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情事の時刻表 第24話「隘路(あいろ)」


徐々に山が深まる JR紀勢東線を、女医・小町と総合予備校の教え子・豊の乗る 臨時特急列車「紀伊81号」は、川沿いの隘路を選ぶ様に右へ、左へとカーヴに沿って車体をくねらせる様に進む。

平地と異なり 全速前進とは行かないが、そこは「特急」の名に恥じず、そう速度(スピード)を落とす事なく進んで行く。その代わりであるかの様に、電化されないローカル路線の武器たるディーゼル・エンジンの唸りは高くなり、車輪が線路の(継手ジョイント)を叩く「ダダン、タダン!」なる馴染みの走行音も 増幅して聴こえる気がした。

中京圏の中心都市「N」から、美波のいる病院の在処(ありか)であり、豊の故郷でもある M県の漁師町 北紀(ほっき)町への行程のほぼ中間「勢和多気(せいわたき)」という駅から、列車は平地に別れを告げ 少しずつ紀伊半島中の山間へと分け入って行く。ここから目的地最寄りの 北紀長島までは、特急で 1時間弱。勢和多気では、列車の乗務員も全て交代する・・と言っても、運転士と車掌が各 1名だが。

この日 交代した車掌は、小町と面識ある 津田という男だった。中条よりやや後世代の 四十代前半位の年格好ながら、豊並みの 180cm近い上背で、白基調の車掌長ユニフォと制帽 黒の短靴を隙なく着こなした、やや細身 アスリート風の好人物である。「本荘先生、今日も有難うございます!」途中駅からの、特に自由席客向け検札と 俗に「ノリホ」と呼ばれる車内補充券の発売をこなす傍ら、小町と豊の乗る 2号車グリーン席も 当然巡回してきた。隣席の 豊の下方に手を遣っていた小町は、直ぐにそれを戻すと 挨拶の声をかけてきた津田に小声で話しかけた。

「乗務ご苦労様。悪いですけど、彼の気分がちょっとだけ優れなくて ちょっとの間 トイレがかかりそうなの。あたしも様子見の必要がありそうだから一言お伝えしといた方が良さそうな風なんでね」 「お知らせ有難うございます。どうでしょう、救護処置とかは必要でしょうか?」 「大丈夫。それには及ばないわ。ご存じだろうけど、あたしも彼も 次の次 北紀長島で降りますから。あたしね、今日から明後日まで 長島の中央病院へ出張なの。だから、彼も様子見て一緒に連れて行きますから。ただ、トイレがそうなるかもだから・・」

小町の話に束の間 耳を傾けていた津田だったが、言葉が区切られると「了解しました。お医者様のお言葉ですから、信じておりますよ。トイレのご用はお話通りで OKですが、ちょっとでもお気になる事がありましたら 直ぐにお知らせをお願い致します」 「勿論!それはちゃんと致しますわ」 「そちらも ご理解有難うございます!では・・」津田はそう返すと、車内巡回に戻った。

世間で言われる 三連休の初日とあって、列車の普通席は九分通り埋まり グリーン席といえど、ほぼ 2/3の乗車がある。乗務員の了解があるとはいえ、余り長引いては不味いのも事実だ。津田が他の車両に移るのを見届けて 又も豊の股間の辺りに左手指を走らせ始めた小町だったが、彼の方を見据えると、きっぱりとした感じでこう言った。「豊、ちょっと行って来よ!」「はい・・でも、どこへ?」「勿論 あそこよ、あそこ!」 「あそこって・・うわ、マジですか?」

「ふふ・・ねぇ、豊・・」ニヤリと微笑を浮かべ、小町が言った。「聞いた話だけどさ、この夏 美波と一緒に N市へ戻る時、列車トイレで好い事があったらしいじゃないの。あたしにゃ大体分かるわよ。今からさ、その時みたいなのを 又やろうって事よ」これを聞いた豊は「いやぁ、知られてたか?」と、観念した様な風情だ。「まぁ、仕様がない。全部話して 聞いてもらおうか・・」という気になって行った様だ。

