行くと、見晴しが利く場所がある。眼下を行く JR羽越線と R345も良く見通せ、右手はトンネルとなるのが分った。列車は、下りが 9am頃、貨物が一便、上りは、もう間もなくの貨物と、9am少し過ぎに、各駅停車の旅客便 旧国鉄 40代ディーゼル気動車の列車が通る事になっていた。曇り空で、波も高めだったが、日本海は見通しが利き、沖合には、佐渡と並ぶこの辺りの大きな離島 粟島の麗姿も臨まれた。撮影準備に集中する男二人とは対照的に、女四人は、のんびり談笑しながら、ややさざめく 海の光景に見入った。
下り一便、上り二便の JR列車は いずれもほぼ定時で通過、見送った一行は、すぐに折り返し、休憩場所へ。9:30am少し前に到着。由香が合鍵を預かっていて、建物内は、勿論掃除済み。二階の広間が、予定の休憩場所だが、トイレやシャワー室も、勿論使える。ゴミが出た場合だけ持ち帰れば良い事になっていた。休憩は、約一時間だ。村上市の街中に住む、管理人宅に、電話で一報を入れる。
保養所の傍も、見所の岩場が多くある。海を臨む、建物の傍らで、中条は 一同に声をかけた。「ここまで、本当に俺たちは恵まれてるな。俺がまだ小さかった頃、皆が生まれる前の昭和の終り頃、この近くの海岸からも、北鮮に連れ去られた方々が、何人かあるんだ。俺たちは、決してその事を忘れてはいかん!」 「伯父さん、それ、自分も聞きました。確か、中学校の社会科授業の『おまけ』みたいな感じで・・」周が返す。
「あたしも、そんな感じて知ったわ。学校では、はっきりとは教えられなかったみたいでね・・」初美が続き 「あたしたちは、主に TVのニュースとかですね。ホンマ、子供の頃やったけど、確か五人の方たちがお帰りになった時の記憶が、ちょっとありまして・・」宙と姉妹が応じた。
中条が続けた。「そうか、皆 有難と。本当になあ、日本の学校って、最近の歴史を教えねぇんだよな。悪い習慣だよ。あの時はさ、北鮮の工作員連中が、前もって乗り込んでて、連れ去る標的の方たちを、予(あらかじ)めつけ回したりしてたらしいな。五人の方たちがお帰りになったが、まだ事件は解決してねぇぞ。全員が帰れる事を目指さんとな」 「・・ですね。本当に、そうだ・・」美しい海岸を愛でながら、一同は、遥か沖合に向け、黙礼を捧げた。そして・・
「さあ、余り時間もねぇ事だし、暫く二階で休憩しようや。・・で、ここでも少し、やりてぇ事があるんだが・・」中条は、まず 周に言った。「はい、伯父さん。それ、ちょっと覚えがありますね・・」 「・・だろう。それは、由香ちゃんと由紀ちゃんも、覚えのある事だと思うが・・」 「ふふ、伯父様。確か、あの時も、海の傍(そば)でしたわ」由香、こう返す。由紀も「あの時は、ちと不満でしたわね。何やら途中までになった感じで・・でも、今日は好い感じですよ」そして、聞いている初美と宙に向け「今から、周さんと (豊野)豊(とよの・ゆたか)君とした、ちょっと面白い事しよう思いまして・・」笑って声をかける。
「あは、そりゃ面白そうね。じゃあ、早速上がって始めましょうか。余り時間もないしね。で、周君・・」初美が訊く。答える周「はい、それは・・」傍らで聞く宙は「?」の感じで、怪訝そうな顔だ。「この春先、由香さんに由紀ちゃんと、初めて会って、海沿いのネカフェに行った時の事ですね。あの時は・・」 「いいわ。聞いてるから続けて」 「ええ、確か、手指の技だけで交わったって事でして・・」 「ふふ、面白いわね。じゃあ、直ぐ始めましょう。ねぇ 宙ちゃん・・」 「・・ですね。お早目にって事で・・」宙は、笑ってそう応じた。
(つづく 本稿はフィクションであります。
この稿をお借りし、改めて、北鮮による日本人拉致事件被害各位の、確実な生還をお祈り致します)
今回の人物壁紙 市川まさみ
葉加瀬太郎さんの今回楽曲「誕生(西村由紀江さんとの共演)」下記タイトルです。
Tanjou
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