情事の時刻表 第12話「夜診」
- 2018/12/17
- 21:02
「ところで、宮城さん・・」女医・本荘小町(ほんじょう・こまち)のこの出方から、患者として向き合っていた宮城一路(みやぎ・いちろ)には「ピン!」と来るものがあった。この夏の短い入院時、一度はあった 通常の検査とは異なる「濃い診察」が再び行われるのではないかとの予感である。
「ひょっとして、二度目・・かな?」と一方で思いながら、宮城は「はい、お聞きしましょう・・」と、小町に話の続きを促した。彼女もそれが分っている様で「はいはい、今、話すわ・・」と笑みを浮かべて返す。そして「先日の検査結果も、ほぼ異常はないレベルね。後少し様子を見れば、ほぼ完治でしょう。それは良いとして・・」 「はい・・」 「実はね、あたしの判断で 夜に追加の診察をしたいの。なるべく早い内が良いわね」 「そら、来た!」宮城は、内心でそう叫んだが、顔は平静を装う様努めた。
小町は続けた。「やっぱりね、通り一篇の検査は OKでも、あたしとしては念を入れたいの。だからその辺りは、貴方にもご理解を願いたいのよ」 聞いた宮城は「ああ、まぁ 分かりますよ。お医者様の指示なら従わんとってとこもありますし。・・で、又短期入院・・かな?」 「まあね。でも大丈夫よ。今度は一泊だけで終わらせます。急で悪いけど、今夜はどう?」
宮城「うん、今夜ですか。どうかな?今 予定見た限りじゃ問題なさそうだけど、念の為 昼過ぎまでにお返事でよろしいか?」 小町「それでも良いわ。因みにあたしは、今夜当直だからね。午後は一旦 佐分利学院の養護課にいるけど、夕方から又こちらですから」 「分かりやした。なるべく早めにお返事って事で・・」
「ひとまず、お世話様でした!」 「はい、お大事に。今夜の事、色よいお返事をね!」 周囲からは 当たり障りのない様に見える挨拶を交わし、宮城は小町の診察室を後にする。病院のロビーで、永野に SMS連絡。「宮城です。午前の帰りは 立ち寄るとこもあるので迎えなしで良い。ただ、夕方もう一度 俺んちから鵜方病院まで願いたいがよろしいか?」 程なく、永野から返信。「有難うございます!夕方は現状 OKです!」 「よしゃ 分かった。1H後位に連絡すっから、予定空けとかれたし!」 「かしこまりました!」一旦、交信終了。
実は宮城、この夜の予定はなかったのだが、念の為即答を避け、小町の意向を持ち帰ったのだった。正午過ぎ 帰宅すると、昼食前に彼女宛て連絡。「宮城です。今夜 OKになりました。時間はいつがよろしいか?」 小町の返信は「有難う、ご苦労様。6pmでどうかしら。病院の近所に馴染み処もあるから、軽く食事でもしましょう」 「ああ、よろしですね。じゃ、その時刻にって事で・・」
宮城は、この夜病院で一泊する事を、永野にも伝えた。希望通りに迎えに来られる旨 返信有り。「さてさて、一泊入院で、何があるかな?」 この日は、大型トラックによる 商品や資材類の搬入搬出もなし。在庫の整理やデスク周りの雑用を片付けると、夕方は早めに出かける用意。夫人は、一泊入院という事で、特に訝(いぶか)ってもいない様子だった。
「じゃあ、行って来る・・」 5:30pm、再び永野の迎えを受け、宮城は病院へ。車中での会話を少し。「やっぱりさぁ 永野君、今夜何かが起きそうだな」 「そうですか。やはり『この前の続き』って感じでしょうか?」 「可能性はあるかもな。通常の検査じゃ、ほぼ異常はなくなって 経過観察ももう一息って風(ふう)だしな。ただね・・」 「はい・・」 「まぁ夜間の診察ってのが引っ掛かりはするんだが、何せ相手はお医者さんだからねぇ・・」 「そう、そこですねぇ。お医者様の判断と指示って事だと、我々は従うしかありませんもんね」 「その通り!」 6pm少し前、車は再び鵜方病院ロビー前の車寄せへ。
ロビーに入ると、直ぐに小町が現れた。執務中 常に纏う白衣ではなく、明るいベージュ系のスーツ上下と揃いの感じのパンプス姿。但し 下方のスカートはタイトではなく、少しプリーツの入った ゆったり目の装い。ストレート・ロングの黒髪は、白のリボン状飾りで後ろに纏(まと)め、人気の TV司会者 大江麻理子に似た風情で、宮城の好みにも近かった。
