轍(わだち)~それから 第26話「共有」
- 2017/01/13
- 14:52
二度目の「夜の養護室」。初美の問診が続く。真紅のショーツを被った中条は、彼女を抱き上げ寝室へ。ベッドに、まずは仰向けで寝かせる。「さあ先生、問診の続きをお願いできますかな?」 「ふふ、そうね。その為には、早くあたしの上に来て欲しいわ」 「はいはい。もう少しお待ちを。ああ、貴女の白衣姿、好い眺めやわー」 「ちょっとォ、じろじろ見るの、適当にしてよ。だから貴方は、痴れ者って言われるのよ!」勿論、これは冗談だ。
中条が「ご免ご免。まあそろそろにするから、ちょっとだけ見逃してよ。貴女がもうノーパンなの、分ってるから」と言うと 「こらっ!」初美は笑って、こう返した。
暫くして彼は「さあ、じゃ、そろそろお願いするかな」ゆっくり慎重に、初美に重なる。「新(しん)さん、キスして・・」促されて、男は「はい、只今・・」下の女と、互いの両手指を絡め、濃い口づけを二十秒程。いつも通り、少し舌技も交えて。
「次はね・・」男はこう言うと、女の胸元を少しはだけ、赤いブラを下方にずらして、持って来た筆で、形の佳い中庸の乳房の頂から下へ、時計回りで渦を巻く様に撫でさすって行く。それが一わたり済むと、次は舌と唇、手指でじっくりと時間をかけ愛撫。
「ああ・・」初美の喘ぎが始まる。「もっと・・」 「はい?」 「もっと前から、こうして欲しかったわ。まあ、今が初めてだから、気持ち好いかもたげと・・」 「ああ、悪かった。初めからこうした方が良かったかな。でも、今気付いて良かったよ。これから、こうすりゃいいんだもんな」 「まあね。あの抱っことセットで、覚えといてね」 「かしこまりましてござる!」中条は、苦笑してこう返した。
「新さん」初美が呼びかけ。 「はい、何かな?」 「これから、どうせ口唇愛撫(クンニ)をするんでしょ」 「アハハ、よく読んでるな。まあ貴女らしいけど。いや、その通りやよ。これからお御脚さすって、開いてもらおうか・・なんてな!」男は、笑って応じ。
「ふふ、それ叶えてあげたいけど、条件が一つ」 「はい、何でしょう?」 「一つ、訊きたいの。踏み込んだ事よ。答えられるかしら?」 「質問内容を聞こう。貴女なら、大抵の事は答えられるけどな」 「じゃあ訊くけど、先週、小町さんと会った夜、一緒に寝たの?」聞いた中条、一瞬少しく動揺した様な風を見せるも、落ち着いて「そうです」淀みなく答え。
初美の視線に、一瞬、失望の影が射した様に見えた。が、すぐに「分った。よく隠さずに答えてくれたわ。詳しくは言わないで。言い訳に聞こえるから」 「悪かった。どんな風だったかは、貴女の想像に任せる。でも、これだけは伝えたい。あの女性(ひと)は俺を診察する内で、その行為をしたって事・・」 「まあ、そんなとこでしょうね。ついでに言うなら、あの女性は、貴方に、逆らえない言質を取る意味で、誘ったのかも知れないわよ」 「それもあるかも。まあ、そうなっても心配無用。その時は、俺が責任を負うからな」
初美「分った。当然だけどね。でも、あたしも言うわ。あの女性とは、お医者と患者の間柄だけって事でしょ。だったら、一番大事なのはあたしよね」 中条「勿論!俺は逃げやせんよ。それに、もっと大事なのは、徹君と健(たける)を巻き込まん事やからな」 「そう、それよね。だから、一定の事は、あたしも目を瞑(つぶ)る事にしたの。さあ新さん、分ったら、又あたしに、好い夢を見させてよ」 「OK。そいじゃ、ボツボツ始めるかな」
男はこう言うと、白衣の下方を途中まで捲り上げ、女の脚を立膝にして、ゆっくり曲げ開き、その間にうずくまって控える。姿を見せた、真紅のガーター・ベルトとストッキングが、容赦なく、雄の願望を煽り立てて行く。
「じゃ、始めるね」中条、こう言って、露わになった、程良く下草に囲われた、秘花に唇を合せる。「はぁぁ・・」最初の喘ぎを確かめて、その合せ目に舌を滑り込ませ、丁寧に舐めて行く。合間に陰核(クリトリス)と菊花(肛門)を、手元の筆で撫でさする所作をも織り交ぜて、行為を進めて行く。小半時程続けると、次第に、秘花が秘液で潤い始め、喘ぎも艶を帯びて来る。頃合を見て、空いた左手指を、女の右のそれに絡みつけると、より一層歓びを伝えて来る様だ。
初美「さあ新さん、用意はいい?」 「多分いいよ。一度見てみるか?」中条が応じると、女は手招きで、男に下方を向ける様指図。彼「自身」は、勿論礼儀を正し、その時を今かと待ち構える風情。初美は、その先端に唇と舌を走らせ、もう一度励ますと、中条に頷く表情を見せ。男はこれを受け、隠し持っていた樹脂の包みを開けようとするのを、女が遮り、ひったくった。
初美「忘れたの?ゴム着けるかどうかは、あたしに任せてって!」 「ご免ご免、知ってるけど、貴女が危険期って気がしたからさ・・」と中条。「大丈夫よ。今、薬(低容量経口避妊剤)を飲んでるの。もういい加減に信じてよ」 「悪い悪い。同意だぁ~!」男はそう返して、女の曲げ開かれた脚の間に割り込み、「自身」を秘花に繋いで行く。先端の当りを確かめて、ゆっくりと奥へ滑らせ、微かに当りを感じる所が子宮口。連結が果たされた合図だ。
