轍(わだち)~それから 第30話「計略」
- 2017/01/21
- 11:27
「まあ暫く、飲んだりして話でもしようか」金山副都心での買い物の後、市営地下鉄で居所に戻った中条は、同行の初美にこう言う。「ええ、そうするわ。さっきはちょっと、恥かしかったけど」 「余り気にせん事だよ。まあ、風呂でも・・」 「有難う」女が入浴の間に、男は、ウチ飲み兼夕食の準備。チーズの類や野菜スティックはいつもの通り。地下鉄を降り、帰りの道中、スマホで注文したシーフードの宅配ピザは、少し小さ目の「M...
轍(わだち)~それから 第29話「催涙」
- 2017/01/19
- 12:14
シャワーを使い、養護室奥の部屋に戻った中条を待ち受けていたもの・・それは、彼が懸念した通りの光景だった。広めのベッドに臥した、明らかに気分が優れぬ表情の、初美の脚は曲げ開かれ、下肢は婦人科医が使う、乗せ台の上。下方は、勿論露わである。更に、横に控える小町の手には、少し前、彼女と夜を共にした時と同じ、ステンレスの膣鏡(クスコ)が握られていた。「さあ、新(しん)さん」薄笑いを浮かべながら、小町が言う。「彼...
轍(わだち)~それから 第28話「企図」
- 2017/01/17
- 19:29
「分った。何とかする。今、2時過ぎやから、3時に中央駅の時計台んとこでいいか?OKだな。よし、じゃ、後で・・」盆休み入りをを翌日に控えた午後、健(たける)、徹の二少年と話し合っていた中条のスマート・ホンがSMSを捕捉したのは、その話も終わりかけた頃だった。送り主は、初美である。「二人、悪いな。ちょっと聞いてくれ」 「はいっ、聞きましょう」二少年の返事を受け、中条、続ける。「今、初美(元)先生から連絡があって...
轍(わだち)~それから 第27話「疎通」
- 2017/01/15
- 14:27
8月に入って二週目の10日、強化学級を順調に終えた、佐分利学院の生徒たちは夕方、無事高層校舎へと戻って来た。それぞれ乗って来た車から、荷物や手回り品を降ろし、所定位置に収めたり、生徒たちの手元に戻った事を確認の後、簡単な終礼と、盆明けの教科の説明を受け、解散。その途中、教科に使った備品の片づけをしていた中等科生 白鳥 健(しらとり・たける)は、親友の同級生 箕輪 徹(みのわ・とおる)の様子が気になった。...
轍(わだち)~それから 第26話「共有」
- 2017/01/13
- 14:52
二度目の「夜の養護室」。初美の問診が続く。真紅のショーツを被った中条は、彼女を抱き上げ寝室へ。ベッドに、まずは仰向けで寝かせる。「さあ先生、問診の続きをお願いできますかな?」 「ふふ、そうね。その為には、早くあたしの上に来て欲しいわ」 「はいはい。もう少しお待ちを。ああ、貴女の白衣姿、好い眺めやわー」 「ちょっとォ、じろじろ見るの、適当にしてよ。だから貴方は、痴れ者って言われるのよ!」勿論、これは...