2ntブログ

記事一覧

情事の時刻表 第55話「企図」

e4ac3b52.jpg
「ふふん!」と鼻を鳴らしながら、木下由香は、妹・由紀の 些か呆れた企(たくら)みに反応していた。「・・まぁ、ええやろ。アンタがどうしても言うなら、あたしは反対せぇへんわ。後はほれ・・初美先生がどうお思いか、やな」 聞いた由紀は「うん。お姉ちゃんからそれ位は言われる思うとった。そやけどな・・」 「何や?」 「何かな、先生は拒否られん様な気がするのも事実やな」 「そか。まぁ勝手に都合の良い解釈はせん事やな。強引にすると、後が面倒やで。分かるやろ?」 「あぁ、分かる分かる・・」

そうこうする内に、トレーナー上下を着た中条、次いでバス・ローブ姿の初美の順で浴室から上がって来た。彼は言った。「二人、お先にな。狭くて悪いが、まぁゆっくり入って来てくれ。酒食を用意しとくからな。おっと!由紀ちゃんは酒気(アルコール)NGだから、ソフト・ドリンクな」 「はい、有難うございます。ほな、お言葉に甘えます~」 次いで初美とも会釈を交わし、姉妹は脱衣の上浴室へ。

全裸で互いの身体を流し合ったり、交代で浴槽を使ったりしながら、姉妹の会話は続く。「なぁ、由紀・・」切り出したのは、姉の由香の方だ。「はい、何ぞ?」妹が返すと 「アンタ、今夜は伯父様と一緒にお風呂使えへんから、ちと残念なんと違うか?」と続けた。聞いた由紀「あぁ、まぁ ちっとはその想いもあるけど、何せ将来一緒の仲の初美先生がご一緒じゃ ちとやり難いしなぁ。それと・・」 「何や?」 「ほれ、さっきの件やて。寝室でさ、先生と伯父様が交わるとこへ あたしらも入らなあかんやろ?」

「何かなぁ・・」 呟く様に、由香が応じた。「伯父様とは今まで 結構深い事もしたけどさ、先生とご一緒とあっちゃ、ちと難しいモンがあるな。それでさ・・」 由紀「はい、何でしゃろ?」 「アンタ その企み果たす為にさ、伯父様と話はしてくれるんやろな。あたしゃ、ようせぇへんで~」 「分かった分かった。その辺は何とかするさかい、まぁ見とったってや~」 姉はようやく頷いた。勿論 頭の片隅の蟠(わだかま)りが消えた訳ではなかったが。

半時程の入浴を経て、女たちはバス・ローブを纏い 7pm過ぎから遅めの夕食。部屋は程良く暖房が利く。姉妹の内飲み希望が通り、中条手持ちの赤ワインが開けられ、酒気の許されない由紀はジンジャー・エールでの参加。洋風総菜複数とフランス・パンで食が進み 締めくくりは中条が入手しておいたメロンが甘口リキュール「グラン・マルニエ」を、由紀の分だけは G県産の上質蜂蜜を纏って振舞われた。

「ご馳走様でした!あぁ、好い余韻やなぁ・・」 夕食が一応の幕を迎えると、片付けの応援を果たした由香は今のソファに 気持ち良さそうに寝そべった。それを見た由紀「お休み中邪魔して悪いなぁ!お姉ちゃん 寝たらあかんで!」と 些か呆れ気味に声をかけた。姉は「大丈夫や。あたしゃアンタと違(ちご)うて、美食(グルメ)したって 寝たりはせぇへんわ!」 「ほう!そりゃ良い事っちゃな。さてと、そろそろ先生と伯父様がここへ来はるな。ほな、その時に 例の話をしてみるって事で・・」 「ふふ、なぁ由紀・・」 「はい・・」 「上手くやれや」 「はい、そりゃもう・・」姉妹の会話が区切られるや否や 初美が入って来た。

彼女は訊いた。「あぁら二人、TVも点けずに何を話してたの?」 「あぁ、お先に失礼してます。まぁ、そう大した事やないですよ。明日はマルちゃんの可愛い息子の子犬と会えるから、良い夢が見られるとえぇなぁ・・なんて話をしてましてん・・」 「そうよね~!今回ここへ来た最大の目的はそれだもんね。明日は 良い面会になる事を祈ってるわ」 「おおきに。有難うございます!ホンマ、今夜は良い夢見て 明日はいよいよワンちゃんもろて、一緒に帰れるって寸法ですわぁ~!」