「今晩は。又お世話様です!」「こちらこそ、宜しくね!まずは病室を案内しますわ」宮城を従え、小町は先に立って病室区画(エリア)へ。時折行き交う医師や看護師、事務職員らと挨拶を交わしながら進み、ストレッチャーも載せられる 大柄な EVで上階へ。着いたのは、宮城がこの夏入院の折訪れた 特別個室のある階(フロア)だ。
「どう、ちょっと懐かしいでしょ?」の小町の言葉に宮城は「ええ、まぁそんな感じもしますね・・」と、曖昧に返す。二度目とはいえ、まだ余り落ち着けないのが正直な所だ。小町「とりあえず手回り品置いたら、食事行きましょうよ」宮城「・・ですね。余り遅くならん方が良いでしょう・・」持って来た着替えや洗面具などを部屋に持ち込み、落ち着くと 二人はもう一度出かけた。行き先は 病室至近の、小町馴染みの和食処だ。
店内はそこそこの入り。大事な会話にも、そううるさくはない。想えば これもちとおかしな話かもだが、少しなら酒気も許されるという。「まぁ 少し位なら元気づけになって良いわよ」の女医の言葉もあって、宮城はエビス瓶ビール一本と冷酒一合を 海鮮の定食と共に嗜む。小町は、最初の一杯のみ儀礼的にビールの他はウーロン茶で通し、料理は宮城と似た中身だった。
「先生、何となくね・・」食事の傍ら、宮城が言った。「はい、聞くわ・・」女医が返すと「この夏、入院した時の続きになりそうな予感がしますな」と続けた。小町「ふふ、そう思って下さっても良いわ・・」と笑いながら応じ。「ああ、好いなぁ。先生の笑った感じ、とても綺麗だ・・」「有難う。この後、もっと好い感じになるわよ・・」こう返す女医の頬も、少し紅潮している様にも見られた。
一時間余りの会食を終え、病室に戻ったのは 8:30pm近く。9pmからの TV報道番組が見たかった宮城は、小町にその希望を伝えていた。だから彼女もそれが分かっていて「番組開始までに、シャワーを済まそうよ」と語っていたのだ。特別個室に二人だけとあって、宮城はベッドの傍らで 脱衣を始めた。
「一路さん、ちょっと・・」小町は、ほぼ全てを脱ぎ、トランクス一枚になった宮城に言った。資材リサイクル関連企業の経営を生業(なりわい)にしている事もあって、上体は筋骨に恵まれた 中々に魅力的なそれだ。「ふふ、惚れ直したよ。一路さんの身体・・」小町がそう呟きながら、にじり寄って来た。
「あは、先生・・はそろそろ止めよかな。小町さん、例の特別診察開始ですかい?」宮城はニヤリと微笑を見せ、訊いた。「んふ、まぁそんなとこだと思って下さりゃ良いわ。それとね、一路さん・・」「はい・」「最後のパンツ、あたしに脱がさせてね」「おおっと!でも、良いでしょう。お医者様のお言葉には従うのが、患者の務めですからな」宮城は、そう返した。
「あぁ、それ・・良い心がけだわ」宮城の身体に触れんばかりに近づいた小町は 彼の前に回ると、向き合う形でしゃかみ込む。これで丁度、彼女の視線が 宮城の竿(男根)と同じ高さとなる。それは、まだ着けられたトランクスの向こう側でもそれと分かる程 怒張しているのが認められるものだった。
女医はまだ着衣も、両の脚を開き 捲られたアンダーから股間を装う淡色のショーツが見える様 意図され、目にした男は 勿論動揺したものだった。「さぁ、行くわよ・・」微笑みなから女医は、トランクスの両脇にかけた手指をゆっくりと押し下げる。かくして、既に礼儀を正す浅黒で立派な竿が露(あらわ)にされた。「あぁ、やっぱり す・て・き・・」途切れがちに呟きながら、女医は男の竿に、手指で巧みに摩(さす)りを入れ始めた。それに合わせる様に「あ、は、うぅぅ・・」男の呻きが発せられた。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 早川瑞希
今回の「音」リンク 「サムデイ・サムハウ(Someday Somehow)」 by葉加瀬太郎(下記タイトル)
Someday Somehow