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情事の時刻表 第19話「雨音(あまおと)」

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「その事なんだが・・」秋雨の夕刻、国産赤ワイン「十勝トカップ」と、ハムやスモーク・サーモン、それにブルー・チーズや野菜スティックなど馴染みの食材を伴っての内飲みを進めながら、中条は初美に言った。「ええ、聞くわ。余り芳しくなさそうな感じもするけど」と、彼女も応じた。

「そいじゃ・・」男は続けた。「来月初なんだが、小町先生がさ、南隣 M県の南方 外海近くの病院に出張するみてぇなんだ。そこは、懇意に指導してる看護師の娘(コ)が勤めてて、その指導とかも目的としてはあるんだが、ほれ・・他にも何かあるらしい。ざっとは分かるんじゃね?」 「ふふ・・まぁ、そんなとこもあるわね」微笑を添え、初美が返した。

彼女は続けた。「あたしもね、辞めた今でもお仕事で出入りしてる佐分利学院でチラ聞きしたんだけど、その病院への出張って 来月の初めなんだってね。同僚だった(山音)香織里や後輩の(花井)結からも話があったけど、医療絡みの講演と病院の業務指導、それに男性患者メインの健診もあるらしいわね。・・て事は、又余り良からぬ構想もある様な気がするのも事実よね」

「ああ、そう思うか・・?」やっぱり・・という感じで、中条は 初美の言葉を受け取った。「その話聞いてると、どうも病院関連の仕事は良いんだが、その他にほれ・・あっち系の目的もあるんと違うかって、俺は思った訳。これ、あの女性(ひと)なら十分有りか・・なんて思った訳よ」 「うん。何となく分かるわ。つまり貴方は、小町先生が出張のついでに、現地で男漁りなんかをするんじゃないかって思うんでしょ?」 「その通り!」

戸外の秋雨は、やや雨脚を強めた様だった。二人が居る厨房まで、雨音がはっきり聞こえて来た。プロ野球の時季(シーズン)も終わり、ラジオの FM番組が緩く流れていたが、殆ど意識する事のないレベルだった。そんな状況下での 暫し沈黙の後・・「その出張の時って・・」それを破る様に、初美が言った

「よし、聞こう・・」居住まいを正して 中条が返すと、彼女は続けた。「確か、来月第一週の末だったわね。その週末は 11/3が金曜で祝日、翌日が土曜、その次が日曜で、その気なら三連休にできるわね。貴方、もしかして現地へ乗り込んで、小町さんの牽制でもするつもりなの?」 聞いた男は、ニヤリと微笑を浮かべ反応した。「貴女の想像に任せる。だが、可能性としては 有りだな」

「ふふ、やっぱり・・」男の微笑を一瞥して、女が返した。「実はね・・」 「うん、聞こう・・」 「貴方だけを行かせるのも何だかなぁ・・て思ってね」 「そうか。それで、どうしてぇ?」 「うん。『行くな!』とは言わないわ」 「そうか。分かるよ・・」 「・・でね。丁度良い折だから、あたしも一緒に行こうかなって気になり始めてるとこよ」 「そうか、そいつ喜ばしい!」中条はそう返し、笑った。

開始から一時間余りで 夕食兼内飲みが終わり、初美が厨房の片づけを進める間に、中条が居間の寝酒と寝室の準備。目途がつくと、男はトレーナー上下、女はナイト・ガウンを纏って、寝酒のグラスを片手に 並んで TV画面と向き合い、ソファーに落ち着く。グラスの中身は、初美が甘いリキュールのグラン・マルニエ、中条がマーテル・コニャックの共にロック。寝酒で一番多いパターンだ。

「しかしまぁ、何だな・・」 TVのお笑い系バラエティ番組に興じながら、中条が言った。そして「事実なら、相変わらずお盛んな事だ。良いか悪いかは別としてさ・・」 聞いた初美は「まぁね。そろそろ落ち着いて欲しい気もあるけど、あの感じだと もう暫く無理かしら。そう言えば、貴方の学校の先輩 宮城さんがちょっとの間入院された時も、何かあったんじゃ?」 「ああ、好い勘だな。多分、そんなとこだと思うよ。宮城さんも、小町先生を立ててぇ想いがお有りなんだろ。詳しくは語らねぇけどな・・」

そうこうする内に、夜も更け始めた。TV番組の終盤辺りから、中条は、初美のガウンの襟や胸の合わせ目から右手を滑り込ませ、ブラを着けていない「胸の双丘」に手指を回し始めていた。「んふ・・出た出た、いつもの病気・・」 微笑を交え、女は穏やかに反応する。「うんうん、毎度お馴染みになったけど、やっぱり この乳房(おっぱい)の感触はよろしな~!」更に進めて、胸元をはだけると、露わになった乳房に深い じっくりとした摩(さす)りを入れて行った。「ああ、好いわぁ・・」低い喘ぎを伴う、初美の反応であった。

