轍(わだち)~それから 第35話「特講」
- 2017/01/31
- 15:38
山間の宵闇を切り裂く、鋭い警音・・それは紛れもなく、中山荘(ちゅうざんそう)の傍らを行く、JR中央西線の貨物列車を率いる電気機関車 EF64(1000代)機が発したものだった。送風機の動作を伴う、重い走行音が、ゆっくりと四人の下方、山奥の方へ向け通り過ぎて行く。
「豊(ゆたか)・・」思い詰めた様に、初美が声をかけ。「はい・・」彼が返す。「さあ、来て・・」 「はい、ですが・・」 「何?」 「ちょっと、待って下さいませんか?」 「何を待つ必要があるの?男なら、迷わないの」 「なら先生、ゴムはなしでいいんですか?」 「ああ、それね。大丈夫よ。一応薬(低用量経口避妊剤)も飲んでるから」 「ご免なさい、そうじゃなくて・・」こう返すと豊は、遠くない日に、初美が中条の妻となる可能性がある様に感じる事、そこから、己はゴムを使う決心をしている事を語った。正直、その気遣いは、少し嬉しく感じられた。
「そう言う事なら・・でも、繋がった時の歓びが少しだけ減るのはいいの?」初美が訊くと、豊は「俺はいいです。望む所です。先生から、濃い授業を受けられる事、そのものが歓びです」こう強く返した。「分った・・」初美は、一旦上体を起こすと、豊の持っていた樹脂の包みを取り上げ、中のゴムを、手際よく「少年自身」に着けて行く。「お願いします!」とでも言う様に、それが礼儀を正したのは言うまでもない。
「さあ、始めるわよ」 「はい、お願いします」再びベッドに臥し、脚を曲げ開いて秘裂を露わにする師の下方に教え子が控え、黒のニーハイを纏い、開いた脚に「少年自身」の愛撫を賜った答礼に、その下草に舌を走らせ、秘花に唇を重ね。ローズ・ピンクの合せ目に下草から舌を移してゆっくりとさし入れ、「あう・・んんん・・」喘ぎを確かめながら、丁寧に舐めて行く。「好いわ、豊、好いわ・・」囁く様に、行為を続ける様促す初美であった。他のベッドでは、同じ様に、小町が臥して脚を開き、中条が下方に控えて口唇愛撫(クンニリングス)を進めて行く。二つの喘ぎ、二つの吐息が、遠ざかる貨物列車の走行音と交錯し、独特の協奏を演じて行く。
「さあ、皆・・」小町が声かけ。「用意はいい?」 「OKです」中条と豊が返す。「あたしもいいわ」初美も応じたが、心なしか語調が弱い風にも感じられたが。「じゃ、濃い事を始めましょう」この一声を受け、初美に豊が、小町に中条が重なって行く。薬は彼女も服用し、男も分っていた。「今度こそ、来るのよ」「はい、繋ぎます」男たちが、それぞれの「自身」の先端を女たちの秘花に当て、粘膜のぬめりを確かめながら、ゆっくり慎重に、肉壁に繋いで行く。次第に強くなる「締め」を感じながら、先端が子宮口に当たる感触を確かめ。
「ああ・・ふぅんん・・」低い喘ぎで、二組の男女の連結が、前後して果たされる。「さあ豊、動いて。力強くしていいのよ。若者らしくね」 「はいっ、始めます」初美の上体を抱き、胸の双丘に顔を埋め、下方を確かに繋いだ豊が、腰を動かし始め。彼の背弧にはなよやかな両腕が、腰には両脚が回り、組み付けられ。「ああ・・んん・・これ、好い。先生、動かんといけませんね・・うう・・」促されて豊、まずはゆっくり確かに動いて行く。「どう?この姿態(ポーズ)、蟹挟みって言うらしいわ」初美に訊かれ「蟹挟みですか。好いですね。これは頑張れそうだ!」上に重なる豊、本気で燃えられそうな気がしていた。
一方の小町と中条。こちらも、正常位での行為で始まる。初美と豊程の強い蟹挟みではないが、彼の背後にも、女医の両腕両脚が回されていた。初めの内は、ゆっくり動く「スロー・ピストン」で昂らせて行き、様子を見て速めるつもりだ。
「新さん・・」女医が呼びかけ。「はい、何でしょう」男が返すと「何だかね、あたしもスローな動き、好きになって来ちゃった」 「おー、そうですか。そいつは有難うございます」 「あ、こらこら。動きを緩めないで。ゆっくりでも、力強く行くのよ。お話に気を取られるのは、貴方の悪い癖。繋がってる時は、性交(セックス)を優先しなきゃ・・」 「は~い、ご免なせぇ。確かにねぇ、余り話に気を取られると、よく動けんみたいね。俺はそこに気をつけんとってか」 「はい、その通り!又、気持ち佳くなって来たわ。さあ、続けて・・」 「了解で~す」
前戯から含めると小一時間後、二組の男女は、一度体位を変える。「先生、お疲れでしょう。暫く、俺が下になりましょう」素早くベッドに臥した豊の申し出を、初美は素直に受け「じゃ、あたしが跨るわね。君の腰がよく動く様にしたげるから」笑いながら、ミニコスの裾を持ち上げ、腰を沈める。「ハハ、そりゃ楽しみですね。よ~し、又頑張りま~す!」豊は「自身」の礼儀を再び正し、迎える。
「んぁぁ、好いわぁ・・」再びの喘ぎと共に、騎乗位で行為再開。四十八手中の「百閉」とある、無理のない体位だ。上で腰を上下する師の臀丘を、教え子が支え、下からの腰の動きで応援す。「ああ、これも効くなぁ」豊、改めて感心す。「ね、この姿態(ポーズ)も好いでしょう。君はお尻に触れるし、あたしは顔を向き合わせてできるから、好きなのよ」 「ですねぇ。この姿態、エッチ度とても高いですよ~!』豊も応じ、二人は笑った。
