この雨は こんな風に聴こえる 第22話「攻防」
- 2020/09/07
- 13:58
「わ、分かった。ゆ、宥海さん。でも・・あぁ、効くなぁ・・」前回と違って、ゴムを介す事のない直の繋がりを 黒木はこの夜、心底じっくりと味わいたかった。双方が、彼の好む下方が露わの半脱ぎ状態。多くの男女が全裸の所謂「スッポンポン」で行為を進めると聞くが、この所は彼は、一般と少し違うかも知れなかった。
それにしても、黒木の腰を下から捉えた宥海の脚力は 想像を超えて強かった。まるで蛇の様に腰を取り囲む様に組み付き、ガッシリと強く締めてくる。堅く礼儀を正す竿を捉えて締め付ける膣圧も相当なものだったが、両の脚はそれを超える力がある様に感じられた。「よく効く。そうだよな・・」上から宥海の背後に両の腕を滑り込ませて胸の双丘に顔を埋め、慎重に腰を起動させながら、彼は呟いた。「毎日のランニングは伊達じゃない。嫌らしい想像は分かってるが、こういう所に現れる訳だ・・」
照度を落とした 薄暗い寝室で、低い喘ぎと息遣いを交えながら、慎重な迪送行為が小半時程進められた。初めは驚かされた脚力も、少し慣れると程好い拘束感に魅了される黒木であった。それと共に「普段、画面でしかお目にかかれぬ魅惑のキャラが、今宵は腕の中にいる」愉悦も同時に頭をもたげてくるのだった。
「昇りたい!でも少しでも長く繋がっていたい・・」相反する二つの想いを、何とか上手く制御(コントロール)する必要に迫られてきた。腰の動きを休めず、その合間に 下にいる宥海の様子を窺う。小刻みな喘ぎと吐息を交互に交え、それでも黒木の昂りに 確(しか)とついてきている様子が 彼を一安心させた。
「あぁ、好い感じだ・・」一旦 腰の動きを停めて呟くと、緊張していた宥海の顔にも笑みが戻った。そして「恆(ひさし)さん・・」と呼びかけ。「はい、貴女も好い感じ・・かな?」 身体を攻め 貪っている手前、黒木は慎重に訊いた。宥海「うんうん、かなり。それでね・・」 「はい。聞いてます」 「今夜の貴方の出方って、この前よりずっと あたしと一つになろうって努力してるね」
黒木「そいつは感謝です。そうだね、俺も少しは気をつけてってとこかな」 宥海「それそれ。今ね、お竿があたしの『女』の中で、肉壁や粘膜がどんな風かって、探ってる様に感じるの。それって素敵な出方よ。あ、だからと言って、止まっちゃダメ。動いて・・」これは、動き続けると射精しかねない為、黒木が用心して停めたのだ。
黒木「そうですか。そう感じてくれると、俺も嬉しいな。そいじゃもう少し、この体位で動いて良いかな?」 「ええ、宜しくね・・」会話を区切ると、更に数分間程 正常位の交合が続いた。その後で・・「宥海さん。下ばかりじゃ疲れるでしょ。上と下、替わろうか?」 「それ嬉しいけど、本当は違うでしょ?」 「何が?」 「だって、さっき貴方はあたしの上で動いてる時、ずっと『効く、効くぅ~っ!』て叫んでたじゃないの。あれはあたしが、貴方の腰を両脚できつく締めたからでしょ。つまりそれから逃れたいって・・」
「ご免ご免・・」苦笑を交え、黒木が応じた。「確かにそれもあるかもね。でも俺、あの締め方は気に入ったんだ。何なら一晩中上でも良い位。でもそれじゃ、貴女が疲れるんじゃないかって・・?」 「あたしは良いわ。何なら朝まで下だって・・」 「うーん、そう出られると大きな事言えないけど、一晩中同じでもねぇ・・」 「ふぅん、つまり変化が欲しいんだ」 「それもある。貴女もその方が良いでしょ」
とりあえず、二人は正常位から体位を替える事にした。まずは上下入れ替え。黒木が仰向けに臥し、堅さを守る竿に 上から宥海の女芯が降臨、騎乗位で再び繋がる寸法だ。「俺が下から動くから、暫くじっとしてて良いよ」一応思いやる様な 黒木の囁きに宥海は「ふふ、そうは行かないわよ。気持ち良くなりゃ動くって・・」再び互いの「核心」を繋ぎ直すと、やはり宥海の言葉通り 動かない訳には行かなくなった。
「あっ、ああっ・・こ、これも い、好いっ・・!」黒木が下から動いて振動を加えると、それが分った宥海も、己の腰を揺すって同調してきた。「わっ、これも効くなぁ。余り強くすると、暴発しそう。まだまだ、昇る訳には行かんのだぁ・・」 騎乗位での繋がりも十数分間程。この夜何度目かの昂りを、ここも黒木は 辛うじて抑え切った。
