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パノラマカーと変な犬 第32話「察知」

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「ご免なさい、遅くなりまして・・」翌日からの、交流行事の舞台となる A大学の場所と道順を覚えて、由香、由紀の木下姉妹が、身を寄せている中条の居所に戻ったのは 6:30pm過ぎだった。これから買い物とかとなると かなり遅くなるし、かといって 外食をするにしても、この時間帯は 平日といえど どの店も相当な混雑となり易い事は、先程まで一緒だった 周(あまね)のバイト話から、理解できた。

「さて、どうしたものか・・」LINEで、帰りが遅れる事を 中条に伝えた由香は、暫し思案・・を始めた所へ、中条から返信。その中身が・・「丁度良かった。俺、もう少しかかりそうだから、とりあえず飯は炊いといてくれ。それと・・」 由香「はい、伺います」と返す。中条「冷蔵庫に豚のバラ肉があったはずや。それとキャベツや玉葱とかで、回鍋肉(ほいこうろう)ができるんじゃねぇか。万能味噌もあるしさ。今夜は、それで良いんじゃね?」

由香の返信「ああ、さよですね。おおきにです!そうや、回鍋肉なら材料が揃っとる。あたしらでもできるわ!分かりやした。何とかします!」 中条「焦らんで良いから、ボツボツと進めてろ。俺も、落ち着いたら直ぐ戻る」 「はい、了解しました!」交信ここまで。「お姉ちゃん、夕飯の中身決まったかえ?」由紀が訊くと 「おー、お待たせ!あのな、冷蔵庫とかに、回鍋肉の材料一切があるんや。あたしが進めるから、アンタはご飯炊いてくれへん?それと、飲み物の冷やしとお風呂もな」 「ん、分かった。材料あって、良かったなぁ!」 「ああ、ホンマにな・・」

姉妹は、直ぐに手分けして準備に入る。半時余り後の 7pm過ぎには風呂準備ができ、先に済ませておく事に。外から開錠できる様にして、入浴。それが済めば、夕食の仕上げまで後僅か。配膳途中の 8pm頃、中条が戻る。「お疲れ様でした!」 「ああ、ただ今。二人も ご苦労だ」部屋に落ち着いた彼は、姉妹の様子を見て、先にシャワーを浴びに。窓外の斜め向かい家上階には、例の飼い犬「マル」がうついていたはずだが、この夕方は静かであった。例外的にかもだが。アンダーのみに近い姿で、三人は卓を囲む。

卓上には、件の料理と白飯の他、由紀が見つけた中華スープと、つまみのセロリと生チーズ、それに果物少しが上った。備蓄していたヱビス・ビールを冷やして、由紀だけは 同じく冷えたペリエで乾杯。半分程進んだ 8:30pm過ぎ、姉妹が「今日は、お向かいさんの屋上 静かやったね」と言い出し。

 中条が「ほう、何?Kusoマルの奴、騒ぎ立てなんだかね?」と訊けば由香「ええ、彼、見かけはしたけど、散歩の皆さんやワンちゃんたちに、吠えついたりはしなかったみたいね」 「ハハ・・そんな日も有りか。まああの 屁垂れた吠え声じゃあ、圧倒的に迫力不足だが・・」男がこう返すと、三人は、ザワザワという感じで笑い合った。

少しおいて、由香が切り出す。「伯父様、実はね・・」 中条「うん、何かな?」 「今夜はご免なさい、夜の深い事は、やめとこうと思うの」 「ああ、それな。由紀ちゃん共々 まあ無理はすんなや。俺もちょいと、己の欲求を溜めとこうかと思ってたんや。それも 丁度良いな。その事だが・・」と区切った男の脳裏には、恐らくは「日中、何かあったろ。あの事で・・」の想いが強く過(よぎ)っていた。

「あのな・・」中条は続けた。「明日からの行事の、準備会合やったというのは聞いてる。それとな、(佐分利)学院の中じゃ、これまでに色んな事があったのも分かっとる。二人が、それについて喋りたくねぇなら、俺は訊かん。ただ~し!」 「はい、伺います!」傍らで聞いていた由紀が、力んで返し、由香も こっくりと頷いた。

中条、更に続ける。「俺には、大体のとこは分かる様な。学院の準備会合に加え、かなり深くて微妙な問題があった、と俺は見る。場所はさ、学院上階の養護室だ。これ、由紀ちゃんも同じな・・」話を振られた彼女の返事は 言葉にならず、「んん・・」と頷いて返す事に。少しの間、沈黙が続く。そして・・ 