「新(しん)さん、所で・・」徐々に進む昂りを、急停止させる様に、女が訊いて来た。「はい、何ぞ?」 男が返すと「この夏にさ、大坂から木下さんちのお嬢さん姉妹が来た事あるでしょ?」 「ああ、はい。確か一度は 訪ねて来ましたかな・・」 「その時さ、やっぱり今夜みたいに 濃くて親しい事したの?」 「あ、いやいや・・そりゃねぇよ。姉妹さんは 確かにここを訪ねはしたけどさ、泊まりは近場のホテルだったって事で・・」そう返した中条だったが、一瞬 落ち着きを失ったのを 初美は見逃さなかった。

「ふぅん、ホテルねぇ。じゃあ訊くけど、ここのソファーや寝室の辺りから あたしのとはどうも違う香水の匂いがするのよね。ほんの微(かす)かじゃあるけどさ」「う~ん、まあ仕方ねぇ。そやなぁ、一度位ぇは あったかな・・?」とぼけた様に答える中条だったが 「参った!」女の鋭い嗅覚には、改めて驚愕(きょうがく)させられた様子であった。

「ふふ、まぁね・・」それを見た初美は、微笑んで言った。「じたばたしないでさ、認めれば良いのよ。あたしより若い由香ちゃんや由紀ちゃんが傍(そば)に来りゃ、ただで済む訳ない事位 分かるわよ!」「そうか、分かってくれて、有難とよ・・」些(いささ)か腑抜けた趣(おもむき)の中条、やや力ない感じで返すも、片方の手指は 依然として初美の乳房の上を這い回り続けた。暫く後・・

初美「ねぇ新さん・・」中条「はい、何ぞ・・」「さっきから黙ってりゃ、ずっと 下品な乳房(おっぱい)マッサージじゃないの。それ、嫌じゃないけどさ。来月の小町さん出張の事、どう向き合うのか?少しは考え進めといた方が良いんじゃなくって?」「ああ、それな。いや勿論、考えがねぇ訳じゃねぇよ。服案があるのねぇの騒いどいて、結局は何~んもなかった 何時(いつ)ぞやの元総理と違ってな。まだ夜は長ぇ。これからボツボツと話してくよ」男はそう言い、直ぐに「あっ、そうだ!」と、言葉を継いだ。

「ふふ、何かしら?」ようやく胸元をしつこく狙っていた手指を振りほどいた女は、含み笑いを交え反応す。聞いた彼は「あのさ、ちょいと下の方から応援してくれるとだな、こう何ちゅうか、俺も 熱く語れる様な気になれそうなんだが・・」「仕様がないわねぇ。それって『尺れ』って事かしら?」「大声じゃ言えねぇけど、そうです・・」「やっぱり・・」悟った様に、初美は中条のアンダー前開きに手指を挿し込んで行った。

「まあ!こういう反応だけは・・」既に堅さを以て礼儀を正した男の竿が、陰嚢と共に連れ出された。「さあ・・」初美は、半分自身を昂らせる様に声を上げた。「さっき、ずっとあたしの乳房(おっぱい)に仕掛けたやり方で、今度は貴方の竿(チンポ)を高めたげるからね。気持ちいい内に、計画を詰めとくのよ・・」そう言い、浅黒な一物の表に スリスリとなよやかな手指を走らせ始めた。

「あっ、はっ、ふうっ!は・・初ちゃん、う、上手いぞ。うぅぅ!」竿を見舞う、心地良くも熱い愛撫(ペッティング)に中条は思わず呻き声を上げた。初美「喜び声は分かるけど、あたしが聞きたいのは 小町さんの出張対策よ。その事の 貴方の考えをさぁ・・!」叫ぶ様に言葉を継ぐと、次には露わなった男の竿に食らいつく。「うあ、やってくれたわ!わ・・分かった。順追って話すから、お手柔らかに・・な。うっ、うっ!」波の様な激昂に押し上げられながら、男はようやく言葉を継ぎ始めた。窓外の雨音は、まだ続く。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 近畿日本鉄道(物語中 近畿参宮電鉄のモデル)名古屋線 米野駅東詰。2018=H30,1 名古屋市中村区 撮影 筆者
今回の「音」リンク 「ラヴィング・ライフ(Loving Life)」 by葉加瀬太郎(下記タイトル)
Loving Life

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