情事の時刻表 第24話「隘路(あいろ)」
- 2019/01/26
- 19:19
徐々に山が深まる JR紀勢東線を、女医・小町と総合予備校の教え子・豊の乗る 臨時特急列車「紀伊81号」は、川沿いの隘路を選ぶ様に右へ、左へとカーヴに沿って車体をくねらせる様に進む。平地と異なり 全速前進とは行かないが、そこは「特急」の名に恥じず、そう速度(スピード)を落とす事なく進んで行く。その代わりであるかの様に、電化されないローカル路線の武器たるディーゼル・エンジンの唸りは高くなり、車輪が線路の(継手...
情事の時刻表 第23話「見当」
- 2019/01/23
- 20:54
「まあ、あの女性(かた)の持病みたいなもんだから、仕方ないんだけどね・・」そう思いながら看護師・瀬野美波(せの・みなみ)は女医・本荘小町(ほんじょう・こまち)に LINEの返信をした。「大声じゃ言えない・・ですね。大体の所は分かりますわ。でも今は、詳しく触れない方が良くありません?」 少しおいて、小町から折り返しが。「分かれば良いのよ。11/3の金曜祝日に、直に会った折でも良い事だしさ・・」 「了解です。そうし...
情事の時刻表 第22話「内申」
- 2019/01/20
- 19:22
10月の後半 土曜日中から降り始めた雨は、翌日曜の夕方近くまで続いた。前夜、初美と事を構え アフターのシャワーを使ってベッドへ戻った中条が、甥・健(たける)の予備校上級生 豊野 豊(とよの・ゆたか)と LINEの交信を終える頃には、彼女はもう夢の中にあった。「今夜も、有難よ・・」美しい寝顔を一瞥した後、AMラジオの深夜番組を聴き流しながら 彼も又 夢路に就いた。雨音の続く翌日曜朝は、例によって 斜め向かい家屋...
情事の時刻表 第21話「輪郭」
- 2019/01/17
- 11:17
雨音が、はっきり聞こえた。余り行為をする事のない 居間(リヴィング)の補助椅子を足し延長したソファの上で、初美と中条は 正常位で半裸の身体を重ね、昂っている途上であった。やや下肢の曲がりが大きい体位。男の腰には、長い女の両脚が 堅く組付けられてられていた。所謂「蟹挟み」の姿態(ポーズ)である。「ふっふっ、はっ・・!し、新(しん)さん・・」上と下で 舌技を絡めての接吻(キス)を経て、初美が声をかけた。聞いた...
情事の時刻表 第20話「確保」
- 2019/01/13
- 21:50
折しも降り続く 秋雨を感じさせない程「熱い」夜だった。もう何度目かの 初美による口唇愛撫(フェラチオ)ではあったが、この夜は 二年前に初めて会った頃を彷彿とさせる新鮮な昂奮があった。「わ・・分かった。初ちゃん!」昂らされ、後少しで絶頂と射精という所を、中条は 辛うじてかわした。「あ~あ、又『寸止め』で逃げるのね。残念だわ残念だわ・・」後少しで男を追い詰める事が叶わなかった初美は、そう呟いた。「悪いな...