パノラマカーと変な犬 第7話「深室(しんしつ)」
- 2018/01/17
- 19:17
夜の時が進んで酒食の時が終り、寝室へと移った 初美と中条は、流れとなり行きのままに 男女の行為を深めようとしていた。居間からは、彼から「お姫様抱っこ」の歓待を受け、静かに タプル・ベッドの上に横たえられる。初美は言った。「少しだけ遊ぼうかしら。まだ夜は これからだし・・」 「夜はこれから・・な。ま、いいでしょう。喜んで、お付き合いするわな」聞いた中条も、笑顔で返す。「それじゃ・・」と女は 上体を起...
パノラマカーと変な犬 第6話「導通」
- 2018/01/15
- 15:48
土曜の夕方近く 一時間余りで、初美は、訪れた中条の居所を清め終え、この間 買い物に出かけていた彼も 戻った。暫く後、ラジオ中継されていた プロ野球試合か終り、NCドラゴンズの勝利が告げられた。「良かった。今日は勝てたか・・」そう中条は呟(つぶや)いた。「ふふ・・これで今夜は、お酒が美味しくなりそうね」買い物袋の中身を整理しながら、笑顔の初美が言った。「今日のセロリは、好い感じだわ。ああ、ブルー・チーズ...
パノラマカーと変な犬 第5話「露見」
- 2018/01/13
- 22:00
6月半ばの土曜日、先日の追突事故後 一旦大坂へと帰った、木下姉妹を見送った周(あまね)と中条は、彼の居所近くの 馴染みの喫茶店に立ち寄り、暫し談笑。この後 それぞれ交際中の 初美、そして宙(そら)と会う予定なので、夕方前には解散と言う事で、とりとめもない話をしていたのだ。中条は言った。「そうか、この後 宙姫と会うのやな。まあ、今日一日か 明日までかは訊かんが、一つ宜しく言っといてくれよ」 「分りました...
パノラマカーと変な犬 第4話「目途(めど)」
- 2018/01/11
- 20:33
一夜明けた、翌日土曜も A県地方は日中、晴天に恵まれた。この日の中条、斜め向かいに巣食う、例の不良犬の 屋上咆哮で目を覚ます。丁度好い具合に、起床すべき 7am前だったので、この朝は まあ赦してやる事にしたのだ。「たまにゃ、好い仕事するもんだ・・」午前は11am過ぎまで出番。土曜のみ認められる普段着姿での勤務だ。よく行う 週明けの仕事の段取りなどして、11時代半ばに退出。そのまま 最寄駅から N市営地下鉄で、JR...
パノラマカーと変な犬 第3話「下弦(かげん)」
- 2018/01/09
- 10:04
午後の事故もあり、後ろにおした中条の仕事がどうにか片付いたのは、専務でもある実妹が用意してくれた、賄(まかな)いの夕食を挟んだ 9pm過ぎだった。「室(むろ)さんの店へでも、顔を出そうかな。周(あまね)君も、来てるはずだし・・」との想いも過りはしたが、社長の義弟は翌朝が早く、己も朝方は用務があるので、一家に一礼して帰宅する事にした。出がけに、甥の健(たける)が顔を出し「伯父さん、大変だったね!」 「心配有難と...