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この雨は こんな風に聴こえる 第54話「相手」

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依然として猛暑が続く 8月の第二金曜夜、黒木の馴染み処に集まり 夜の酒食を済ませた彼と弟の存(たつる)、それに宥海(ゆうみ)、麗海(れいみ)の姉妹は、普段ならそうしがちな二次回に流れる事もなく 黒木の居所へと移動。時刻ははまだ 9pm代半ばという所だった。麗海の装いが緩めの他は、他の三人は薄手の上シャツにジーンズ、スニーカーという出で立ちだった。

「相変わらず暑いな。皆、少しは飲み直すだろ?」金盛の繁華街を外れ 薄暗い居所の敷地に入った黒木は 他の面々にそれとなく訊く。「いいやお構いなく。飲みたくなったら、適当で良いでしょ」まず応じたのは、弟の存。次いで宥海が「もう酒気(アルコール)は、なくても良い・・かな」と呟くと、すかさず麗海が「ああらお姉ちゃん、もう寝んねなの?つまんないから、もう少し飲もうよ」などと挑発を交えて促したりした。

黒木「まぁ良いや。飲み物(ドリンク)は一通りあるから、基本お任せって事で良さそうね?」 存「そういう事。狭いけど 暫く居間でダベッた後で、順次シャワー。それから TV観るなり寝るなり、各々の好きでって事で良いんじゃ?」 宥海「ふふ・・それって成り行き次第って事かしらね?」 存「そんなとこです。何なら、宥海お姉さんのお望みに沿ってって事で・・」 宥海「分かった。存君、随分期待してるみたいだから、ちょっと考えちゃおうかな?」どうやら、宥海は、黒木ではなく 弟の存と寝る事を視野に入れているらしかった。

一方の黒木、暫く黙っていた麗海の方を一瞥し「麗海さん、ちと飲んでたみたいだけど、大丈夫?」と問えば、響く様に「はぁ~い、大丈夫ですよ。恆(ひさし)お兄さんも、もう少し飲みたいんでしょ。あたしも同意。そしてね・・」 黒木「はい、何だろ?」 麗海「出来上がりレベルにはなりたくないけどさ、二人共好い感じで酔えれば、良い夢が見られるかもよ・・」 黒木「良い夢ねぇ。そやな・・夢は努力して良いのを見ないとさ・・」 麗海「誰と?」 黒木「あ、いやいや。それは後で・・ね」そう返しながら、並んで歩く宥海の方へも目を遣る。心なしか、彼女との少し距離が 少し遠ざかった様な気もした。

EVで上階に上がり、一旦部屋に落ち着くと、黒木「宥海さん、シャワー先にどうぞ。俺、風呂上りの飲み物(ドリンク)とか用意するから・・」 宥海「良いの?じゃあ、お言葉に甘えて・・」そう返しながら、洗面具のポーチを携え 浴室へ。これを見て黒木「麗海さんも、どうかな?」 「あたしは、後が良いな。そしてね・・」呟きながら、黒木の顔を見据えた。「そうか、分かった・・」鈍い彼も悟った。麗海は、あくまでも黒木とシャワーを使いたい様だ。「それじゃ・・」その様子を見ていた存が言った。「宥海お姉さんが嫌じゃなきゃ、俺、一緒に入って良いかな?」

一瞬「!」の想いが稲光の様に過った黒木だったが、直ぐに落ち着いた。そして「あぁ、それか。まぁ、宥海さんに訊いてみたら?」努めて冷静に返した。それを受け 存「宥海お姉さん、聞こえる?」と浴室に向かい声をかけた。中からは「わっ、入るの?嫌だなぁ!」とは言いながら、満更でもなさそうだった。つまり「嫌よ嫌よも、好きの内・・」と言われるアレだ。

「存君、嘘よ・・」引き続き、浴室から宥海の声が聴こえる。そして「OKよ!」と来た。すかさず存は「有難うです!お言葉に甘えます」と、喜び勇んだ様に脱衣し、浴室へ。「やれやれ、存(タツ)の野郎、初めから狙ってたか?」と呟くも、間もなく漏れ聴こえてきた歓声に「宥海さんも悪い気はしてないか・・」とも思ったものだ。勿論、不安が相半ばもしてはいたのだが。

シャワーを使う間中、巧妙な存の愛撫に 次第に宥海が高められる一方で、黒木は麗海の応援を得て、酒気や飲み物、お伴のナッツ・チャームなどを準備して行く。「氷は直ぐ出せるからね」などと 麗海の周到さに改めて驚かされる一方で、自らも四人分のグラスなどを並べて行く。目途がつくと、彼は TV番組のチェックを始めた。傍らには いかにもそれが当然の流れとでも言う様に 麗海が座る。

