母娘(ははこ)御膳 第8話「追憶」
- 2017/03/27
- 19:21
全社員が退勤し、静けさの支配する、花井 妙(はない・たえ)の情報関連会社「F・I・T株式会社」の上階社長室の隠し部屋で、彼女と、翌日からの時限出社の決まった浪人生 阿久比 周(あぐい・あまね)の会話が続く。彼は、妙の訊きたい話の内容が分っていた。
「では、お話しします」周は、こう切り出した。妙は「ええ、聞きましょう。無理だと思った所は、話さなくていいわ」こう返し。「有難うございます」答礼が聞こえた。
周「2013=平成25年の秋頃だったと思います。自分は、学院の高等科に上がった最初の年で、その年の春、養護主任の本荘小町(ほんじょう・こまち)、主に初等科の国語担当 伊野初美(いの・はつみ)の両先生が、学院へお越しになりました。本荘先生は、養護室でいつもお目にかかり、伊野先生も、中等科や高等科の受験対策講座を持たれていて、お会いする機会は結構ありましたね。
特に、本荘先生は、身体や心の悩みとかもよく話しに行って、親身に相談に乗って下さり、急速に身近になって行ったのを覚えています。あの年、夏場は余り体調が芳しくなかったのですが、秋に入って、少し持ち直した感じがありまして。お医者様でもある本荘先生は、その辺を詳しく診ておられたのかも知れません。
遅い時間の教科に出て、帰り際の7pm過ぎ、体調の経過の報告に、養護室を訪ねた時の事です。自分が本荘先生を訪ねるのは、前もって分っていました。その夜のあの方は、いつもと様子が違っていた様に思います。一通りの問診を終えると、本荘先生は『阿久比君、疲れたでしょう。後ろの別の部屋は知ってるよね。シャワー浴びておいでよ』て仰ったんです。『あれ、何かおかしいな・・』とは思ったんですが『はい、分りました』と返事、指図通り、シャワーを使いました。で、部屋へ戻ると、本荘先生のご様子が変わっていたんです」 妙「なるほど・・」
周は続ける。「本荘先生、初めの白衣から、とても刺激的な、黒の下着調の衣裳に着替えられていて、自分も、随分気持ちが揺れました。『もしかして、これは・・』の想像をしてましたが、その通りの展開でした。あの部屋からは、JR中央駅辺りの夜景が見渡せて素敵なんで、眺めていたら、スッと後ろから抱きつかれたんです。『阿久比君、こんな事した事ある?』て。そして、向かい合って更に強く抱きつかれ、唇を奪われたんです」 妙「そうか。ファースト・キスは思いもかけない、養護室の先生とだった訳だ」
周「そうなんです。それだけでも、あの時の自分には衝撃でした。ですが、更に続きがありまして・・」 妙は「何となく分るわ。阿久比君、無理なら、又次に聞こうか。それとも・・」 周「有難うございます。ですが、折角の機会ですから、もうお話ししちゃおうと思います」 妙「それも良いわね。あたしも聞くわ。この後の勉強の為にも、その方が良いかもね。じゃ、続けて」
周「はい、続けます。本荘先生は、キスが終わると、自分に、ベッドに横になる様指図されました。すると、自分の下半身、まあ一番感じるとこですね・・そこを、下着越しに撫で始められたのです。ホント『先生、何をするんですか!?』叫びそうになりましたね」
妙「ハハ・・初めてなら無理もないわ。不安だったでしょう」 周「そうですね。正直そんな感じでした。ですが、少し慣れて余裕が持てると『ああ、何か好い感じ。続けてお願いします』みたいになっちゃう訳でして・・」 妙「何となく分るわ。初めての、性愛のときめきってとこね。そうそう、慣れて来ると、段々それが良くなるものよ。ただ、本当に好い相手とだったらね。君は、ある意味幸運だったんだ」
周「そうかも知れません。暫くの間、その妖しいマッサージが続いた後、先生はこう仰ったのです。『さあ阿久比君、隠してても仕様がないから、本当のとこを見せてよ」と言いながら、自分のブリーフを下げにかかられたのです」 妙「うーん、いよいよ核心に近づいたって感じよね」 周「はい、それから自分『自身』が、本荘先生の、深く濃い教えを受ける事になった訳でして。最初に、所謂男根、そして陰嚢の順で、熱く撫でさすられて行きました」 妙「ふふ、あたしのとこまで、熱気が伝わる様だわ。所謂『手コキ』って奴」 周「はい、仰る通りでして、この特訓で、自分『自身』の礼儀は、徹底的に正されて行きました。更にそれに、先生の唇と舌による、熱くて深く濃い教えが加わります」 妙「分るわー!歴史的な初フェラチオの瞬間ね!小町さんったら、ホントに若い男に仕掛けるの、好きなんだからー」呆れた様に、こう応じ。
