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轍(わだち)~それから 第28話「企図」

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「分った。何とかする。今、2時過ぎやから、3時に中央駅の時計台んとこでいいか?OKだな。よし、じゃ、後で・・」盆休み入りをを翌日に控えた午後、健(たける)、徹の二少年と話し合っていた中条のスマート・ホンがSMSを捕捉したのは、その話も終わりかけた頃だった。送り主は、初美である。

「二人、悪いな。ちょっと聞いてくれ」 「はいっ、聞きましょう」二少年の返事を受け、中条、続ける。「今、初美(元)先生から連絡があってな。この後 用があるそうで、俺、ちょっと会う事になったわ」 「そうですか。じゃ、さっきのお話はよく覚えておきますね」 「ああ、宜しくな。次は一つ、豊(ゆたか)君を交えて話さんといかんな」 「そうだね。是非一度やりましょう。できれば夜、伯父さんちが好いな」健、こう返す。

中条「健!お前又、AV見てぇんだろうが!ちゃんと分っとるぞ!」こう罵れば、甥は「エヘヘ~、まあね~。だって伯父さん、又ライブラリー増やしたの、分ってるからさ~!」笑って返し。徹も「俺も見たい。だから反対しませ~ん!」と応じ。
「仕様がねえなあ~!まあ、夏休みの勉強、確かに目途つけられるんなら見に来ても良いわ。日時は、又教えたるよ」 「有難うございます。頑張ります!じゃ、今日はこれで失礼します!初美(元)先生に、宜しくお伝えを!」こう言って、スポーツ・サイクルに乗った徹は、元気に帰って行った。

中条、呆れ顔で言う。「・・たく、単純な奴らだな。何かで釣られると、態度が一変するのだからな。お前モナー」対する健は「まあ、そんなもんでしょう。楽しみがあるから頑張れるって事で」と笑って返し。伯父は、ただただ苦笑するのみである。
「まあいいや。盆が明けたら、豊君も交えて一度話の席持とうや。で、徹君は、もう分ってると思ったから言わなかったが、さっきの豊君の話は、まだ思っとっても言うなよ。まず、彼から語らせるんや」 「はい、分った。冗談はさておき、又会う日と時間教えてね。後、俺からも、初美(元)先生にも宜しくです!」 「OK!まあ頑張れや」 「有難う。気をつけてね」

健の実家を辞した中条が、待ち合わせ場所のN市中央駅大広間 時計台下に着いたのは、午後3時少し前。直後に、薄黄のワン・ピースにサンダル姿の初美も現れた。大き目の肩バッグも、もうお馴染み。「新(しん)さん、無理言って悪いわね」 「いや、何の。盆休みに入ったの?」 「ええ。今日午前でお仕事が終わって、一度帰って、着替えて来た所よ」 「それは有難う。親御さんとこへも帰らんといかんやろ?」 「まあね。でも、それは明日午後からでいいの。昼までは、一緒にいたいな」 「それは好い!俺も賛成や。で、こう言う時やから、ウチ飲みがいいのかな?」 「まあそうね。どこかで適当に一服して、買い物して、貴方のとこでゆっくりしたいわ」

二人は、N市中央駅南方の、デパート街の地下「デパチカ」で買い物をすべく、歩き出したのだが、間もなく状況が一変する。中央駅正面玄関から地階に降りようとしたその時、対向で昇って来る、藤色のワン・ピースを纏い、パンプスを履く女の姿。「あ・・小町さん!」

「あらら、お二人。仲睦まじくて好い感じじゃないの。これからデート?」 「いやまあ、偶然会ったんで、その辺でお茶でもってレベルですがね」中条は、こう返した。「あのね。今あたし、9月の学会向けの論文の事で、連日学院に詰めてるの。中条さんは、生徒の父兄のお立場だし、初美も非常勤講師のポジ残ってるから、よければ一緒に校舎入れるわよ」 「そうか・・。なら初ちゃん、そうしようか」 「そうね・・小町さん、お言葉に甘えます」二人、こう返し。「OK、じゃ、決まりね」小町は、笑顔で応じるも、その表情に、何かを隠している風情も垣間見られた。

三人は、盆休みで静けさの戻った、佐分利学院の高層校舎に入る。保安課の職員(クルー)も顔見知りの人物で、難なくパス。待機していたEVで上階へ。養護室に入ると、眼下に、帰省シーズンで混雑の始まったN市中央駅の西玄関と、その上階に発着する新幹線列車と、玄関前に出入りする、長距離高速バスなどの様子が窺えた。

「小町先生、お疲れ様です。養護教諭や、お医者さんの診察以外にも、やる事が一杯なんですね」中条、声かけ。初美も「小町さん、意外に忙しいのよね。お盆休みもこちらなの?」問えば「まあね。盆休みはこちら。で、来月半ばに新潟で学会があるから、郷里(くに)へは、その折帰るつもり。ほぼ一週間位、抜ける事になるかしら」小町、こう返す。

「本当にねえ。確か郷里は、東北だったよね。大変やなあ」と中条。「ううん。もう慣れたわ。まあ、時期は少しずれても、年三度は、ちゃんと帰ってるからね」小町、笑顔で言う。そして「さあ、大したもんじゃないけど、よければ一服して」冷蔵庫からサイダーを出し、二人に勧める。小半時程、世間一般の事共で、談笑。