黒木「宥海さんと存、まだ盛り上がってるみたいね」 麗海「あぁ、結構楽しんでるんじゃない。盛り上がってりゃ良いわよ。それよりも・・」 「はい、何?」 「今夜は、姉の『香り』を愛でなくて良いの?」 「あはぁ!俺とした事が・・。飲み物準備で、一瞬忘れてた・・」 「それ、今夜は忘れて良いわよ。その代わり・・」そう言葉を継ぐと、麗海は長めのフレア・アンダーを捲(まく)り上げ始めた。

「恆お兄さん・・」 「はい・・」 「もしかしてだけど、あたしのこういうとこを覗いてみたいんでしょ?」 「ハハ、ちと露骨だね。でも、本音なのも事実・・」 白いフレア・ドレスの下方を捲り上げると、同色のガーター・ベルトと柄の入ったストッキングを纏った美脚が露わになった。麗海は更にソファ上で立膝の姿態(ポーズ)を取り、丁度 M字型に開脚の恰好と相成った。

「おお、素晴らしい!」 刺激的なその様を認めた黒木は、思わず腰を落とし、立膝の姿態で 麗海の股間に歩み寄った。下方は更に押し開かれ、白い臀丘と僅かに股間を覆った極小ショーツも目の当たりに。恐らくは Tバックだろう。「ふふ、恆お兄さん・・」 挑発そのものの、股間を大きく開く姿態を見せながら、麗海が続けた。

「あたしね、これを今朝から着けてるの。もう姉の脱いだのを狙わなくて良いわよ。『香り』なら、こっちの方がずっと良いはずよ。さぁ、もっと鼻を近づけて・・!」 「愚かだ・・」とは思いながら、促されるままに己の鼻を露わな股間に近づける黒木であった。

「あぁ、好い。確かに・・」 辛うじて秘溝を覆う 紐の様な「T」の食い込みに鼻を近づけ、汗やら聖水のものがブレンドされているだろう「芳香」を、黒木は暫し味わうのだった。「好いよ、麗海さん・・」 何度も、何度も股間に鼻を走らせながら、黒木は呟いた。「ホント、良い香り。もしかすると・・」そう呟きかけて、ハッと我に返り、やめた。「宥海お姉さんより、ずっと好い・・」そう呟きかけていたという事だ。

「ねぇ、恆お兄さん・・」穏やかに、しかし深い所で畳みかける様に 麗海が言った。そして「今、香り立ってるこの時 接吻(キス)してくれる?」と続けた。黒木とっては、正に望む所。「喜び勇んで」と行きたい所だが、そこは一旦回り道する事に。「ふ~ん、朝からかぁ・・」と、わざと浮かぬ顔をしてみせた。

「何よ、お兄さん・・」ソファ上で開脚したあられもない姿態を晒しながら、麗海が言った。そして「あの『香り』は、強い方が良いんでしょ?花みたいにさ・・」 聞いた黒木は、ここらで本心を出そうかと画策していた。「あぁ、アハハ。確かにね、花の香は強い方が良い・・か。そして、貴女のも・・」そう続けながら、ショーツ越しに 股間に唇を寄せた。

「あぁ、ん、ん・・い、好い」股間に接吻を得た麗海、漏れる様な喘ぎを途切れ途切れに表し始めた。もう匂いも染みも関係ない。黒木は舌も使い、ゆっくりとショーツ越しに 麗海の股間を舐め回し始めた。「うん。こ・・これも好い。好い感じだ・・」 宥海と存は、まだ浴室で戯れている様だ。「あぁっ、んんっ。ひ・・恆お兄さん。や・・やっぱり、ペロペロが上手。素敵。あっ、あぁぁっ!」

こうなると 下方の愛撫を始めた黒木、もう股間だけに対象を留める理由はなかった。「よしっ、そろそろ 太腿から脚の方も攻めてみるかな・・」 口舌の標的は、股間から太腿、そして膝から足先へと移って行った。「うん、凄く好い!いや~、こんな美脚を味わえるなんて、今更気がついてる俺も、よくよく鈍いな。宥海さんのも綺麗だが、こちらはそれを超えるかも・・」 もしかするとだが、本命だと思っていた宥海から、妹・麗美へと心変わりを始めたかも知れぬ、とふと思う黒木であった。窓外に雨音がする様に感じられる 夜の一時であった。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 東京方面から JR名古屋駅へ進入する 東海道・山陽新幹線。名古屋市中村区 2018=H30,1 撮影、筆者
今回の「音」リンク 「雨の木曜日(Rainy Thursday)」 by東京スカ・パラダイスオーケストラ (下記タイトルです)
Rainy Thursday

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