「お~、盛り上がっとるな。ちと邪魔しちゃ悪い・・かな」暫くして中条も合流。引き続き、明日の姉妹と子犬の話題が続く。暫く TVの出番はなさそうだ。「あのマルちゃんとサンコちゃんの間の子やから、可愛いのは間違いなしや!」 「せやせや!で、先生も伯父様もご覧下され。ワンちゃん連れ帰り用の旅行ケージも用意してまっせ」 聞いた中条は「うんうん。想像はしておったが、感心な位ぇ周到だな。そうそう、家帰り着くまで用心して・・な」

中条のこの言葉に由香は「おおきに、有難うございます!左様(さよ)ですねぇ。明日は可愛いワンコを家まで連れ帰らないけまへんから、あたしらも嬉しけど ラストまで締まって行きまっせ~!」「ハハ、良い心がけだな。よろし!俺も応援するぞ。勿論 初ちゃんもな」そう返し 中条が初美の方へ振ると、彼女もはっきりと頷いた。

「ホンマ、今夜はお蔭でえぇ夢見られそうですわ」笑顔で続ける姉妹。それから由紀が「・・でですね、伯父様」と中条に言ったのだが、纏っていたバス・ローブの胸元をはだけ、その下に着けたベージュ色のブラが見える様な出方が、明らかに思わせぶりだ。「これは・・」と、男は思った。「由紀ちゃん、何か考えとるな。はて、何が望みだ?一体・・」

「今日はな、由紀ちゃん・・」努めて冷静に、中条は返した。「初ちゃんの手前もあるんだが、明日が大事なんで あっちの事ぁ見合せよう思ってたとこでな。」「あは、左様(さよ)でっか。そら残念でんな。まぁ先生も居てはるし、そないな流れいうのは分かります。それでね・・」「うん、何かいな?」「多少のお願いがありますんですが・・」「何だ?いつもの由紀ちゃんらしくねぇな。訊き難い事かよ?」と、男は柔らかく しかし糾す様に訊いた。

由紀「えぇ、その事です。で・・」中条「訊き難い話は分かったよ。俺ぁ何聞かされても怒らんし驚かんからさ、ズバリ本当の事を言や良いんだ・・」と返して、彼女の魂胆が読めた気がした。「つもりは何となく分かった。ちょっとだけ待て」由紀が頷き返したのを確かめて、男は「初ちゃん・・」と声をかけた。「はい、何?」彼女が返すと「ちょっと、そっち行くわ・・」と、対面に座る女に、そっと耳打ちした。

「初ちゃん、ちょっと良いか?」「えぇ、良いわ・・」「今夜はさ、あの姉妹と俺は、間違う事ぁねぇ。その代わり・・」「続けて・・」「よしゃ、ならば・・」一度言葉を区切ると「その事だが・・」と続けた。「つまりはだな、彼女たちは 貴女と俺の『あの行為』を見たがってんじゃね?って思う訳よ。俺、勧めるつもりねぇけど、貴女はどうよ?」

「!・・」当然の事だろうが、囁かれた初美は、一瞬その美しい表情を強張らせた。「困った娘(コ)たちだわ。でも・・」一瞬の困惑を経て、彼女の思考は回り出した様だった。「あれは、確か・・」そう、この年の 5月連休にあった 新潟方面への行程にて、宿で中条との交わりを姉妹に見られていたのだ。その時は、そればかりではなかった。姉妹の友人にもなった 教え子・周(あまね)とその恋人・宙(そら)にも同じ場面を目撃されていたのだった。

「新(しん)さん、分かったわ・・」初美は観念したかの様に呟いた。「彼女たちに『あの行為』を見られたの、初めてじゃなかったわね。そういう事なら、望みを叶えたげるの 吝(やぶさ)かじゃないわよ・・」 呟きは中条にも聞こえた。「有難とよ・・」彼は軽く一礼し、姉妹にその反応が分かる様にしてやった。「やったな・・!」笑顔を見合わせて頷く姉と妹の様子がはっきり見て取れた。

