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轍(わだち)~それから 第19話「触診」

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「ん・・何だ、これは?」自身では、本当に「ウトウト・・」位のつもりだった中条。天下の美酒の残り香があったとは言え、一応は覚醒した彼の隣には、いつの間に着替えたのか、白衣に黒ストッキング姿の本荘小町(ほんじょう・こまち)が座っていた。しかも、多くの男たちがある意味で憧れる、ナース・キャップを頂いているではないか。

「中条 新(なかじょう・しん)さん。ようこそ、夜の養護室へ・・」女医 小町の艶かな挨拶だ。「宜しく、お願いします」男、そう返す。
「もう少ししたら、さあ、診察を始めます。もう一杯、如何?」 「有難う。頂きます」中条は、小町の言葉に甘え、極上のマーテル・コニャックをもう一杯だけ味わった。「いや~、凄い!極楽だわ・・」 「ふふ、この後、もっと好い極楽があるわよ」女医は、こう囁いた。

「小町先生」 「はい。『先生』はなしで好いわ。何なら呼び捨てでも」 「いやいや、そんな勇気ありませんで。じゃ、小町さん・・かな?」 「まあ、好いでしょう。じゃ、貴方は、下の名だけでお呼びしていいわね」こう言われて中条「ええ、まあ・・」曖昧に答え。背後にあるは、やはり、今は本命の伊野初美(いの・はつみ)への負い目だろうか。「初ちゃん、許せよ・・」

中条「シャワーは使われた?」訊くと「ええ、貴方が一時夢の中にいらす間にね。ついでに着替えて、この通りよ」小町、笑いながら返す。聞きながら、男が己の下方を探ると、浴衣の下のトランクスは、知らぬ間に脱がされていた。「やれやれ、何ともまあ、用意の好い事で・・」

「さあ新さん、診察開始よ。隣室のベッドへ行きましょうか。それとも、このままソファで横になるのが好いかしら?」女医が訊くと、男は「そうだな。このソファって俺のと一緒で、延ばせるよね。ならばここでお願いするかな」こう返して、彼女に訊き、背もたれのない補助ソファを間に挟んで、再び横たわり。

聴診器を携えた小町、白衣の裾を少し捲り上げ、黒ストッキングを纏った美脚を誇る様に、中条の上に跨る。「さあ、じゃ、上の方から音を聴こうかしら。あたしも少し酔ってるから、今夜のお話は、真に受けないでね」 「いいですよ。まあ俺も酔ってるから、定かかどうかだけどね」こう言い、二人は笑い合った。

女医は、はだけた男の上体の、胸、腋、腹部の順で聴診器を当てた後「一度、うつ伏せになって」と指図。次に、肩の下から脇腹、背の順で聴いて行く。「うん。特に異常なし。好い感じだわ」まあこれは「聴くふり」だけだったかも知れないが。

小町、中条に「さあ、次は触診よ。これからはベッドに移りましょう」促す。「分りやした。仰る通りって事で」二人、もたれ合う様に歩き、寝室へ。彼女のベッドも、ダブル・サイズである。仰向けに横たわる男の上に、先程みたく女医が跨り、舌を交えた濃い口づけの合図で「触診」開始。

中条の首筋から胸、腋、腹へと、ゆっくりと小町の舌と唇が這い回る。「ああ、うぅぅ・・感じる」特に敏感な脇腹を刺激された男、思わず声を上げ。「ふふ、この辺が一番弱そうね。ちょっと、鍛えましょうか」女医はこう言うと、舌と唇に加え、しなやかな手指での愛撫をも交え出した。「ああ、ああ・・やっぱりダメ・・限界だわ~」男は、再び声を上げ。小町「ちょっと残念だわ。もう少し頑張れない?これ、できたら、好いムードになれるのにぃ・・」 「ああ、わ・・分りやした!が・・頑張ってみます・・うぅぅ・・」のしかかられ、程良い胸の双丘の圧も加わり、刺激され続ける中条。やっとの思いでこう答え。

十数分程後、「新さん、今度は背中から行くよ。もう一度、うつ伏せになって」応じる中条の脇腹と背の上を、小町の舌と唇、手指が交互に蠢(うごめ)く。「うう・・んんん。こ・・これも感じるぅ・・」再び声を上げる男に、女医は「ふふ、背中の方も、感度好いわね。あたしも楽しいわ」意地悪く応じ。背後からの触診が終わると、もう一度男を仰向けに戻し、ニヤリとして「さ、下の方の診察よ」彼の「自身」に手を伸ばし。

触診第二章は、中条の「自身」と陰嚢が、小町の手による愛撫を受ける、所謂「手コキ」である。四十八手中の「雁が首」に近い風情。男の太腿の上に跨った女医が、最も感じ易い亀頭の「雁」部分、男根の裏筋などを主に左手で、下草や陰嚢の裏側を主に右手で、時折舌や唇による愛撫を交え、じっくりとさすって高めて行く。わざと、じらす様にゆっくりとした手指の動き。大して力も加えていないのに、その刺激は強烈で、男は思わず、途中で射精しそうになってしまう位だった。

