情事の時刻表 第20話「確保」
- 2019/01/13
- 21:50
折しも降り続く 秋雨を感じさせない程「熱い」夜だった。もう何度目かの 初美による口唇愛撫(フェラチオ)ではあったが、この夜は 二年前に初めて会った頃を彷彿とさせる新鮮な昂奮があった。「わ・・分かった。初ちゃん!」昂らされ、後少しで絶頂と射精という所を、中条は 辛うじてかわした。
「あ~あ、又『寸止め』で逃げるのね。残念だわ残念だわ・・」後少しで男を追い詰める事が叶わなかった初美は、そう呟いた。「悪いな、初ちゃん。本当は 俺も素直に昇って、貴女の麗しい口ん中に発射してぇのはヤマヤマだったんだが・・」 「そうよ。それを実行して欲しかったのにぃ・・」そう続けた女は、恨めしそうに男をジロリと一瞥(いちべつ)した。
「ご免ご免。不満なのは分かってるよ。けどな、これから 小町先生の出張にどう対処するか、聞かせてやりてぇんでな。頂へ昇るのは、その後って事でさ」 「そういう事なら、分かったわ。じゃ、初日の 11/3の事から、始めてくれるかしら?「良いでしょう。それじゃ・・」と、中条は ブランデーとリキュールのロックをもう一杯ずつ作り、改めて初美と乾杯した。
「まず・・」と、男は切り出した。「11/3の金曜だが、多分 小町先生は 8am過ぎか 10am過ぎ、どっちかの JR特急で現地へ発つだろう。病院は祝日で休診のはずだが、多分現地入りして直ぐ 関係者との打ち合わせや会議とかがあるだろうと思う。それには、前から話題になる 看護師の瀬野美波(せの・みなみ)さんも加わるんだろうな。聞いたとこじゃ、その後 夕方辺りに 医療関係向けの講演会と質疑応答があって、夜は宿舎で懇親会。まぁ、そこで一戦交えるのかも知れんが・・」そう区切ると、男は笑った。
「うんうん、酒気も入る事だし、可能性はあるわね。・・で、次の日は?」女が糾すと 「その次の日、つまり 11/4の土曜な。ここで、朝から病院の現場指導と、男性患者複数の健診に当たるって事だろう。何で、対象が男に限られるかは、まぁ語らずとも分かってくれるだろう・・」 「ふふ・・まぁね。つまりさ、その夜の『特別診察』の対象になる男性を絞り込むって事かしらね?」 「まぁ、そんな狙いもあるんじゃね?夜の方の『肝』になる行為は、多分土曜夜のつもりだろう。叶えばだが、その意図を挫(くじ)く機会があると良いんだが・・」
聞いていた初美は、軽く「ふむ・・」と鼻を鳴らした。「正面から、あの女性(ひと)の行為を阻止するのは難しいかも。まあ、どうかな?目をつけられた男性たちに『小町先生の事には、深入りしない様に』位の注意喚起をお願いする位が限界かもよ。まぁ、言わないよりは、言った方がマシってレベルかな・・?」 「そうだなぁ。まあ、貴女の話で間違ぇねぇってとこかな。阻止だ牽制だと言っても、余り露骨な手には出られんし・・」 「それにね、新(しん)さん・・」 「はい、聞こう。何ぞ?」 「悪くすりゃ、逆にさ・・あたしたちが、思わぬ返り討ちに遭う可能性だってあるわよ」 「う~ん、それなぁ。小町先生なら、それ位考えとる可能性はあるな。それもあって、俺は余り 貴女を巻き込みたくはねぇんだが・・」と答える彼は、余り乗り気でない様な風を見せたが・・
「あ、いやいや。だからさ、だからこそ 貴方一人で遣りたくないって想いもあるって事よ」聞いた初美は、一瞬見せた 男の憂鬱さを救わんとする意図もあって、そう反応した。「・・でね。もう宿とか往復の交通(あし)とかは確保したの?」 中条「いやご免。どちらも、まだこれからでな」 「もし 11/3から出るなら、三連休初日だから、混み合うわよ。早い内が良いわ」 「有難と。ホント その通りだな。まぁさ、健(たける)の (佐分利)学院の上級生 豊野 豊(とよの・ゆたか)君が現地の宿とかも知ってるだろうから、今からでも訊こうと思うんだ。交通の方は・・」 「はい・・」 「11/3の、金曜祝日な。この日 午前便は確かに混み合うだろうが、午後なら良いんじゃねぇかって踏んでるんだ。それは、明日の日中 確保に行くよ」 「分かった。早めに手配して、不安がない様にしないとね」 「ああ、勿論・・はっ、うぅぅ・・」呻きを交えて、男は答えた。
