交感旅情 第14話「西下」
- 2017/09/29
- 22:15
「シーッ!続きは車内で・・な!」 「はい、了解です!」持ち帰りと発送、両方の買い物を終えた、周(あまね)と中条は、女たちの知らせに応じ、道の駅の商業施設を後に。ここから、JR磐越西線・野沢駅までは、徒歩でも10分余りで到達できるが「まだ時間に余裕があるから、見送りますわ」との、由香、由紀姉妹の好意に甘え、車で送ってもらう事にした。時に、3pm過ぎ。JR野沢駅も、上野尻同様の業務委託駅。同様に日中のみ詰める、...
交感旅情 第13話「中憩」
- 2017/09/27
- 21:42
賑わうも和やかな花見の場に、一時、沈黙と緊張が走る。まだ彼方からの、獣の雄叫びの様な太い音色。「来るぞ!」所々で、鋭い声が飛ぶ。線路沿いに集まった「撮り鉄」衆は、一斉にカメラやビデオ装置の電源を入れ、レンズの状態を調整するなどして「その瞬間」を待つ。周囲の花見客も、相当数がコンパクト・デジカメやスマート・ホンのカメラ・モードを投入し、固唾を呑んで、見守る。その中に、周(あまね)と中条、由香、由紀の姉...
交感旅情 第12話「河畔 (かはん)」
- 2017/09/25
- 20:17
昼近い、発電所と堰堤(えんてい)を臨む、満開の桜の下で、女二人の妖しい行為が進んでいた。ブラウスの前をはだかれ、胸の双丘を露わにされた初美に、若い宙(そら)が、乳房にむしゃぶりつく姿態である。花見客と写真隊は、ほぼその全てが、間もなく、傍らを通る JR磐越西線の鉄路の上に姿を現すであろう怪物(モンスター)の出現を、固唾(かたず)を呑んで待っている風情である。「ああ、ああ・・宙ちゃん」 「はい、初美さん・・」...
交感旅情 第11話「桜道」
- 2017/09/23
- 21:27
「皆、待ってたぜ!」とでも言いたげに、東北電力・上野尻(かみのじり)発電所脇の桜の木々は、見頃の頂(ピーク)をやや過ぎたとは言え、まだまだ見事な花を誇っていた。ともすれば、興を削ぐ事ある緑の新芽も、まだ殆ど見られない。JR上野尻駅から、徒歩約10分強で達する事ができた。花の密度濃い見所は、特に混み合っている様だ。「やっぱり、大そうな人出だな」 「・・ですね」周(あまね)と中条は、思わず呟く。「初ちゃん・・」...
交感旅情 第10話「遅花 (おそばな)」
- 2017/09/21
- 13:55
大型連休初日でもあり、JR新潟駅構内は、多くの旅行者や帰省客で賑わっていた。朝方の通勤通学ラッシュ並みと言っても良い位かも知れない。しかも、その多くが大型リュックやキャリー・バッグなどを携えているのだから、少し鬱陶しいレベルかも知れない。そんな中、A県から到着した中条ら四人は、JR信越線の上り快速列車「あがの」(会津若松行き)で、新潟の山間へと向かう。電車の入れぬ、ローカルな磐越西線へ直通する為、列車は...
交感旅情 第9話「本音」
- 2017/09/19
- 22:37
4/29の土曜祝日「昭和の日」、新潟地方は、穏やかな晴天に恵まれた。朝方は少し肌寒くも、日中ともなれば、20℃に達する陽気となり、上衣にしても、薄手のもので十分であった。前夜、N市を発った、夜行高速バスで、早朝 この地に入った花井 宙(はない・そら)、阿久比 周(あぐい・あまね)、伊野初美(いの・はつみ)、中条 新(なかじょう・しん)の四人は、JR新潟駅前で朝食後、少し離れた信濃川沿いを、この地の名園 白山公園辺り...
交感旅情 第8話「早暁」
- 2017/09/15
- 15:17
新潟へ向け、夜行高速バスの行程もほぼ半分に達した。2am少し過ぎ、先程まで、階下のトイレにて「あの行為」に耽っていた宙(そら)と周(あまね)は、それぞれの席に戻って、熱い余韻に浸っていた。「ああ、熱かった。でも、スリリングで素敵だった・・」若い二人に、共通の想いだったかも知れない。射出された、周の男精を分かち合っての口づけが叶わなかった事が、宙には少し不満が残る様な。「まあ、仕方ないわね・・」そう呟き、...
交感旅情 第7話「秘技」
- 2017/09/13
- 17:26
満天の星空の下、深夜の自動車道を行く、二台の新潟行夜行高速バスの、落ち着いた走りが続く。その二台目 2号車階下のトイレ内では、宙(そら)と周(あまね)の、本当は芳しからぬ秘め事が繰り広げられていた。「ん、んん・・」他の乗客乗員に知られまいとして、懸命に声を押し殺す宙の様子は、その下方に口唇愛撫(クンニリングス)を見舞う、周にもはっきりと届いていた。「それにしても・・」ルビーの如く、暗い照明に映える陰核(ク...
交感旅情 第6話「蠢夜 (しゅんや)」
- 2017/09/11
- 19:30
「あら、宙(そら)ちゃん、早いわね」 「ええ、外の用事が済んで直ぐ、戻ったものですから・・」新潟へ向かう、名豊電鉄の夜行高速バス階下の、トイレを覗き見した宙が、自席に戻った直後、小用と化粧直し、買い物少々を済ませた初美が、車内へと戻った。「道路混雑してたけど、ここまで順調そうで良い事ね」 「そうですね。このまま終点までスムーズだと良いですわ」同様に、車外へ行っていた周(あまね)と中条も、前後して戻る。...
交感旅情 第5話「序奏」
- 2017/09/09
- 12:08
寒暖差の大きい 4月後半だったが、一部の日を除いては、概ね春らしい穏やかな日々だった。ただ、これは天気の事。新年度の事とて、宙(そら)や周(あまね)は新学期、初美(はつみ)と中条も、新年度の仕事とかで、それぞれに忙しい日々を送った。次の週末、4/22と23の土日曜は、臨時出勤や大学の課題処理とかで、前述の面々が、夜 顔を合わせる事はなかった。これは、続く大型連休の期間を、確実に休める様にする為の準備でもあった。...