レディオ・アンカーの幻影 第44話「不問」
- 2020/05/01
- 13:48
「離れて良いわ・・」絶頂後の心地良い余韻を経て、呟く様な由香利の言葉を確かめた前嶋は、彼女に重なっていた上体を起こし、次いで下方の結合をゆっくりと解きにかかった。まだ熱気と湿気を帯び 堅さを守った竿(コック)が、朱(ルビー色)に染まった秘溝から静々と抜き離された。
「やはり・・」彼は思った。「理乃のそれより、明らかに落ち着いた色合いだ。勿論魅力有りだけどな・・」 もう一度上体を屈め、M字開脚で露わな秘溝の合わせ目に唇を寄せて行く。もうすぐ、彼が膣内に放った男精が ゆっくりと流れ下って来るはずだ。舌も挿し入れ、そうなる事を促す。三回程出し入れすると、白っぽい色合いのそれが ゆっくりと姿を現した。
「のぞみさん、待って!」傍らから覗き込んでいた理乃が、鋭く反応した。「最初は、あたしよ」 男精を口に含んだせいで上手く言葉を発せない前嶋に、理乃は己に唇を重ねる様促す。悟った彼は大きく頷き、半開された理乃の口内に、まだ温もりの残るそれを流し込んでやった。「あぁ、素敵・・」ゴクリと飲み下した彼女は、思わず呟いた。
「のぞみさん、狡いわ・・!」由香利、鋭い静かな一言を以て 抗議の視線を前嶋へ。「ど~も済みません!強く出られまして、つい・・」平身低頭、謝る仕草を送る一方で彼は又 由香利の露わな股間に顔を埋める。秘溝から、続いて精液が流れ下って来ていた。舌で遺漏なく掬い取る彼であった。
「二番なのはご免なさい。では・・」と今度は、由香利の口元に近づく。直ぐに唇を寄せる彼女。前嶋は理乃にしたのと同様に、今度は由香利に口移しで精液を送り込んだ。「あぁ、ダメかなあ・・?」彼の脳裏に、そんな呟きが駆け巡った。「彼女二人、平等に接したつもりだけど、さっきは理乃ちゃんの押しが強かった。絶頂までは好い感じだったけど、由香利さん、白けちまわなきゃ良いんだが・・」暫く、静かに様子を見ようとしたその時・・
「程好い濃さで好いわね・・」由香利が反応した。「何やら、変な褒め方だな」と思いながら前嶋は「有難うございます。それにしても、俺の発射がこんな風に褒められるなんて、ちょっと想像外でした」苦笑しながら返した。「良いのよ。ホント、さっきの『昇り』は素敵だったわ。私、本気でイっちゃった!」 「そう感じて下さりゃ、俺も嬉しいです。今夜はもう一人いましたし・・」 「そう、それもよ。初めはどうなのって思ったけど、今は理乃さんも加わってくれて良かったわ」 「有難うございます。あたしにも素敵な時でしたわ」理乃も、まだあられもない姿態を晒す由香利に一礼した。
「さぁ、それじゃ・・」会話の間合いをみて、前嶋が言った。「そろそろ寝る前のシャワーお使い下さい。で、由香利さん・・」 「はい、何かしら?」 「もう一度だけ、接吻(キス)してよろしいか?」 「ふふ。どこに?」 「はい。それはその・・ですね」と言葉を継ごうとするのを、横から理乃が遮った。「そりゃあ、アソコですよ!」 脚を開いて訊いていた由香利も、思わず微笑んだ。
「分かった。さぁ、来て・・」促された前嶋は、もう一度由香利の股間に顔を寄せ、秘溝に口舌を合わせて行く。云わば「お掃除クン二」の要領で、好い色に染まった秘溝を丁寧に舐め取って行った。「あぁ、好いわぁ・・」時折 低い喘ぎを交えて、由香利はその施しを受け入れた。それが終わると・・
「さぁ、お返しよ・・」今度は、由香利による前嶋の竿への答礼だ。「ズプッ、ズプッ・・」と微かな愛撫音を伴い、暫し濃厚な口舌愛撫(フェラチオ)が振舞われた。少しおいて理乃も「由香利さん、お玉袋頂いて良いかしら?」と理乃の一言。「OKよ!」既に竿を咥え込み、言葉を発せない由香利が、頷いて返す。それを確かめ、理乃は由香利と並んで 前に膝立ちする前嶋の陰嚢を口舌でソフトに攻めた。
