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ちょっと入淫 第28話「望外」

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由香、由紀の木下姉妹が、永野と トイレでの大声では言えない出来事が進む間、居間(リヴィング)に残った中条は、彼女たちが想像した通り TV番組に嵌り、画面に見入っていた。三人が前後して席を立ってから 十数分が経つも、特に気にした様子はない。そこへ戻ったのは 由香だけだ。

中条「おー、戻ったか。あの二人は風呂かね?」 由香「いかにも!左様(さよ)ですよ~!伯父様、まあお聞き下されや」 「ああ、勿論。聞かせてもらおう」 「あの二人さ、あたしが見てる前で服脱いで スッポンポンになりはったんです。その時の由紀が、ちと嫌らしくてさ。『さぁ永野さん、ちょいとの間やけど、あたしのステージ見てみたい?』とか言うて、あの男性(ひと)を煽りよったんです」 「ほぅ、つまりは・・」 「はい・・」 「由紀ちゃんは、ちょいとの間 永ちゃんの眼前でストリップの真似事でもしたって事かい?」

由香「はい、その通り!・・で、由紀ったら 彼の前で 焦(じ)らすみたく、わざとゆっくりアンダー・パンツからブラウスから ウェストの縊(くび)れをくねくねさせながら、わざとゆっくり脱いで行きよるの。最後のショーツ脱ぐとこなんかはね、一昨日 伯父様にしたみたく、お尻を『フリフリ』とかしよってね。ホンマ『プチ・ストリップ』みたくて唖然ですわ・・」と、嘆く様にして見せた。

中条「ああ、分かる分かる。お姉ちゃんとして嘆かわしいは分かるけどさ。余り度が過ぎる様なら、俺が話して抑えさせるからさ。まあ、安心おしよ」 由香「ホンマに、宜しゅうお願いします。彼女(あいつ)、放っとくと 何する分からんからなぁ・・」 「ああ、それも分かる。・・でだな」 「はい・・」 「永ちゃんの方だが、彼の下方がどうなってたか、見る余裕はあったかね?」 「ああ、永野さんの下半身でんな。まぁ、パッと見やけど、普段でもご立派なのが更に勃起して、好い感じやったですよ!」 「悪いな、有難と。それ聞いて一安心だわ。所でさ・・」 「はい・・」

由香の返事を受け、中条は続けた。「まあ彼も、紳士の端くれや。滅多な事は致さんだろう、と俺は信じとる。由紀ちゃんも、無茶はせんと思うが、貴女もそう思うか?」 由香「まぁね。そやけど、永野さんに続いてお風呂場行く時、ちょいと呼び止めて釘は刺しときましたよ。『ええか、オメコはあかん!』てね」 「了解!その位の心配はええやろうな。余り言い過ぎるのも良くねぇしさ。反発でも食らうと面倒だからさ・・」 

由香「・・ですよね。もそっとで上がって来るやろから、様子窺ってまひょか?」 中条「それがいい・・」 報道家 池上 彰が総合司会の時事特番と、依然として窓外に蠢く 斜め向かい屋上の犬共に目を遣りながら、冷茶のグラスを手に、二人は雑談を交えて過ごす。

浴室の中の様子にも、ちょっと触れておこう。初めの内、交互に背流しをしたり、下方を洗い合ったりして戯れた 由紀と永野だったが、やはりと言うか 姉の見よう見真似で覚えた泡技を繰り出した。マットを介して腹這いになった永野に、由紀は 曲がりなりにも「泡踊り」の簡単な技を施した。「由紀さんは、覚えがいいなぁ・・」本気で感嘆した彼は、そう称えた。髪を含む身体(ボディ)洗いが区切られると、由紀に腰を浮き上がらせた永野は 彼女の下方に口唇を合わせ、約束通り その「聖水」を飲み下した。半時程でこの二人が出るのと入れ違いに、由香と中条が浴室へ。

「冷茶の最初は、用意したった。後 欲しけりゃ冷蔵庫な」 「有難うございます。了解です!」風呂を済ませた由紀は、薄手のタンク・トップの様なセパレートのフレア・ミニコス、永野は作務衣(さむえ)の様な、同じく薄手の部屋着で寛ぐ。先程まで 由香と中条が見ていた TV番組が放映される居間で、中条に指示された長手ソファの真ん中に永野が座ると、由紀はすぐさま 彼の右手に斜めにかけ、ミニのアンダーの中身、太腿と尻が一望できる様 挑発する様な仕草を見せた。

「いや、絶景かな絶景かな。素敵な下半身ですね・・」感嘆と興奮が入り混じった状態にさしかかった永野は、こう言った。「ふふ、好いでしょう」由紀はこう返し、そして「でも、姉がお風呂から戻ったら、もっと凄いわよ・・」 「凄いか、そうか。そいじゃ、お触りはその時がいい・・かな?」 「ううん、遠慮は貴方らしくないわ。お尻の 1回位触りはったって、あたしは『嫌!』とは言いまへん。これ、まじでっせ~!」 「そうですか。そういう事なら・・」永野の頭の中の思考が、ゆっくりと回り始める気がした。