暫く後、中央駅の様子をボンヤリと見ていた中条「あ、おお・・黄色の新幹線列車、あれ『ドクター・イエロー』だな」と反応。二人の女たちも注目「ああ、ホントね。黄色だから、よく目立つわ」 「あれは、鉄道ファンの間でさ『見た者には幸せが訪れる』て言われてるみたいね」 聞いた初美「ホントに?じゃ、今夜は何か、いい事があるのかしらね」笑顔でこう応じ。小町も微笑んだが、内心「初美、夜まで待たずとも、ここで、好い事があるかもよ」と呟いたものだ。

新幹線の線路や電力を送る架線、それに周辺設備などの検査によって、高速走行の安全に貢献する試験列車「ドクター・イエロー」が走り去ると、小町は初美に「よかったら、シャワー使わない?中条さんも」と勧め。聞いた初美、訝(いぶか)る様に「そんな設備、ここにあるの?」訊けば、小町は「あら、知らなかったかしら。ここの奥の部屋に、用意があってね」と返し、二台のベッド奥の、目立たないドアの前に案内した。開けると、そこにトイレ、洗面台と一体のシャワー室が現れ。もう一台、広めのベッドがあるのは、或いは違和感もあったが。

「ふぅん、こんな風になってるんだ。あたし、知らなかったわ」と初美。対する小町「あたしね。養護の仕事が遅くなったり、今みたいに学会向けの用事があったりすると、ここに泊まる事があってね。で、この部屋や備えも、理事長が用意してくれたって事よ」 「成る程ね。ただ貴女、養護以外の事共にも、ここで対処されるとかってあるのでは?」中条が訊くと、女医は「まあ、その辺りは、ご想像に任せるわ。貴方がお思いの好い事は、可能性ゼロとは言えないわね」これを聞くと、初美は一瞬浮かぬ顔をした。

「初美・・」それを見透かした様に、小町が声かけ。「何?」返すと「シャワー行っといでよ」促す。「有難う」 「そこにバス・ローブがあるでしょ。上がったらそれ、羽織っていて」 「うん、分った」初美、こう返してシャワー室へ。

「さてと、新さん」小町、中条を、下の名で呼ぶ。「はい、何でしょう?」男が返すと「今日は、今から彼女の真実を見て欲しいと思って、お呼び立てしたんですよ。その真実は、今、分るわ・・」聞いた男、これからの事の展開を、何となく察した。この前、一夜を共にした折、女医が彼に示した、あの器具が、初美の下方に連結され、彼女の「女の真実」が、彼の眼前に晒されると言う事だろう。その器具とはズバリ、膣鏡(クスコ)の事だ。

中条は、己の感じた事を、小町に語った。聞いた女医は「ピンポ~ン!ズバリその通りよ。奥のベッドに、両脚を開く乗せ台もすぐセットできるの。貴方は、これから正に、あの女性(コ)の真実を、目撃する事になるのよ」男は、言葉を失った。「そんな事をして、どうするのか?」問いたい想いがしたものだ。それを察した女医は「追々話すわ。まあ、貴方はお分かりかもだけど」笑って言った。

暫く後、初美がシャワー室を出、入れ替わりに中条が中へ。小町は、己の机の所で何やら準備。区切りがつくと、それを奥の部屋へ持って行った様な風に見えた。そして・・

「初美、ちょっと来て」 「はい、何?」奥の部屋へ招かれた初美、表情が一変して行く。「小町さん・・これ、どう言う事?」対する女医、薄笑いで答える。「ふふ・・初美。貴女は今から、ここに寝て脚を開き、新さんに、貴女の『女の真実』を披露するのよ。彼は好色な男、決して『No』とは言わないわ。大丈夫、その用意もてできてるわよ」そして、あの器具を、初美の前に示す。

「ちょっと!」険しい表情で、女が声を上げる。「学院の養護室に、何でこんな器具があるのよ!?」対する小町「ああら、初美。貴女、大きな事言えるのかしら。もし、応じられないなら、あたしが理事長に諮(はか)って、去年の夏の、貴女の特別林間学級の行状を、表に晒す事もできるのよ。そしたら今度こそ、貴女は、未成年者福祉法規等違反で、逮捕があり得るわね。それが嫌なら、あたしの指図に従ってもらおうかしら」

「悲しい!悔しい!でも、仕方がない・・」初美、やむなく、奥の部屋のダブル・ベッドに臥す。「ふふ・・貴女、まだショーツ着けてなかっのね」小町は、脚の乗せ台をベッドにセットすると、初美の脚を曲げ開き、下肢をその上に。これで「女の真実」が露わになる寸法だ。「小町さん!貴女って女性(ひと)は・・」女はもう、泣き出したくなる所だった。所へ中条が「有難う。サッパリした」シャワーを終え、戻る。気がついた小町「丁度良かった。新さん、こちらへ・・」
(つづく 本稿はフィクションであります。無断転載等は、法令で禁じられております)。

今回の人物壁紙 JULIA
松岡直也さんの今回楽曲「イマジン・ユー(Imagine You)」下記タイトルです。
Imagine You

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