極上の愛撫が区切られると、脱衣の三人は一緒に浴室へ。ここでも、前嶋の竿は二人の女にじっくりと攻め立てられた。射精を経ても 又も昂らされた前嶋だったが、辛うじて凌ぎ切った。もう酒気も十分に巡り、夜着に替えた三人は、冷茶での乾杯を経て、ダブル・ベッドに横一列で就寝。こっそり手を伸ばしてみると、両脇の女達は悉くノー・ショーツであった。「良かった。俺もノーパンで・・」などと思っていると、どちらからともなく女の手指が伸びてきて「ギュウッ・・」と彼の竿を掴み、締め付けた。次いでもう一つの手指が、陰嚢を包み込む様に取りつく。どちが由香利か理乃かは分からなかったが・・
「これは・・」女達の愛撫の手が停まっても、前嶋は考え続けた。「由香利さんとの事は、これで暫く距離を置いた方が良いかもな。あの陰部(オマンコ)の感じだと、多分既婚だろうな。確かに魅力の名器だけど、旦那やお子がおわした場合、そこまでせん方が良いのも事実。それよりそんな背景なしの、理乃との間柄を深めた方が、率が良いわ。きっと・・」 彼の脳裏に、由香利との事共を「幻影」にした方が良いか・・との思案が始まった瞬間であった。背後に流れるは勿論「ラジオ深夜館」。この夜は金曜夜恒例の 「阪神発深夜館」だったが 2am代からの放送は、怪しい記憶であった。
「お早うございます!」いかにも「昼女」なる風情の、理乃の明るい挨拶で 翌 7/13土曜が始まったのは 9amに近かった。最初に起きた彼女は、もう眼鏡顔と上シャツにジーンズの平装に戻っている。「のぞみさん、お早う・・」続いて別室で着衣を整えた由香利も現れた。彼女も又、薄手のアッパーにガウチョ風パンツの外出着姿、それにサングラスを着ける。午後に迫った帰京に備えているのだろう。前嶋も急ぎ着替え。彼は淡色のトレーナー上下姿である。
「とりあえず、朝(食)行きましょうよ」二人の女を促す前嶋。至近の金盛公園傍の、馴染みの喫茶店へ案内。「中々の散策コースね」少しく感心の由香利に 「そうですね。暫く住んでみると、良い所が分って興味深いんです。ホント『住めば都』の意味が分る様な気がします」 「貴方の大好きな、鉄道撮影もできるしね」 「有難うございます。それ、事実です」と話を合わそうとすると、理乃が割り込んで来る。「のぞみさん。程々にね。でもあたしも、近所に買い物場所とか見所もあるから、気に入ってるんですよ」 当たり障りのない会話で、午前が終わった。
昼食を兼ねて再び前嶋の居所へ戻って暫く、いよいよ由香利が帰宅する時が来た。首都圏へ上る東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」の乗車率が総じて高く 混雑し易い事を知っていた前嶋は、由香利に 2pm代半ばの「臨時のぞみ」に乗る事を提案していた。彼女はその助言通りに乗車券や指定券を入手していたので、行程にも余裕が得られ、焦った様子は見られなかった。
「理乃ちゃん・・」彼は言った。「彼女を中央駅まで送って進ぜよう」 「勿論!同意よ」直ぐに賛同が得られ、きっかり 2pmに三人は発った。ここから JR中央駅までは小半時である。天気は曇り。早ければ夕方から降雨予報が出ていた。「都内まで、降られないと良いですね」前嶋が声をかけると、由香利「お気遣い感謝よ。まぁ、ここまで余り天気で苦労してないから 今日もそれを信じるわ」 そして理乃は「のぞみさんが『降られる』の慣れてるから、きっと大丈夫でしょう!」口を挟むと、三人の間から笑いが漏れた。
「有難うございました。お気をつけてどうぞ!」 「こちらこそ感謝よ。とても良かったわ!」新幹線プラット・フォームで区切りの挨拶。次はいつとは言えないが。乗降ドアが閉まり、挙手で見送る二人が視界を去るまで、由香利はデッキから離れなかった。白い装いの N700A系新幹線編成の後尾が視界から消えると、二人はようやく駅を後にした。「今日の続きは、又今度・・」中央駅近所で買い物のある前嶋は、そのまま JR在来線に乗り換え帰宅の理乃を見送った。彼女も又、降雨前に帰したかったのだ。