食後の寝酒と飲料が区切られると、中条が言った。「そいじゃ、そろそろ暖機にかかるかな。初ちゃん、並んで座れる長いソファに行こうや。おっと!美人姉妹さん、用意が良いな。もう席替え準備かよ?」 「当然ですがな。あたしたちの、ちと無理なお願い聞いて頂いとるんでいさかい。なぁ由紀!」姉が言えば、妹も「激しく同意です!」 初美と中条、由香と由紀の姉妹は、ソファの位置を入れ替わる。姉と妹が、招く側の単座のソファに分かれて座り、事の進行を見守った。

確かに、姉妹の眼前で「行為」を進めるのは些か抵抗がなかったと言えば嘘になるだろう。だが一方で 同意の以上、後退できないのも事実だ。「じゃあ・・」男の呟きを合図に、二人は接吻(キス)と両腕を回し合っての抱擁から入る。次第に舌技も加わって、濃厚なそれへと移る。合間に、初美の微かな喘ぎが聴こえる。「好いなぁ・・!」由香はこっそり、隣の由紀に声をかけた。頷き返す妹に「どやろ?このまんま、ソファの上で行くとこまで行くんやろか?」 聞いた由紀「う~ん、微妙と違うんかな。やっぱり、下の技は、ベッドで決めはるやろ。それでないと・・」

由香「まぁ今は言わんでええ。もしもや、ソファの上で重なって決めはったら、アンタがやり難いやろ」 由紀「流石はお姉ちゃん!痛いとこを突くなぁ・・その通りやで。できりゃベッドで決めてくれはった方が、あたしゃ好都合なんやけど・・」 「まぁ焦るなや。そないに都合良う行くかどうか分らんやんか・・」そう呟き合う間にも、初美と中条は高まって行った。彼の手が襟元に忍び込み、中にある胸の双丘を探り出した。「あぁ、焦らないで・・」甘い喘ぎと呟きが、更に男の情念の火に油を注ぐ様な。そして・・
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 唯井まひろ
今回の「音」リンク 「ロング・ロング・アゴゥ(Long Long Ago)」 by中村由利子(下記タイトル)
Long Long Ago

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hakase32

Author:hakase32
愛知県在住の後半生男です。恐れながら、主に18歳以上限定内容を記して参ります。

お手数ですが、拙各稿を初めからお読み下さる場合は、下方にあります月間アーカイブ他のご利用をお願い致します。
他ブログを含め、拙記事の無断転用及び引用は ご遠慮下さい。

下記ランキングに参加しております。
クリックをお願いできれば幸いです。

官能小説ランキング

アクセスカウンター

愛と官能の美学

Shyrockさんの R18読み物集。他の作者各位も多数リンクされています。入口は、下記タイトルです。

赤星直也のエロ小説

赤星直也さんの R18読み物集。入口は、下記タイトルです。

未知の星

赤星直也さんの R18読み物集もう一つ。他の各位の作品も収録されます。

Mikiko's Room

Mikikoさんの、カテゴリー豊富な R18読み物集。独自視点の旅日記も好感です。

Adult Novels Search

R18 読み物の検索サイトです。

ブロとも一覧

拙バナーです

知人様より、優れたバナーを賜りました。必要時はご利用を Produced by Shyrock

もう一つの 拙バナーです

知人様ご厚意により、拙バナー追加編も賜りました。必要時はご利用を。 Produced by Shyrock

清き一票を(笑)

下記ランキングに参加しております。

日本ブログ村バナー


にほんブログ村 →できますれば、こちらも応援を・・

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

月別アーカイブ

これまでの拙連載「想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密(2016=H28,9~10)」と「轍(わだち)~それから(2016=H28,11~2017=H29,2)」  「母娘(ははこ)御膳(2017=H29,3~6)」  「南へ・・(2017=H29,6~8)」 「交感旅情(2017=H29,9~12)」 「パノラマカーと変な犬(2018=H30,1~5)」  「ちょっと入淫(2018=H30,6~10)」 「情事の時刻表(2018=H30,11~2019=R1,6)」 「レディオ・アンカーの幻影(2019=R1,11~2020=R2,5)」 「この雨は こんな風に聴こえる(2020=R2,6~2021=R3,3)」も お読み頂けます。