「伯父様・・」由香、ボソリと切り出す。「ご賢察の通りよ。あたしたちが 今日学院に行ったら、(本荘)小町先生も、お出でやったの。それで、準備会合の終わった午後、周君とあたしたち姉妹が呼び出されて、暫くの間 先生も交えて濃い時間になった言う事です・・」 中条「うんうん、そうかそうか。まあその辺は、俺にも察しがついたわ。だから詳しくは訊かねぇ。もしもだ、そんな事があったんなら、今夜は 無理避けてゆっくり休む事だよ」 「・・ですね。おおきに、有難うございます!」姉妹は、ホッとしたのか、語気を弾ませて返した。

「早めに片付けて、ゆっくりしろよ」 「はい、そうします」全ての雑事が済み、三人が居間に落ち着いたのは、もう 10pmを大きく過ぎた頃だった。中条は、そのまま眠るつもりのトレーナー上下、姉妹は、揃いのパジャマ上下で、勿論アンダーを着ける。今夜はもう、脱がないつもりだ。「さあ、寝酒と飲み物でもう一回乾杯っと・・」姉はグラン・マルニエのロック、妹は、グレナディンをペリエ割で、そして男は、コニャックのロックである。

「明日からは、激論になるかな?」中条が訊くと、由香「さよですね・・テーマによっては、かな?医療予算の問題もあるとかで、それに関する 小町先生の講演もあるやに聞いてます」 「ああ、そりゃ良いな。しっかり教えを乞う事やよ。尤も、今日少しは知ったかもだが、あの方は ちょいとマニアックなとこもあるでな」 「ああ、それ、あるあるですよ。今日なんかも、もうそんな気配でしたもん」 「まあ、人によってはホント、話たくねぇ中身もあるろうから、そこは踏み込まんでおく。さあ、暫くしたら、二人はゆっくり休め。明日からの事は、何かあったら考えりゃ良いんだ!」 「ですよね。ホンマ、おおきに。有難うございます!」もう暫くの談笑を経て、姉妹は 11pm過ぎ、寝室へ。

「お疲れ様でした!」 「ああ お休み」居間に残った中条は、例によって 長さを伸ばしたソファに臥し、もう暫く TV番組をチェック。その合間に、周に LINEを送る。「今日はご苦労さん。遅くて良いから、帰ったら俺に一報されよ」 返事が来たのは、日付が替わって数分後だった。

周「伯父さん、夜分に失礼をば・・」 中条「いやいや、気にすんなや。待ってたぜ」 「又近く、伺いたいですね」 「ああ、それ良いな。一度日取り考えて、近づいたら 又打ち合わせよや」 「有難うございます。そうですね。・・で、もう昨日になっちゃったのかな?学院での、行事の準備会合後、由香さんに由紀ちゃん、それに自分の三人が、養護室に呼び出されまして・・」 「うんうん、そうらしいな。いいや、続けてくれ。俺は聞いとるぞ~!」

促された周は、養護室での姉妹の様子や、膣鏡(クスコ)を用いての、下半身の目視とか、順繰りに絡む、三人での行為、交合を含むそれを 小町がしげしげと観察したり、最後に周が発射した男精を 顕微鏡で観察するなどの 一連の行為を詳しく報告した。中条「・・だろうと思った。やはり、小町先生は 相当にマニアックだって事が分かる。又、あの二人 よくもそんな深いとこまでつき合ったもんだな~!」入力レベルが瞬間で振り切れる程の 些か呆れる話ではあったが、中条は 務めて冷静に受け止めた。小町の性向を考えると、これ位の事は想像の範囲だったのだ。

「いやいや、遅くまで悪かった。有難う!」 「こちらこそ!自分も、伯父さんと話ができて 良かったです」 「まあ、明日から暫く 頑張ってくれ」 「有難うございます!もう様子は分かったから、頑張って行きます!」交信終了。もう日付・・というより、月も替わっていた。「又一ヶ月、新しい気分で行きてぇな。勿論、彼たちの行事も・・」深夜の報道番組に興じる中条、後一杯だけ飲んで、休む事にした。窓外に 月の姿はなく、今夜も曇天の様だ。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 杏咲 望
中村由利子さんの今回楽曲「Your Precious Day」下記タイトルです。
Your Precious Day

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