「小町さん!あ、あ、ダメ・・ダメダメ!一休みさせて下さい!で・・出ちゃいそう!うぅぅ~・・」中条、やっとの思いで暴発を抑える。「いいじゃないの。思い切って出せば?あたしの顔でもいいわよ」こう言ってくれるのは有難いが、男には心残りがあった。そう、小町の「女の真実」とまだ見(まみ)えていないのだ。

「こ・・小町さん。お気持ちは嬉しいけど、俺は・・俺は、貴女の『真実』を拝んでから行きた~い!」中条、叫ぶ様にこう言った。

「はいはい、ちゃんと分ってますよ。今から入りますのでね。所謂69(シックス・ナイン)かしら。これ、四十八手にもあるのは、ご存じよね」 「はい!知っております!」男は、まるで、彼の甥がする様に元気に答えた。女医は笑って「素直で、元気な返事、とてもよろしい。さあ、態勢は貴方が選んで。あたしが上の『二つ巴』、貴方が上の『椋鳥(むくどり)』。さあ、どっち?」 「無理言って済いません!俺が下の『二つ巴』が好いですぅ」中条、甘える様な声で、こう答え。

浴衣をはだけ、仰向けに横たわる中条の上に、小町が「69」の格好で陣取る。男は、女医の白衣の裾を、ゆっくり慎重に持ち上げて行く。彼女は、まだショーツ(勿論黒のT!)を下ろしていない。「ああ、好い雰囲気・・」初めて見る臀丘。艶やかで、きめ細かな白く美しい肌の感触が、指に心地良い。辛うじてショーツに覆われた秘裂が、これからの展開に、大いなる期待を抱かせてくれる。

「ああ、好い。絶景や・・」中条、感嘆す。初美と事を致す時もそうだが、この男は、仰向けになって、ミニ٠スカートや白衣、ランジェリーの裾から、眼前に迫る女の臀丘と秘裂をじっくり眺めるのが好きなのだ。この頃合いには、礼儀正しい彼の「自身」に小町の舌と唇が、陰嚢に彼女の手指が取り付き、うねる様な、優れた愛撫(フェラチオ)を開始する。

「ああ、こりゃたまらん・・!」寄せて来る高揚感と対峙しながら、男は、女医の臀丘の愛撫を休まず、たゆまず続け。

いよいよ、ショーツを慎重に下ろし「女の真実」を目の当たりにする時が来た。初美のそれより僅かに濃い下草、程良く目立つ陰核(クリトリス)、情熱と風格が絶妙にバランスしたローズ٠ピンクの秘花、そして纏(まと)まりの良い、放射状の襞(ひだ)咲く菊花(肛門)が、ほぼ下から上へと整列す。

陰嚢を弄ばれたお返しに、右手を空けては秘花を撫でさすり、その合せ目に少し指の出し入れを試みる。時折の、口唇愛撫(クンニリングス)を交えて次第に湿度を増し、合せ目を指でさすったり、少しだけ滑りこましたりすると、微かに「クチュクチュ・・」と淫猥な音と「ああぁ・・ふぅんん・・」の、中条にとっては初めての、小町の喘ぎが聞こえ、より一層、欲情が高められて行く気がするのも事実だった。

「い・・いかん。又また達しそうだ!こ・・小町さん。も・・もう一回休ませて下さい!」 「だから~・・我慢しないで出せば好いじゃないの。今なんて、あたしに顔射する好い(機会)チャンスだったのに・・」 「いや~、やっぱり抵抗ありますよ~。身分違いだし~」
中条の発した、この「身分違い」の言葉に、小町は一瞬「キッ!」と言う感じの、険しい反応を示した。

「新さん、それは違うわ!」 「そうですか?良くは分らんけど・・」 「身分違いなんて言わないの!今夜はね、貴方とあたしは、そんなの関係ない男女の間柄よ!」 「いや~済いません。そう言う事ね」 「分ればいいのよ」とまれ、中条二度目の暴発も、何とか抑える事ができた。

「さあ、新さん」女医は続けた。「もう一度だけ、ソファに戻りましょう。もう一つ、診察があるんだけど、それは貴方にリードして欲しいの」 「分りやした。次の診察ね。でも、俺がリードしなきゃって、一体どう言う事かな?」 「いや何、難しくはないわ。貴方も一目見れば分るわよ。それはね・・」そう言って小町は、ベッド・サイドに備えた器具を手に取り、中条の方へ向けた。
「これって・・!」男の表情が、瞬く間に一変して行く。
(つづく 本稿はフィクションであります)。

今回の壁紙 JR名古屋駅 在来線プラットフォーム南詰。2013=H25,3 撮影 筆者
左より中央線特急「しなの」383系電車、下り石油貨物 EF64(1000代)型電気機関車、同各停 211系電車

松岡直也さんの今回楽曲「夕凪(Evening Calm)」下記タイトルです。
Evening Calm

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