周「やはり、そうでしたか。続けます。本当に、舌と唇を上手く使われる方でして、もう何て言うんですか、下から激しく突き上げられる様な興奮を抑えきれず、自分は遂に粗相してしまいました。そうすると、本荘先生『ああ、素敵・・若者らしく、濃いのが出たね』と仰って、何と自分が発射した白い物の味見をされたんです」 妙「あーあ、そこまでやるんだ。君はもう、それが何か分るよね。勿論、男精よ」 周「はい、男精ですね。分ります」
周、更に続ける。「その夜、本荘先生が下方にお着けだったのは、随分露出の大きな下着でした。もう股間だけを覆う小さいもので、お尻の丸みが全部露出してました」 妙「分るよ。それ、Tバック・ショーツって言うの。彼女もやるわね。若い男に、のっけからそんなの見せちゃうの拙いって」 周「・・ですよね、本当は。で、自分に、初めはその下着越しに、次に、下着を脱いで現れた『女の真実』にキスをする様指図をされたのです。本当に、凄い眺めでした。『女の真実』を理解するまでに、暫く時間が必要でした」 妙「まあ、矢継ぎ早に、口唇性愛(クンニリングス)まで全部教えたんだ。『実習』の時、随分喘いでたでしょう?」 周「そうですねぇ。余りに声が大きいので『大丈夫か?』と心配になりましたね」こう返す時には、眉をひそめていた。
妙「そうかぁ、小町さん、本気で感じてたんだ。で、君は、その夜の内に、彼女と繋がったんだ」 周「そうです。初めてでしたので、ゴムを使いたいと言いました。『なくても大丈夫よ』て仰ったんですが、やはり不安でして、着けてもらいました。今度は本荘先生がベッドに仰向け、その上に自分がゆっくり重なって行きました。そして、指図通りに核心部分を慎重に繋いで、衝撃と興奮を感じたって事です。後は、あの方の指図のままに腰を動かし、心の余裕もないまま、絶頂を迎えた訳でして」
妙「ああ、良く分ったわ。正直に話してくれて有難う。初めての時は、訳の分らないとこもあるだろうけど、君にとっては、人生の大きな節目になったのよね。本当は芳しくないんだけど、彼女は、ある意味大恩人だよね。あたしも、本当によくやると思うわ。さっきも言ったけど、まあお医者様だから、大きな無茶はしないだろうけど」 周「そうですね。それだけは、自分も信じております」と言ったものの、先日、彼女の娘 宙(そら)から仕掛けられた事も、同時に脳裏に浮かんで来る所であった。一方で妙は、小町の事を「やっぱり。この、童貞漁り!」と、内心で罵っていた。周が、彼女に童貞を奪われた第一号である事を、既に知っていたのだ。
妙は言った。「阿久比君、今夜のお話は良かったわ。これで、胸のつかえも少しは取れたでしょう。勉強も、ウチの仕事も、気分良く取り組める事を祈るわ。で、さっき、小町先生と体験した事、又近く復習しようね」 周「あ、あ・・復習ですか。今度は、妙先生と?」
妙「そうそう。小町先生に倣った濃くて深い事、あたしにも教えてよ」 周「うーん、上手く伝えられるかなあ?『教えて』て仰られると、ちと自信がありませんで・・」 妙「分る所で良いわよ。だから・・」 周「分りました。そう言うお話なら・・」 妙「大丈夫。少しなら、考える日数をあげるから」 周「はい、有難うございます」 妙「OK。じゃあ、遅くなるといけないから、今夜はこれで。明日夕方から、宜しくね」 周「はい、こちらこそ、宜しくお願いします」 妙「うんうん。途中まで、一緒に帰ろう。いつも下にタクシーが来てるから、大丈夫よ」 「はい、有難うございます。お言葉に甘えます」施錠の後、夜も進んだ9:30pm頃、二人は、待機していたタクシーの一台に乗り込み、帰途に・・。
(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 桃乃木かな
久石 譲さんの今回楽曲「メモリー」下記タイトルです。
Memory