「ふうっ、危ない危ない。二回昇りゃ良いってのはその通りだが、俺は是非 宥海さんの中にドップリと発射したい。安全日だって言うし、こんな機会(チャンス)はそうそうはないのだからな・・」そう呟いた黒木は、もう一度体位を替えて 何とか昂りを遅らせようと務めた。
「宥海さん、今度はね・・」腰の動きを停め、下から見上げると、黒木が言った。「嫌じゃなければ、もう一度体位を替えようかなって思うんだけど・・」 聞いた宥海「まぁホントに・・何か、絶頂に昇るの遅らせようとしてるんじゃない?好い感じだから、長く味わいたいってのは分かるんだけどさ・・」 「悪いですね。余り長く引っ張るのは NG・・かな?」 「夢を長く見ていたいってお気持ちは分りますよ。でも・・」 「はい・・」 「昇るのには頃合いってのがあるわよ!」 「まぁ、そうだよね。でも、もうちょっとだけ後。それはダメ・・かな?」
「あぁ、仕様もないわね。でも、そういう事なら 少しは理解したげようかな・・」宥海はそう言い、後一回の体位替えに応じる事に。そして「どうせ貴方は、今夜はまだしてない 後ろ(バック)からの攻めを試したいんでしょ。それなら、短いアンダーからお尻が半見えで大興奮!って寸法なんだ。何となく分かるわ」 「あ~あ、又読まれた。ほぼ『まんま』その通りやよ~・・」 「大丈夫よ。男の考えてる事なんて、大抵ちょっと見てりゃ分かるんだから・・」 黒木はもう、返答もできなかった。
「そういう事なら、さぁ 始めるわよ」宥海は、寝室に備えてある大きな立ち鏡が使われる事を分かっていた。つまり後背位(バック)での行為が鏡で見られる妻に意図していたのだ。これにも黒木は頷くだけの反応。そして宥海に やはり脱衣を求める事はしなかった。「ほら、やっぱり・・」
「悪いですね。分かってくれて、有難う・・」呟いて返した黒木は、ベッドに両腕を突いた なるべく楽な姿勢で宥海の背後を攻めるつもりでいた。傍らに立ち鏡を 方向を加減して、後背位での繋がりができるだけ観察できるセットしたのだ。「恆さん、狡い・・」それを見て、宥海が呟いた。「そのままだと、貴方からしか『核心』が見られないじゃないの?」
「それも悪い。後で角度を変えるから、ここはこんな感じで始めたい訳でして・・」そう返すと、ベッドに曲げた両腕を置き、スラリと両の脚を伸ばし を突き上げた臀丘に両の手を添え、黒木は再び繋がる態勢に。「早く!」叫ぶ様な、宥海の声。そして「早く、お竿を返して!」前屈みの姿勢。短いフレアのアンダーの裾からは、あらかた臀丘が覗き、捲らなくても繋がる事ができる位。これも勿論、黒木の好みだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・」立ち鏡の前で、黒木は宥海の背後に擦り寄ると、露わな秘溝から更なる秘液が滲む様を確かめた。「よく濡れてるな、今夜は・・」そしてゆっくり、竿の先で秘溝の陰唇を割り、静かに中へと進めて行く。微かな突き当りを感じた時「あ、はぁ~ん!」先程より濃くなった、宥海の喘いでの反応が聞こえた。LEDのペンライトでその部分だけをライト・アップした結合部が、くっきりと立ち鏡の中に認められた。「じゃあ、再開ね・・」横目でそれを確かめながら、黒木は又 腰を今度は前後に動かし始めた。
同じ頃、同じ金盛副都心の 黒木の居所から遠くない某所で、宥海の妹・麗海(れいみ)と 黒木の弟・存(たつる)の行為も始められていた。酒食とシャワーを経て、まずは小部屋のソファ上で、挨拶代わりの接吻。存が舌技を使ってやると、麗海はまず ニッコリと満足そうな笑みを浮かべた。「そうそう、初めから少し大胆に出てくれる方が、あたし楽しいの・・」 「そうですか。多分・・だろうと思った。少し大きく出て良かったよ」 「それって、ホストの時に勉強したの?」 「まぁ、そんなとこですね・・」こちらも会話から 深まって行った。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 彩乃なな
今回の「音」リンク 「雨音」 by 久保田利伸 (下記タイトルです)
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