話が区切られると、又暫し 口唇愛撫(フェラチオ)の愉悦が、中条の下方を見舞った。「ジュパッ!ジュルルル・・!」些か耳障りな愛撫音を伴いながら「ふっ、はっ・・あっ、い・・いかん。い・・今はまだ、の・・昇る訳にはいかんのだぁ~っ!」ギリギリの「寸止め」状態で、この昂りも何とか凌ぎきる。そして・・
「なぁ、初ちゃん・・」まだ「竿」に食らいついている女に、声をかけ。「ん、ん・・何?」言葉かどうかも定かでない返事をどうにか得ると「この続きは、ベッドでと思うんだが、どうよ?」「うん、ベッドねぇ・・」呟く様に返し、少し考える様なそぶりを見せた初美だったが「でもやっぱり、ソファーで続けたいわ。さっきのお話の区切りもつけたいし、ベッドだと 途中で寝ちゃうかも知れないしね」
中条「そうか・・『寝てしまう心配』かありますってか。じゃあ仕様がねぇ。このソファーで、話しながら絶頂目指すか・・」そう返す頃には、彼も又 気持ちが固まった様だった。「よしゃ!次の話へ行く前に、少しお返ししておくか・・」「お返しって 何かしらね?」初美が訊くと「それはね・・」と返しながら彼女に右手を差しのべ、立つのを助けるのであった。
中条「もう一度席着いたらさ・・」初美「はい、何かしら?」「仰向けに寝そべって、脚を開いて欲しい・・」これを聞いた女は「あは、さっきみたく、口でお返しかしら?」ニヤリと微笑んで反応した。「いかにも左様!」そう返した男は、ソファーに臥した女の 両の脚を曲げ開き その間に分け入って行く。「楽だぞ・・」と、彼の頭に足先を乗せる様促し、自らは 辛うじて股間を覆う 白の極小ショーツの両端を担うストラップに手指を絡ませ、ゆっくり慎重に下ろして行く。
「うんうん、好いぞ好いぞ。もう馴染みのはずだが、いつ見ても素晴らしいわ・・」M字に押し開いた 朱(あけ)を纏った秘溝と、その周りに薄く茂った下草を、中条は暫しの間 飽かず眺めた。次いで彼女の両脚先を再び頭に乗せる様促し、秘溝に唇を合わせて行った。「あっ、はあっ、ふ・・ふうっ、い・・好い~っ!」初美の喘ぎも、本気度が感じられる様になった。
「ふっ、はっ!し・・新さん」喘ぎながら、初美が訊く。「はい、さっきの続きかな?」中条が返すと「そうそう。道中とかさ、小町先生に気づかれない様にしないといけないけど、宿とかはやっぱり 病院から遠くない方が良いわね」「ハハ、言うと思った。この後、まず 豊君に訊く事から始めるとすっかな!」その返事に、彼女も喘ぎ交じりに頷いた。
口唇愛撫(クンニリングス)による高めの行為も好い感じ。秘溝の潤いも増して、初美の身体の雰囲気が 交合を求めるそれになった事を、この二年 付き合って来た中条は、気配で理解できる様になっていた。トレーナーの下方を下ろし、股間を露わにすると彼は訊いた。「初ちゃん、そろそろか?」
昂りに酔い始めた風情の初美に、一瞬冷静な表情が戻る。「良いわ、来て・・」頷いた男は 又も女の下方に分け入ると、礼儀を知る竿の先で秘溝の合わせ目を捉え ゆっくり中へと滑り込ませる。まず亀頭 次いで竿の幹が 浅い下草に囲われた秘溝に消え、それと共に 肉壁が竿の幹を囲んで迎え撃ちにかかる。
「あっ、あはぁ~ん!」一際大きな喘ぎ。亀頭の先端が、子宮口に達した証(あかし)だろう。のしかかる中条の腰に、下から初美の両の脚が組みつけられ、がっしりと力が込められる。中条の側にも愉悦が乗り移り、否応なしに腰の動きを求められ。「よし、好いぞ好いぞ・・」続く雨音を聴き 動きながら、男は呟く。「まだ少し、話はあるが・・まあ良い。昇ってからでもできるさ。宿も交通(あし)も、明日対処すりゃ、何とかなりそうだ・・」
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 若瀬七海
今回の「音」リンク 「エターナル・フィールド(Eternal Field)」 by中村由利子(下記タイトル)
Etarnal Field