「由紀さん・・」永野が続けた。「はい・・」彼女の返事を受け「とりあえず、最初のご挨拶しときましょうか・・」 「そやね。そうしまひょ。永野さん、さっきはお約束守ってくれはり おおきに 有難うです!」 「いえいえ、こちらこそ!昨日も今日もお世話になり、有難うございます!」ほんの少し ソファに姿勢を沈ませながら、二人はゆっくり、唇を合わせて行った。

ここで、同じ日の鵜方病院の様子を。朝の定時に起床、日曜の日直に当たった看護師・美波にこの日も濃厚な朝風呂に付き合ってもらい、朝食を済ませた宮城は、午前を上階ロビーや病棟周囲の散策、昼食の後、中条らの見舞いを受け、ついでに木下姉妹の濃厚な挨拶も賜った事は、既に記した。美波の日直は、中条らの見舞いが済んで間もなくの 4pmまで。退出の時、彼女は宮城の特別個人病室を訪ねてこう言った。

「美波ちゃん、今日はお疲れサマー!」宮城の、労う様な言葉に彼女は「宮城さん、ホント申し訳ないけど、ちょっとの間、小町先生とあたし 留守するからゆっくりしてて下さいね・・」 「俺はいいよ。ただ 本荘先生は、今日は非番のはずやけど、病院へ来られるらしいな」 「ええ、ちょっと寄る位はありそうですわ。その時ちょっと、お会いできると思うから、その時にね」 「了解。今夜の夕食は、食堂行っても良いから、済ませておくかな」 「うんうん、それがいいですわ。じゃ、後でね!」 宮城の病室を辞し、日直を終わって 白衣から夏の平装に戻った美波は JR中央駅近くの 佐分利学院本校舎へ向かう。

鵜方病院から、N営地下鉄 1号線で二駅、数分弱位で中央駅の地階に着く。そこから徒歩で、数分ちょっとの至近距離だ。病院の業務引継ぎも順調に済み、佐分利学院本校舎の階下ロビーには 4:30pm頃着いた。すぐ上階の自習室には、地元の M県を一緒に発って来た、高等科の生徒 豊野 豊(とよの・ゆたか)が、課題処理の為 来ているはずであった。先程に続き、携帯の SNSで到着を告げる。

「お待たせしました。美波さん、お疲れ様です!」少しの後、EVではなく通用階段を下って来た豊が、歩み寄りながら挨拶。白地のTシャツに夏物ジーンズ、つっかけではない深めのサンダル姿が夏らしい。「君も、ご苦労様!」美波も返し、二人は EVで 小町の詰める上階の養護課へと向かう。

「失礼します。お待たせしました!」 「ああら、美波に豊、今日はご苦労様!」養護課の主任室で、次の学会向け論文の準備をしていた小町と挨拶。「とりあえず、これからの予定を言うわね」 応接席に通され、冷茶を振舞われた美波と豊は 向き直った女医との話に入る。

小町は続けた。「今朝、チラっと病院に寄ってさ、日直の内科部長と 宮城さんの症状の事話したんだけど、肝臓の怪しい傾向も、薬を 2種類処方して 経過観察で行く事になったの。彼の診断書は、この後あたしが内科部長から引き継ぐから、それが済んだら 彼は退院準備に入れるでしょう。でも、その前に・・」 「はい、聞きましょう!」看護師と男子高校生が、気持ち身を乗り出すと「いい?これから言う事が大事よ。宮城さんの 病院外特別診察を、主治医のあたしの判断で行おうと思うの。既に院長や内科部長とは話ができて 承認を取ってるし、後は実行するだけよ」 

「先生・・」 豊が挙手して言った。小町は指図で返し、発言を促すと「それには、自分の協力も必要って事ですか?」 「その通り!豊の力が必要なの。もう少ししたら、この近所で早めの食事ね。豊は知ってるとこだと思うけど」 聞いた豊は「ああ、そこ、何となく分かりますよ・・」 「詳しい事は、夕食の後で話せば間に合うわ。それから タクシーで一旦病院へ寄って、あたしの自宅へ向かいます」 「ああ、先生のご自宅へ・・ですね」まだ戸惑う風情の豊が反応した。

傍らで、美波は黙って微笑んでいる。そして「確か、宮城さんも 今日のお夕食は早めでしたわね」と訊いた。小町も 「そうそう。彼にも日中伝えたから、食堂で対応してくれてるはずよ」と応じ。暫く談笑の後「じゃ、食事へ行きますか・・」揃って EVに乗り、階下へ向かった。そしてこれが、宮城、中条、永野の 三人の男にとっての「望外」な出来事の始まりとなる。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 三上悠亜
野呂一生さんの今回楽曲「パープル・イン・ザ・スカイ(Purple In The Sky)
Purple In The Sky

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