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パノラマカーと変な犬 第34話「戯事」

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「まあ、酒気は帰ってからにしようや」 「・・ですね。ここは、色んなお料理の味を楽しみたいわ」城趾の北西にある商業施設(ショッピング・モール)の中で 二、三のゲームに興じた後、由香・由紀の姉妹と中条は、彼馴染みの和食処で、一部の品を省いた ミニ懐石の様なコース料理を嗜んだ。

男ばかりなら、ステーキやローストビーフのコースとかの出番だが、中条の想像通り、姉妹は 肉料理より海鮮ネタが好みだったのだ。何より彼は、居所との往来の為の、運転があった。当然、酒気は慎まれなければならない。

「さてと・・」締めくくりの果物と、冷菓を平らげた中条が言った。「まだ時間は早いから、二人はゆっくりしてて良い。どうせ帰れば、軽く飲んで 寝るだけだし・・」 「おおきにです。もう少し、お言葉に甘えますわ。まあ、そんな感じですよね」姉の由香、そう返す。傍で、妹の由紀も微笑んで聞いていたが、続いてこう応じた。

「伯父様・・」彼女は言った。「うん、何かいな?」男が返すと 「寝るは寝るでも、ちょっと儀式って言うか、行事みたいなのをしてから・・ですよね」 「ハハ、行事か。上手い事を言うな。まあ そうだな。そんな感じで、日付が替わる辺りまで盛り上がる・・って感じかな?」彼は、そう返して静かに笑った。

夕方の始めが早かった事もあり、三人が 中条の居所へ戻ったのは、まだ 8pm
前。彼が早速 風呂の準備をする間に、由香が 酒気のお供の 野菜スティックや、数種類のチーズを用意して皿盛り、ラップを被せて冷蔵庫へ。由紀は、白ワインを同じく冷蔵庫で冷やしながら、人数分のグラスを揃え、その後で 居間のテーブルとソファを整える。

入浴は、例の如し。先に入った中条の、身体(ボディ)洗いと洗髪が終わった辺りを見計らう様に、生まれたままの姿に戻った姉妹が続く。「ああ、いやいや・・これぞ眼福ってやつよな。ホンマ、生きてて良かったと、つくづく思うぜ・・」身体洗いや洗髪を進める姉妹を、浴槽に 身を沈めながら、中条は そう呟く。

「ふふ・・お風呂の中を見るだけで、そないに興奮するなんて、伯父様のお気持ちも、若いでんなあ!」由香が、感心した様に言うと、彼は「ああ、まあな。正直なとこさ、元々 俺は視姦が好きなんだよなあ」 それを聞いた由紀「ほなら、どうでっしゃろか。初美先生がお越しの時も、こないな風(ふう)にしてはるんですか?」と、ほんの僅か 不躾(ぶしつけ)に訊く。

ここで、並みの男なら ムッと来る所だろうが、中条は その辺りは「出来の良い」男なのかもしれない。微かにニヤリとして「それは、貴女の受けとめ次第やな。そんな風(ふう)ってのは、否定はせんぞ。かと言って、それが全部って訳でもねぇしな」と返した。暫くして・・

「さてさて・・」男は呟き 「一番いい湯だ。こういう時に、美人さんたちに入ってもらった方が良いからな。俺は先に出て、酒とか用意しとくわ」と続けると、由香は「ああら、ちと残念やわぁ!」 「ほう、そうか。もそっと、裸どうしで どうこうしてぇってか?」 「と言うか・・伯父様のお風呂上がりって、何か慌ただしいのよね。折角あたしが、うっとり感に浸ってる時にそんなんじゃ、ちと興醒めみたいなナニでしてん・・」そう言う由香は、少しだけムッとした様だった。

中条「おー、そかそか。そりゃ悪かった。俺ぁ又、風呂狭いから、なるべく早く空けたりたかっただけの事でさ。他に どうという気はなかったんだけどな」今度は、それを黙って聞いていた由紀が、口を開いた。「伯父様・・」彼女は言った。

「大人の思いやりに感謝です。とても嬉しいわ。でも・・」 「うんうん、続けてくれ。俺は聞いとるぞ」中条が返すと、由紀「あのね、この狭さが 姉とあたしには、堪らなく良いんですよ。ホンマ、伯父様とも くっつかんばかりに近いしさ。それも、皆 裸でしょ?」

中条「ハハ、まあ 確かにその通りやな。そうか、俺はこれまで、少しでも広い方が良い思ってさ、早めに空ける様にしてたんだが、貴女たちがそのつもりなら、考え変えるぜ。そうやな、これまでより少し、ゆっくり出る様にってか。まあ、慣れればそう難しくはねぇだろが・・」そう言いながらも、ここは上がる事に。

とても快適な好い湯を 姉妹に譲った中条は、下着(アンダー)にバス・ローブを纏い、酒気と由紀の飲み物を 卓上に並べにかかる。8pmを回り、辺りは もう夜の帳(とばり)が降りて 闇が間近に迫る。が、斜め向かい家の屋上だけは、勝手が違う様だ。微かな灯りにちらつき蠢く「例のヤツ」・・

「そうだな。他でもねぇアホだ・・」夕飯を終え、腹がくちくなったのか、飼い犬「マル」が、この暗いのに 屋上を徘徊しているのだ。「お前又、暗闇のドサクサに紛れて粗相・・か?」勿論、雑用の手を止めてまで見入るのもアホらしい。男は、あくまでも 合間に目を遣る程度にしておいた。

少しすると、犬は 暗闇に向かい、一声「ワン!」と吠えると 「次は決まりでやす!」とでも言う様に、そそくさと階下へ向かう。「うるせいから、今夜はもう現れるなよ!」男は、そう言ってやりたかった。これから、由香・由紀の姉妹は、彼が思い描く通りの 妖艶なコスを纏(まと)って、再び眼前に姿を現す事だろう。そしてその後、或いは想像を超える、熱い交わりを叶えてくれるかも知れないのだ。

「マル」が階下へ降りて間もなく 「おおきに。好いお湯でした~」壁の向こうで、姉妹が一礼す。中条は「ああ、いやいや・・ゆっくり来いよ。居間の方は、はぼ準備完了や」と返す。「有難うございます。着替えるから、ちょっと待ってね」 「ああ、そりゃ良い。ゆっくりやれよ」快く応じる男。多分 姉妹は、彼が秘かに期待する姿で現れるに違いない。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 名古屋鉄道パノラマカー原型車 思い出画像 名古屋本線 藤川~名電山中間2008=H20,11 岡崎市舞木町付近 撮影 筆者
中村由利子さんの今回楽曲「Les Amoureus D'hiver」下記タイトルです。
Les Amoureus D'hiver

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