初美「ああ~・・、んん~!な・・何があったって、この瞬間が好いの。さあ、動いて!動くのよ!何も考えないで!」 「あ、ああ・・、分った。い・・今からな、うう~!」中条は応じ、女の上体を抱きしめ、腰を動かしにかかる。彼の背後に女の両腕、腰に両脚が組みつけられ、更にその動きを煽る様に感じられ。上下で操り操られ、小半時、熱い絡みの抱擁が続く。
それから中条「初ちゃん、疲れとらんか?一度、体位(ポーズ)変えた方が良くね?」こう言えば初美「ふふ、そうね。じゃあ、たまには貴方の願望を叶えてあげるわ。ね、後ろからしたいんでしょ?エッチ!」と、笑いながら返し。「その通り!貴女は誤魔化せんなあ。でも、今夜は張り合いがあるな。頑張れそうだ」と、これも笑いながら返し。「好いじゃないの。健康な証拠ね。さあ、じゃ、後ろから感じさせてくれるかしら?」
初美はこう言うと、一度ベッドから起き上がり、脇に置かれた補助椅子に手と肘を突き、前かがみになって、中条の前に、腰と臀丘を突き出す姿態に。「うんうん、これ、好いなあ!」白衣の裾をもう一度捲って、やや下から覗く男は、こう反応して頷き。両の手で臀丘をゆっくりと撫でさすり、一旦彼「自身」を分離して濡れそぼった秘花に、もう一度唇を重ね、合わせ目も、滑り込ませた舌でもう一度高めて行く。秘液の効きもあって、ローズ・ピンクの色合いが、いよいよ鮮やかだ。右手はもう一度筆を取り、菊花の襞(ひだ)を忠実に、ゆっくりとなぞって行く。
「んああ・・はんん・・好いわ、さあ、来て。貴方のそれを返して・・」女のこの言葉を確かめて、男は後ろに寄り添い、取り上げていた彼「自身」を、秘花をめがけ、ゆっくりと返す。「ふああ・・、んん・・」最初より、深く聞こえる喘ぎと共に、四十八手の「碁盤攻め」と言われる、後背位での行為に入る。中条、右手で初美の腰を抱え安定させ、左手は、彼女のそれに繋ぎ、一体でいる事を伝え、少しでも安心させる様図る。
手指を絡み合わせると、より良い効果がある様だ。「んん・・、んん・・、ふぅんん~!」籠った様な、二人の喘ぎと吐息が続く。初美は、後ろから繋がれると、口を閉じて喘ぐスタイルの様だ。
後背位の繋がりも、小半時程。「さあ、もう一度、ベッドに戻ろうか」中条が声をかけると「待ってたわ。最後はやっぱり、あたしが下の方が好い。正常位が一番よ」初美、こう返す。「OK!ちょっと待ってな」後ろを離れた男はこう応じ、白衣を脱いだ女を抱き上げると、仰向けで、ベッドにそっと転がしてやる。「さあ、早く来て!もう一度返して!」促されて男、もう一度上に重なり、濃い口づけを経て「自身」を秘花に返し、上体をホールド。再び腰に、女の両脚が組み付き「蟹挟み」の態勢に。少し速く、僅かに強い動きで頂を目指す。
「ああっ!ああっ!好いっ!好いわぁ!ずっと、ずっと、続けて~!」 「んん!んん!うんうん、分る!綺麗な声、歌みたい!いいよ~、続くよ~!」初美の寝技を感じ、昂りながら 中条「本当に美しい喘ぎ、流石は歌姫やな~!」改めて感心す。そして、絶頂へ。「好い!好いわぁ!行く~!」 「ああ・・、んん~!行くよ~!」ほぼ同時のその瞬間、緊張が解け、二人は笑い合った。
「ああ、今度も良かった・・」 「そう、最高になあ。やっぱり、初ちゃんが一番!」 「うんうん。有難う・・」暫くの間、上と下で、とりとめのない会話。だが、中条は、一見意味のなさそうなその事の大切さを知っていた。女にとっては、頂の後の余韻が大事なのだと言う。
十数分の後「離れていいわ」慣れた言葉だが、慣れ過ぎては拙いのも、男は知っていた。秘花に繋いだ「彼自身」を、ゆっくりと離す。今回も、秘液の分泌は盛大。「彼自身」は、幹までしっかりと濡れ、下草も水気を吸っている。少し後、濃度十分の男精が、合せ目から姿を現し。「新さん、分ってるでしょ。それ、頂戴!」初美、平然と口移しを求め。「おい、又かよ」内心そう思いながらも、男は舌で掬い取り、そのまま女に口づけ。これで三度目の「ザーメン・キス」である。ここで、彼が頭に頂いていた赤の「T」も、彼女に返され。
「今夜も、良かったね」 「そうよ。貴方のお蔭・・」行為を終え、共にシャワーを使いながら、二人でそう言い。下着だけを纏い、ベッドに入り「お休み!」の言葉の前に、少しの会話。
「しかし、彼たちを守る事と、小町さんに、あの不良趣味を諦めさせるには、俺たちも、身体を張る覚悟をせんといかんかも知れんなあ」 「まあそうかもね。ある程度考えておくわ」 「それじゃ、又、明日!」何となく気持ちを共有できた感じの二人、日付が変わって間もなく、就寝。
(つづく 本稿はフィクションであります)。
今回の人物壁紙 石原莉奈
松岡直也さんの今回楽曲「ひまわりの丘」下記タイトルです。
Himawari no Oka