一方の、小町と中条は、後背位での繋がりを試す。深く前にかがみ、ミニコスの裾を途中まで捲って、臀丘を突き出した女医の背後に男が寄り添い、礼儀を守る「彼自身」を秘花にゆっくりと返す。「はぁん、ふぅんん・・」の喘ぎと共に前後動を始め。この姿態は、四十八手中の「仏壇返し」だ。新しい体位での繋がりが、小半時程続いた。
その後で、女二人が再び臥し、男二人が最初と同様に重なって、正常位でもう一度高め合い。「ああ・・ああ・・行く!行くまで続けて~!」 「んん・・んん・・分った!の・・昇る~!」四人は、前後して頂へ。「ああ・・ああ・・良かった・・」 「お・・俺たちも、よ・・良かったと・・」暫くは、愉悦の続きに身を任すのが良いと、少年も理解した様だ。
小町?それとも初美?どちらからともなく「離れていいわ」の一声を待ち、中条と豊は、下半身の連結を解く。「二度目も濃いわね」外されたゴムの男精を見て、初美が感心している。「はい、お蔭で、俺のは随分濃いのが分りました」 「ハハ、健康な証拠よ。これからも、この身体を大事にね」 「はい、有難うございます」まずは誉められた豊、気分も良さそうだ。
ゴムなしで行為をした小町と中条、連結を解いた後、彼女の秘花から流れ下る男精を受け、口移しで男が女医に口づけをして返す。「いや~、凄いですねぇ」眼前で繰り広げられるザーメン・キスに、豊は驚いた様だった。初美は、その後ろで平静を装ってはいたが、心中は穏やかでなかったかも知れない。
行為が終わり、けだるさの漂う生徒の寝室内で、一人小町は元気そう。「ねえ、豊・・」 「はい」 「もう一度、しようか?」 「マジですか?俺はいいけど」 「しかもね」 「はい」 「今度は、ゴムなしでどう?」 「うわっ!そんなの、大丈夫ですか?」 「平気よ。さっきだって、中条さんと、ゴムなしだったもの」 「・・ですか、そう言う事なら、お供します」ベッドに戻った二人、再び口づけ。その後で。
小町「ねえ、新さん」 中条「はい、何か?」 「折角だから、貴方たちも、もう一度したら?」 「いや~、俺たちは無理できませんわ。明日の帰りの事もあるしさ。見物じゃ、ダメ?」 「仕様がないわねぇ。じゃ、それ、許可するけど、最後まで見届けなきゃダメよ!初美もね」 「はい、いいでしょう。従います。初ちゃんは?」 「ふふ、面白そうね。あたしも最後まで見届けるわ。今夜はもう、行為は勘弁だけど、見物は大好きよ」笑いながら返す。その美しい笑み、ほんの僅か、薄気味悪さを漂わせるものだった。
「さあ豊、又高め合おうね」 「はい、お願いします」再び、睦み合いが始まる。小町、豊の下方に手を伸ばし「少年自身」と陰嚢を、手コキの要領で丁寧に高めて行く。それは、打てば響く様に礼儀を正す。上方では、教え子が、女医の胸の双丘に手を回し、乳首から谷間へと、ゆっくり手指を滑らせて行く。「ああ・・若い男は、やっぱり好いわ・・」小町、喘いで一言。
「呆れたな。さっきと殆ど変らん勃起度や。さすが、若者は違うな」中条、呟き。それを見た初美、彼の隣にスッと寄り添い「何よ?嫉妬してるの?」挑発する様に言う。「いや何・・俺は事実を言っただけよ」男が返すと「それは逃げでしょう!」すかさず、女が突っ込む。行為中の小町と豊も、思わず苦笑いだ。
「悪い、悪い。さあ、続けてくれ」中条、平謝りで、師弟に行為を促す。「ああ、いや、気にしなくていいわよ。さあ豊、復習ね」小町はこう返し、豊の「自身」を咥え込み、陰嚢に手指を回しての、口唇愛撫(フェラチオ)をもう一度。「うう・・んん。せ・・先生・・や・・やっぱり、もっと感じるぅ・・」彼の感度は、早くも復旧した様だ。「お返しします」 「ええ、お願いね」小町はもう一度ベッドに臥して、脚を曲げ開く。着けるは、中条をも魅了した黒ずくめのガーター・ベルトとデザイン柄のストッキング。「ああ、素敵・・」股間に臥した豊、これまでを思い出す様に、秘花に唇を重ね、舌で合せ目を探って行く。「ふぅん、はぁぁ・・続けて」女医が喘いでいる。
「いやいや、こんな展開、想像もせなんだわ。俺たち二人が見てる前で行為なんて、ようやるわ。なあ初ちゃん」見守る中条、思わず苦笑す。初美も「まあね。あたしも、他人の行為を生で見るなんて初めてよ。さあ新さん、今夜はもうしないなんて、断言できるかしらね?」 「うーん、ブレるなあ。貴女の黒ミニコスも素敵やし、何か怪しくなって来た様な・・。でも大丈夫。今夜はねぇよって言ちまっては、貴女に失礼・・かな」 「無理しなくていいわよ。あたしはどっちでも好いわ。又次もあるんだし」小町と豊は行為の続き、初美と中条は、それを観察しつつ、とりとめもない会話・・で、山間の夜は更けて行く。窓外には、何事もなかったかの様に、蛍が舞い・・
(つづく 本稿はフィクションであります。無断転載等は、法令で禁じられております)
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松岡直也さんの今回楽曲「水のオブジェ」下記タイトルです。
Mizu no Obuje