その年の 9月、前半は盛夏の延長で猛暑に見舞われたも、後半の朝晩には 流石に秋らしい涼しさに恵まれた。降雨も適量。まぁ快適な日々であった。前嶋の勤務先の事務方を担った理乃は、知人の仕事に加わる為 9月末で退社。同月後半は有給休暇消化の為、既に勤務を終えていた。
由香利を見送った夏の辺りから、前嶋の居所には 次第に理乃の身の回り品が増えて行った。衣料や洗面具、化粧品の一部などなど。中には生々しい下着類もあり、前嶋は一人の夜など、度々それらを自慰のオカズにしようとしては止める日々だった。彼女の髪型も、ボブ調の短めから長目のそれに変わり始めた様に感じられた。
9/26木曜と翌日金曜は、前嶋も有給休暇を取った。時折持たれる様になった、理乃と 夜の逢瀬を果たす為だった。この日の仕事を順調に終え、6:30pm過ぎに市営地下鉄・金盛駅で待ち合わせ、馴染み処での酒食を経て居室へ。シャワーと寝酒を経て、下着の上にバス・ローブ姿で夜の行為へと流れる所だった。11pmを回り、由香利が担当の「ラジオ深夜館」が始まろうとしていた。
「ふふ、のぞみさん・・」思わせぶりに、理乃が呟いた。「今夜は、由香利さんの担当日だから昂奮するでしょ?」 「あぁ、まぁね。この後はどうなるか分かりませんが・・」相変わらず、前嶋は曖昧に返して逃げようとした。「いやぁ、逃げようがないわよ。由香利さんの語りで、どんだけ昂奮するか見ものだわ」 「ハハ、そんな事で試されてるのか。そいじゃ、覚悟しといた方が良い・・かな?」 「まぁ余り身構えなくても良いわよ。所で・・」 「はい・・」 「この前途中だったお話って何かな?」 「それはね・・」
前嶋は、言葉を区切ると一つ深呼吸をした。「これまでの由香利さんとの事をさ、ひとまず幻影にしようと思うんですよ」 「ふぅん、つまり、なかった事にしたい訳?」 「いや、それとちょっと違ってね。この前の夜、彼女の『終わった後』を見たら、ちょっとアソコが落ち着いた色合いだったの。俺、不問に付したけど ひょっとして、人妻さんかな・・なぁんて思った訳ですよ」 「あぁ、その心配ね。旦那さんやお子さんがいた場合の後腐れがない様にって事かぁ・・」 「そうです」 「まぁ、そんなに心配は要らないってあたしなんかは思うんだけど、貴方が気になるなら同意するわ」 「ご理解有難うです。それに我々の将来の事もあるしね」 「まぁ、確かにそれも有りってとこよね・・」
「でも・・」と理乃は呟いた。「あの女性(かた)、素敵なお尻だったわ。肌も周りのカーヴもね。それと核心の菊花(おしりあな)よ。指や筆、綿棒で仕掛けていて、不惑に近い齢でよくこんな高いレベルでいられて羨ましいって思ったわよ」 前嶋「あぁ、分かる分かる。彼女の美尻は、美脚共々 俺も感じてましたよ。でね・・」 「はい・・」 「俺的には、暫くはあの女性(ひと)の事を幻影にしようと思うんだけど、人の気持ちは分からんのはご存知ですよね」 「まぁ、そりゃ・・」 「もしも又、お会いの機会に恵まれたら、よろしいか?」
「その事よ・・」理乃は静かに返すと、そっと前嶋に唇を近づけて耳打ちした。「夜の行動、あたしに彼女の下半身を弄(いじ)る機会をくれるなら OKよ!」 「了解。努力します!」 そして・・「今晩は。ラジオ深夜館です。今夜のお相手は、邑井由香利です。」オープニングを告げる 落ち着いた美声を聴きながら、二人は笑顔を交わした。
(おわり 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 緒方りお
日野皓正さんの今回楽曲「ズィス・プラネット・イズ・アワーズ(This planet is Ours)」下記タイトルです。
This Planet is Ours