グリーン席の客たちは よく知られる様に、落ち着いた裕福そうな人物が主だった。自治体幹部や地方議員、医師や法曹関係者など 社会的立場のある人物、それに現役を引退して悠々自適の熟年夫妻・・などなど。静かそうなのを幸い、小町と豊は 静々トイレへ移動していく。「さっ、今の内よ!」「ハハ、今の内ですね。分かります・・」幸か不幸か、二人の乗る 2号車のトイレは空室であった。

もつれ合い 折り重なる様に入室すると、改めての 挨拶の接吻(キス)。途中から、舌技を交えた濃いものになり、小町は洋式便器に腰を下ろし「さぁ、又見せてもらおうじゃなないの」と言葉を継ぎながら 豊のジーンズのジッパーを下ろすと、左手指を開口部から中へと滑り込ませて行く。「う、うぅ・・せ、先生!」仕掛けられた豊は 叫ぶ様に反応するも、列車の走行音やディーゼル・エンジンの唸りに遮(さえぎ)られ、殆ど小町の耳には届かない。

豊の下方・前開きに滑り込ませた左手指が、既に礼儀を正した若竿を連れ出す。「ふふ・・」女医は又 ニヤリと微笑した。「やっぱり、若い竿は良いわぁ。大きさと堅さが違うのよ。あぁ、これが寝室だったらなぁ・・」些か惜しむ様に言った。「先生のお言葉、何となく分かります。ここじゃ、そう上手くは行きませんもんね」 「まぁ、そんなとこ。でもね・・」「はい・・」 「その途中までは味わえるわよ」そう言葉を区切ると、小町は 眼前の竿にいきなり食らいついた。

「うっ、ふうっ、はぁっ!せ・・先生、と、とても好いですぅ!」女医の口唇に仕掛けられ、怒張の度を増す竿を何とか抑えながら、豊は呻きながら反応した。我慢液がジワジワと小町の口内に放たれ、強さを増す舌技に 否応なく高められて行く。

「さぁ豊、時間がないのよ。早くイって欲しいわ!」 「あ、いや・・ち、ちょっと待って下さいますか?このまま昇るのは、先生に失礼だし~」

「豊、大丈夫よ。別にあたしに失礼じゃないわ。さっきも言ったけど、とに角 時間がないの。だから、早く昇って欲しいのよ!」 「わ、分かりました。先生のお話し通り 何とか早目に昇る様に頑張りますぅ!」頬まで高潮させながら、豊も熱く反応した。かなりの揺れに見舞われながらも、女医の巧みな口舌と手指の技に導かれ 昇って行く。そして・・「うぅぅっ、の・・昇るぅ~っ!」口内に、白く熱い男精が放たれた。

「あぁ、豊・・中々良いじゃないの。男精(ザーメン)の味もね」小町は又、ニヤリと微笑んだ。豊が果てた後、再び竿を口舌で清める「掃除フェラ」を見舞う。「先生、それで・・」今まで仕掛けられていた豊が、声を上げる。「はい、何?」女医が返すと「有難うございます。・・で、自分だけ気持ち良くなっちゃってもいけません。何とかお返ししないとね」

「まぁまぁ、余り気にしなくて良いわよ」と小町が返すも「いやいや、そんな事ぁできません。どうしてもお返しをしないと!」そう言った豊は、女医のタイト・スカートを股間の位置まで捲り上げると その両脚を抱えて「マングリ返し」の要領で便器の上に据え、露になった股間から、ショーツを剥ぎ取りにかかる。着けるストッキングは、ショーツと共に濃色で、予備校に通う豊や周(あまね)、健(たける)や徹も好感のサスペンダー型だ。「あ・・何するの?」抵抗の間もなく、女医の下方が露にされ、赤みを帯びた秘溝に 豊の口唇が合わせられて行く。

「あぁっ、はぁっ!ふっ、ふっ、ふうぅ~ん!」小町の喘ぎと、豊の口舌が彼女の秘溝の合わせ目をまさぐる「ジュルジュル・・」なる愛撫音が発せられるも、それらを上回る列車の走行音のせいもあって、辺りには殆ど聴こえない。下車駅の 北紀長島までは、後半時程だ。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 愛知県内に入る特急「南紀」(物語中・特急「紀伊」のモデル) JR永和駅西詰 愛知県愛西市 2018=H30,5 撮影 筆者
今回の「音」リンク 「ミラージュ(Mirage)」 by久石 譲(下記タイトル)
Mirage

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